
手土産転職の予兆を見逃さない!UEBAを活用した早期発見と対策の具体例
近年、労働市場の流動性が高まる中で、優秀な人材がより良い環境を求めて転職は一般的になりつつあります。一方で、企業側にとって深刻な経営リスクとして問題視されているのが、退職時に自社の技術情報や顧客情報などを持ち出し、転職先での業務に利用する、いわゆる「手土産転職」と呼ばれる行為です。
エルテスの「転職時の情報管理アンケート調査」によれば、転職経験者の約5人に1人が前職の情報を持ち出した経験があると回答しており、その多くが「転職先で活用するため」という明確な目的意識を持っていたことからも、手土産転職はどの企業にとっても起こり得るリスクであることが分かります。

こうした状況を受け、多くの企業では秘密保持誓約書の締結や社内規程の整備など、一定の抑止策を講じてきましたが、実際の現場では「ルールはあるが実態が把握できていない」「問題が発覚した時点ですでに情報が持ち出されていた」といったケースも少なくありません。
このコラムでは、退職に至る従業員のIT利用行動の変化に着目し、AIを用いて異常行動を検知するUEBA技術を活用した内部不正対策の考え方について、具体的なログ事例を交えながら、手土産転職の予兆をどのように早期に捉え、対策へとつなげていくべきかを紹介します。
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従来の退職予兆把握における課題
従来、従業員の退職予兆を把握する手段としては、定期的なミーティングやアンケート、上司による行動観察など、人を介したコミュニケーションが主流でした。しかしこれらの施策は、関係構築や職場環境の改善には有効ですが、「手土産転職」のように意図的・計画的な離職の予兆を捉えるには構造的な課題があります。
まず、本人からの申告に依存する側面が強く、意図的な不正行動の予兆を把握することは困難です。また、判断が上司の経験や観察力に属人化しやすく、組織として一貫したリスク評価ができません。さらに、多忙な管理職が継続的に行動変化を検知することには限界があり、対応が後手に回るケースも少なくありません。
このような背景から、従来の手法のみで手土産転職の予兆を早期に捉えることは難しく、客観的かつ継続的にリスクを把握できる仕組みが求められています。
手土産転職が企業にもたらす法的リスクとコンプライアンスの課題
手土産転職による情報持ち出しは、単なる社内ルール違反にとどまらず、企業に深刻な法的・コンプライアンス上のリスクをもたらします。特に、技術情報や顧客情報が「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3つの要件を満たす営業秘密の場合、不正競争防止法違反として、民事上の損害賠償請求や差止請求だけでなく、刑事責任が問われる可能性もあります。
一方で、情報持ち出しが顕在化した後の対応は、企業にとって大きな負担となります。情報がすでに転職先で利用されていた場合、被害範囲の特定や証拠収集、訴訟対応や外部専門家による調査、取引先や顧客への説明対応など、多大なコストと時間を要することになります。さらに、情報流出が公になることで、企業の信用やブランド価値が毀損されるリスクも避けられません。
また近年では、個人情報保護法や各種業界ガイドラインへの対応が求められる中で、「適切な管理を行っていたか」「リスクを把握できる体制を整えていたか」といった企業側の管理責任も厳しく問われる傾向にあります。たとえ情報を持ち出したのが一従業員であったとしても、企業として予兆を把握できる仕組みを持たず、実効性ある対策を講じていなかった場合、ガバナンス不全と判断される可能性も否定できません。
このように、手土産転職は「発覚してから対応する」ものではなく、法的・コンプライアンス上のリスクを最小化するためにも、「兆候の段階で気づき、適切に対応できる体制」を整えておくことが重要です。そのための手段として、従業員の行動変化を客観的なログデータから捉えるUEBAを活用した内部脅威検知が注目を集めています。
関連記事:技術情報の持ち出し事例から学ぶ、会社の守るべきポイントを解説
UEBAとは
UEBA(User and Entity Behavior Analytics|ユーザー・エンティティ行動分析)とは、機械学習を活用して、従業員のPC操作やシステム利用といった日常的な行動を学習し、そこから逸脱する「普段とは異なる行動」を自動的に検知する技術です。
具体的には、ログイン時間帯、アクセスするファイルの種類や量、メールの送受信状況、ファイルのダウンロードやコピーといった操作ログを継続的に分析し、従業員ごとの「平常時の行動パターン(ベースライン)」を形成します。そのうえで、ベースラインから外れた行動が確認された場合にアラートを発することで、行動の変化をリスクの予兆として捉えることが可能になります。
関連記事:UEBA(ユーザー・エンティティ行動分析)が実現するセキュリティの高度化|組織の課題である「内部不正」を可視化する手法
手土産転職の予兆を検知したいなら「内部脅威検知サービス」
UEBAが手土産転職の予兆を発見するうえで有効であることは、お分かりいただけたのではないでしょうか。一方で、自社でUEBAツールを運用するには、ログ収集基盤の構築や分析シナリオの設計、誤検知を抑えるための継続的なチューニング、さらに検知されたアラートを適切に評価できるセキュリティ人材の確保など、高い運用負荷が伴います。
