
ネット炎上レポート 2026年6月版
2026年6月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2026年6月のネット炎上トレンド
2026年6月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が97%(前月比26ポイント増)と前月よりも20ポイント以上増加しました。前月はタレントの炎上などにより一時的に数値が変動していましたが、今月は本来の平均的な水準に戻っています。そのほか、「個人・著名人」が3%(15ポイント減)と続いています。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳では、「サービス」が50%(7ポイント増)と全体の半数を占めました。次いで「メーカー」が22%(8ポイント増)、「インフラ」が11%(11ポイント増)、「自治体・団体」は8%(1ポイント増)、「教育機関」(1ポイント減)と「IT」(前月同数)がそれぞれ3%という結果となりました。(図1)

収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では「顧客クレーム・批判」が54%(29ポイント増)と全体の半数以上を占める結果となりました。「不適切発言・行為、失言」が26%(4ポイント減)、「不祥事/事件ニュース」が8%(7ポイント減)、前月まで従業員によるSNSへの不適切投稿での炎上が相次いでいた「情報漏えい/内部告発」(19ポイント減)と「異物混入」(1ポイント増)がそれぞれ6%と続きました。(図2)

収集データを元にエルテスが作成
クリエイティブが誤解を招くとして差し替えに。企業対応に賛否
とある音楽グループのCDジャケット画像に注目が集まりました。画像は2つの食品を箸で持ち、ハート型を作るデザインでしたが、「箸渡し」を連想させるとして、一部から批判的な意見が挙がっていました。運営側はこの批判を受け、謝罪とデザインの差し替えを発表しました。
一方で、元のデザインを受け入れていた擁護派からは、「元のデザインでも気にならなかった」「差し替えをするほどなのか」といった、運営側の対応を過剰反応と捉える意見が多く挙がりました。
批判の声が見られた際に、企業は「すぐに取り下げなければ」「謝罪しなければ」といった思考になりがちですが、実際には必ずしも謝罪が適切ではないケースも存在します。誤った対応によって炎上が再燃・長期化する可能性もあるため、企業は適切な対応を見極める必要があります。
判断の軸として、批判意見の定性・定量両面から論調を分析し、企業として講じるべき対応を検討することが求められます。
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物流現場の対応口コミをきっかけに企業に批判殺到
スキンケアブランドがSNSを中心に大きな話題となり、多くの批判が寄せられました。問題視されたのは、同ブランドの工場での対応で、「ルールが多く面倒」といった口コミが運送業者と思われる複数のアカウントから寄せられていました。
SNS上では、運送業者の待遇改善を求める声や「商品の品質を守るためにしわ寄せを被る人がいるのは残念」といった声が見られました。
この事例からは、ブランドイメージの構築には、商品の品質や企業の情報発信だけでなく、多くの関係者からの評判も大きくかかわることが分かりました。SNSの普及によって誰もが情報発信者となり得る現代において、企業はすべての関係者に対して目を配る重要性を認識する必要があります。
また、関係者から寄せられる不満の管理(ステークホルダー・コンプレイント・マネジメント)や、その発生を防ぐ体制づくりを検討することも有効な対策の一つと言えます。
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まとめ
6月に発生し全体の半数以上の割合を占めた「顧客クレーム・批判」の分類の炎上事例から2つを解説しました。
1つ目の事例では、ユーザーから寄せられた批判意見に対する企業の適切な判断の重要性が分かりました。適切な企業対応を判断するためには、論調を定性・定量の両面から分析し、「どのような点が問題視されているか」「企業に非があるのか」「どのような対応(取り下げや販売の停止など)を求められているのか」を整理することが重要です。
論調の分析を行う際には平時との比較が鍵となるため、日頃から企業やブランド、商品に対する論調を把握しておく必要があります。また、企業対応を検討する際には過去の事例から学びを得ることも重要です。同様の炎上が発生した際の他社の対応を知っておくことで、二次炎上や炎上の長期化リスクを低減できる可能性があります。
2つ目の事例からは、SNS時代におけるブランドイメージの構築には、顧客と直接相対する部門だけでなく、あらゆる部門が無関係ではないということが再認識されました。誰もが情報発信者となり得る現代において、顧客だけでなく、関係者や取引先も含めてブランドイメージが作られていることを認識したうえで対応していくことが求められます。
また、自社やブランド、営業所などすべての拠点における口コミや投稿を定期的に確認し、批判的な投稿が見られた際には、事実関係の確認や改善の検討など、企業として是正をはかることがブランドイメージの維持には不可欠です。
最後に、いずれの事例においても、批判が発生した初期段階の企業対応が、炎上沈静化のスピードやその後のブランドイメージを大きく左右します。ネガティブな兆候が見られた場合に早期検知し、対応を検討できる体制を構築しておくことを推奨いたします。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。






