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【マーケ部門向け】生成AI画像の社内利用ルールと実装の優先順位

生成AIによる画像生成は、広告バナー、ECページ、SNS投稿、営業資料等のコンテンツ制作の効率を向上させ、専門的な知識がなくても誰でもが自由に作成できる環境をもたらしました。一方で、著作権や商用利用条件、ブランド毀損、表示上の誤認リスクといった問題も増加の一歩を辿っています。

生成AI画像を安全に業務に取り入れるためには、ただ禁止事項を羅列するのではなく、「入力、生成、確認、公開後の管理」といった業務フローの各段階において確認責任を社内ルールに落とし込むことが重要です。

このコラムでは、マーケティング部門が生成AI画像を安全に使うために、何を社内ルールとして決めればよいかを業務フローに沿って紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.生成AI画像を社内利用する前に押さえるべき基本
  2. 2.マーケティング部門で起きやすい失敗パターン
    1. 2.1.既存作品やブランドに似た画像を使う
    2. 2.2.商品実物と異なる印象を与える
    3. 2.3.SNSで説明不能な画像を出す
  3. 3.著作権・商用利用で確認すべきポイント
  4. 4.生成AI画像ルールを作成する際の5つのポイント
    1. 4.1.① 画像の利用目的と公開範囲の明確な分類
    2. 4.2.② プロンプトに入力してはいけない機密情報の明確化
    3. 4.3.③ 各用途に応じた確認責任者の事前設定
    4. 4.4.④ 生成プロセスから利用までの履歴の台帳化
    5. 4.5.⑤ 日々の制作フローに沿ったルールの組み込み
  5. 5.現場視点で考える実装の優先順位
    1. 5.1.① 一般公開するコンテンツのみに対象を絞る
    2. 5.2.② 法務グループだけに任せない
    3. 5.3.③ プロンプト教育
  6. 6.よくある質問
    1. 6.1.Q. 生成AI画像は商用利用できるか
    2. 6.2.Q. 生成AIで作った画像なら著作権侵害になるか
    3. 6.3.Q. イメージを掴むためプロンプトに作家名やブランド名を入れていいか
    4. 6.4.Q. ECサイトの商品画像に使ってもよいか
  7. 7.まとめ

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生成AI画像を社内利用する前に押さえるべき基本

生成AI画像は、文章で指示した内容をもとに画像を作る技術です。マーケティング業務では、広告案のラフ、SNS投稿のイメージ、ECページの背景、資料の挿絵などに使いやすく、制作スピードを大きく高めています。

ただし、生成された画像は自社で撮影した写真でも、権利処理済み素材でもありません。どのツールを使い、どのようなプロンプトを入力し、どの媒体で公開するかによって、確認すべき点が変わります。日本ディープラーニング協会(JDLA)は、「生成AIの利用ガイドライン(画像編)」で入力・生成・利用の各段階に注意が必要だと発信しています。

たとえば、社内のみで共有する「たたき台」としての状態であればリスクは限定的かもしれませんが、社外へと公開する完成物の状態においては、権利確認、ブランド確認、表示内容の確認は欠かせません。生成AI画像は便利な制作補助ですが、最終的な公開責任は企業側にある、という前提で運用する必要があります。

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マーケティング部門で起きやすい失敗パターン

社内ルールは抽象的なリスクからではなく、自社で起きそうな失敗から逆算すると定着しやすくなります。ここでは、EC・広告・SNSで特に注意すべきパターンを整理します。

既存作品やブランドに似た画像を使う

生成画像が既存のイラスト、写真、キャラクター、ブランドビジュアルに似たまま広告に使われると、著作権や商標上の問題につながる可能性があります。文化庁が公表している「AIと著作権に関する考え方」においても、AI技術と法制度の整合性について以下のような趣旨の言及がなされています。

生成AIと著作権の関係に関する懸念の解消を求めるニーズに応えるため、生成AIと著作権の関係に関する判例及び裁判例の蓄積がないという現状を踏まえて、生成AIと著作権に関する考え方を整理し…

AI生成物であっても利用段階で既存著作物との類似性や依拠性が問題になり得ると注意喚起されています。現場でのリスク回避において最も重要なのはプロンプトに作家名、作品名、キャラクター名、ブランド名を入れないことが、まず最初に気を付けるべきポイントです。さらに、出力画像に見覚えのある構図、ロゴ風の記号、既存キャラクターに近い造形がないかを公開前に確認することは必須と言えます。

