
経営戦略の齟齬が招くブランドリスクとは?|ESG時代に求められる風評被害対策の重要性
近年、二酸化炭素の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルや、環境や社会への配慮を重視するESG経営が叫ばれる中、企業の社会的責任を意味するCSRを意識した広報活動は、いまや経営戦略の土台となっています。
しかし、国際情勢の変転やステークホルダーの価値観の多様化により、かつての正解が時としてブランド価値を揺るがす風評リスクへと変貌するケースも少なくありません。
このコラムでは、昨今、発表された大手自動車メーカーの巨額赤字事案を切り口に、ネット上で加速する新たな炎上傾向を説明しつつ、企業価値を守り抜くための広報戦略と風評被害対策の重要性について解説します。
EV戦略失敗が引き起こした炎上とブランド毀損の実態

国内大手自動車メーカーは連結最終損益が最大6,900億円の赤字になる見通しを発表しました。発表資料によると、巨額赤字の主因は2021年当時に見込んでいたEV(電気自動車)シフトの誤算にあります。
米国における環境規制の変化などを背景に、EV市場の拡大トレンドは大幅に減速し、当初予測から年間150万台の売上がショートしたことで、同社は方針転換を余儀なくされました。結果として、かつて宣言した「脱エンジン」を事実上撤回し、「EVから内燃エンジンへの回帰」を再表明するという、異例の方針転換に至りました。
同社にとって、内燃エンジンの研究開発は単なる技術戦略ではなく、創業以来の「スピリット」といわれています。オートバイに始まり、四輪車での地位を確立し、さらに30年の歳月を投じてジェットエンジンをゼロベースで開発してきた歴史があります。内燃エンジンにかける情熱は、同社の「ブランド・ルーツ」とされています。
それだけに、2021年当時の過激ともとれる「EVシフト」は、ファンなどの間で大きな物議を醸しました。同社の行く末を案じる声は、当時から少なからず存在していたのです。
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ブランドアイデンティティとの乖離が招いた炎上
今回の事象における最大の特徴は、炎上の要因が「赤字という事実」以上に「EV参入に対する非難」に集まっている点です。当社リサーチによれば、関連する炎上投稿の半数以上が、同社のアイデンティティと乖離する「EVシフト」への批判でした。
「自社の強みであるエンジン開発を手放してどうするのか」
「高度な技術を捨てることは大きな損失に繋がる」
「これでは○○○(創業者名)も悲しむのではないか」
「従来のアイデンティティと異なる展開に違和感がある」
こうした批判が拡散する背景には、ブランド変質への喪失感を抱くコアなファン層の心理に加え、近年のビジネス環境の変化に対する投資家や消費者のシビアな視線が影響しています。
ビジネス環境の変化とトレンド追従リスクの顕在化
同社のEVシフトを後押しした要因の一つには、世界的な脱炭素やESG経営を重視する潮流がありました。しかし近年では、EV市場の成長鈍化や政策見直しの影響により、一部の市場や機関投資家の間で過度なEV投資を見直す動きも出始めています。
こうしたビジネス環境の変化を踏まえると、今回の赤字決算は驚くべきことではなく、「以前から予測できた事態」でもあります。同社の躓きが、自社の強みよりもグローバルトレンドへの適応を優先した結果として捉えられたためといえます。
この事象は、決して自動車業界特有のものではありません。自社の歴史や強み(ブランド・ルーツ)と、外部環境のトレンドをいかに調和させるかが、あらゆる企業に共通する経営課題です。
風評被害対策・SNSモニタリングならエルテス
社会的な理想(ESGなど)を打ち出す際、企業の広報には、自社が世間からどう見られているかを客観的に認識し、自社の歴史や強みとの調和をどう表現するか、どのタイミングで軌道修正のメッセージを発信すべきか、深層にあるステークホルダーの不満を敏感に察知する能力が求められます。
しかしながら、目に見えないサイレント・マジョリティの「本音」を、従来の手作業や感覚的な広報活動で把握することは困難です。
エルテスは、継続的なモニタリングの実施により、インターネット上におけるリスク予兆の早期検知をサポートします。さらに、検知された予兆が今後どのような経過を辿る可能性があるのか、専任のコンサルタントが専門的な知見に基づきサポートいたします。
まとめ
この記事で紹介したように、ESG経営やグローバルトレンドへの対応が自社のブランドアイデンティティと乖離した場合、予期せぬ風評リスクを招き、企業価値を低下させる要因となります。 被害を最小限に留め、適切なコミュニケーションを図るためには、予兆の早期検知と継続的なモニタリング体制づくりが欠かせません。
SNS炎上対策や有事の風評被害対応を強化したいとお考えの方は、ぜひお気軽にエルテスへご相談ください。