こうした課題を解決し、自社のリソースを圧迫することなくUEBAの効果を最大限に活用する選択肢として、エルテスの「内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)」を活用した内部不正対策をおすすめします。
専門アナリストによる運用と高精度な検知
内部脅威検知サービスは、UEBAの技術を活用しながら、運用負荷をアウトソーシングできるマネージドサービスです。システムによる自動検知に加え、専門アナリストがリスクの評価・分析を実施します。機械学習だけでは判断が難しい操作の文脈や、企業ごとの業務特性を踏まえた微調整を人の目で行うことで、過検知や誤検知を抑制し、本当に対応が必要なリスクのみを通知します。
導入の手軽さと運用負荷の軽減
内部脅威検知サービスは、新たな監視ソフトウェアを端末にインストールする必要がありません。IT資産管理ツールやクラウドサービスなど、企業がすでに取得している既存のログデータを活用して分析を行うため、導入時のコストや手間を大幅に抑えることが可能です。
ログデータは蓄積されているものの活用しきれていない状態の企業にとって、特に有効なソリューションといえるでしょう。
ログから見える手土産転職の予兆シナリオ
手土産転職は、突然発生するものではありません。その多くは、情報の探索・取得・持ち出しといった不審な操作が、事前にログとして残っているケースが大半です。内部脅威検知サービスでは、ログを横断的に分析し、単一の操作では見逃されがちな「手土産転職の予兆」を検知します。
ここでは、内部脅威検知サービスで実際に検知可能な代表的な予兆のシナリオを紹介します。
シナリオ①:私用メールへの情報の持ち出し
内部脅威検知サービスでは、共有フォルダから業務ファイルがローカルにダウンロードされ、その後ファイル名が変更され、個人利用と考えられるメールアドレス宛に添付・送信される一連の操作を、ログのつながりとして検知します。
シナリオ② 外部記録媒体での情報持ち出し
許可されていないUSBメモリなどの外部記録媒体が接続され、業務情報と思われるファイルが書き込まれた場合、内部脅威検知サービスは外部媒体の接続ログとファイル操作ログを突合し、情報持ち出しの予兆として検知します。
シナリオ③ 印刷機でのアナログな情報持ち出し
許可されていないプリンターや、普段使用されていないプリンターで業務ファイルが印刷され、その後ファイルが削除された場合、内部脅威検知サービスは印刷ログとファイル操作ログの不自然な組み合わせから、情報持ち出しの予兆を検知します。
シナリオ④ 許可外ストレージサービスへのアップロード
業務ツールからファイルをダウンロードした直後に、業務利用が許可されていないストレージサービスへ同一ファイルがアップロードされた場合、内部脅威検知サービスはダウンロードとアップロードの連続性をもとに、情報持ち出しの予兆として検知します。
シナリオ⑤ 普段や他ユーザーと比較して異常な情報探索・取得
内部脅威検知サービスでは、他のユーザーや本人の平常時と比較して、業務時間外の大量閲覧や、アクセス権限のないフォルダへのアクセス失敗、普段利用しないフォルダからの大量ダウンロードなどを「通常と異なる挙動」として検知します。
内部脅威検知サービスの実績と導入企業の声
内部脅威検知サービスは、大手製造業や金融機関、IT企業、研究開発組織を中心に広く採用されており、解析対象となるユーザーID数は30万IDを超えています。さらに、株式会社アイ・ティ・アールが提供する調査レポート「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場2025※1」において、エルテスの内部脅威検知サービスは、UEBA運用監視サービス市場シェアNo.1を獲得しています。
こうした導入実績は、単なる検知精度の高さだけでなく、実運用における負担軽減や組織全体の意識変化につながっている点が評価されている結果でもあります。実際に導入した企業からは、次のような声が寄せられています。
ログを分析する側の精神的な負担が軽減されただけでなく、従業員の振る舞いが見える化されたことで意識向上にも繋がりました。
日常的にログが確認でき、退職する予定はないものの、不正な行動を実施している従業員の行動を追えるようになった。
内部脅威検知サービスは、不正の有無を確認するだけでなく、日常的なログの可視化を通じて、内部リスクを把握できる運用体制の構築を支援します。貴社の環境における具体的な運用イメージや効果については、ぜひお気軽にお問い合わせください。
<参考情報>
※1 出典:ITR「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場 2025」UEBA運用監視サービス市場:ベンダー別売上金額シェア(2024年度)
まとめ
「手土産転職」は、重要な情報資産の流出につながり、企業の競争力を低下させる要因となり得ます。転職時の情報持ち出しにおいては、日常の行動変化やデジタルデータ上に何らかの予兆が表れる傾向があります。そのため、面談や行動観察といった従来の手法に加え、客観的なデータから不正の予兆を検知する仕組みを整えることが、有効な対策の一つになると考えられます。
UEBAを活用した内部脅威検知について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にエルテスへお問い合わせください。
情報漏洩対策は、エルテスへ