商品実物と異なる印象を与える

生成AI画像は、実物写真ではないため、意図せず商品の特徴や性能を誇張して見せてしまうことがあります。特にECサイトでは、生成AI画像を背景や利用シーンの演出に使うことがあります。このとき、商品サイズ、質感、色味、付属品、使用効果を実物以上に見せると、顧客に誤解を与える可能性があります。

たとえば、防水性能を訴求していない商品を雨の中で問題なく使えるように見せる画像は、視覚的に性能表示と受け取られるおそれがあります。マーケティング担当者は、雰囲気づくりのつもりでも、顧客は画像から商品情報を読み取ります。商品ページや広告では、生成画像が実物写真と混同されないか、性能や効果を過度に示していないかを確認しましょう。

SNSで説明不能な画像を出す

SNSでは、短時間で投稿案を作るために生成AI画像が使われやすい一方、炎上時に人物の表情、服装、背景の文字、ジェスチャー、社会的に敏感なテーマについて、担当者が意図を説明できないケースが見受けられます。

これまで見てきたSNSでのAI画像投稿の炎上事例では、生成AIの性能というよりも確認観点の不足にあったのではと考えています。公開前の確認は、権利だけでなく、ブランドトーン、不快な表現、差別的に見える表現、災害や事故を軽く扱っていないかなど、画像そのものが与える情報まで含める必要があります。

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著作権・商用利用で確認すべきポイント

まずは、生成AI画像のルールを作成し社内へ浸透させるためには、法律論をそのまま現場へ渡すのではなく、従業員が自ら確認できる項目を整理しておく必要があります。著作権、商用利用、第三者権利を分けて考えると判断がしやすくなるので、下記で整理をしておきます。

著作権については「生成AIで作ったから自由」ではありません。既存作品に似ていないか、既存作品をまねる指示をしていないか、公開前に確認したかまで記録に残すことが大切です。前述の文化庁の整理を踏まえると、AI生成物でも利用場面によって権利侵害が問題になる可能性があります。

商用利用については、使用した生成AIツールごとの規約の確認が必要です。生成AI画像なら一律に商用利用できるわけではありません。社内では利用可能な生成AIツール一覧を作り、商用利用可否、禁止用途、生成物の扱い、入力データの扱いをまとめた表を作成しておくことを推奨します。

また、実在するブランドやロゴに似たマーク、著名人に似た人物、既存パッケージに近いデザインなどが意図せず生成されることもあるため、疑わしい場合は修正で済ませず、別案を作るか、権利確認済み素材へ差し替える判断が安全です。

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生成AI画像ルールを作成する際の5つのポイント

企業内で実践的かつ実効性のある生成AI画像ルールを策定する際には、以下の5つのポイントを意識して進めることが望ましいでしょう。

① 画像の利用目的と公開範囲の明確な分類

まず最初は、利用目的と公開範囲を分類することから始めることをお勧めします。具体的には「社内限定」「取引先共有」「一般公開」の3段階に分けることで、万が一問題が発生した際の影響度やリスクの大きさが異なることを現場が理解しやすくなります。

② プロンプトに入力してはいけない機密情報の明確化

入力してはいけない情報を明確化させましょう。個人情報、機密情報、未公開情報、秘密保持義務のある情報は、入力禁止または承認制にしておくと良いでしょう。

プロンプトには、顧客名、未公開キャンペーン、商品仕様、売上情報、取引先情報など、入力されてしまう可能性が高いものは、「30代の法人購買担当者」「業界大手の〇〇メーカー」のようにマスキングの例を用意してあげると理解の促進に繋がります。

③ 各用途に応じた確認責任者の事前設定

確認責任者を予め決めておきましょう。広告はマーケティング責任者、商品ページはEC責任者と商品企画責任者、法的懸念がある案件は法務責任者、炎上リスクがある案件は広報責任者など、用途ごとに役割を明確にしておくことが大切です。ある大手IT企業でも、画像生成AIの利用にあたりガイドラインを策定し、運用上の注意点を整理していることが取り組みとして紹介されています。

④ 生成プロセスから利用までの履歴の台帳化

生成の過程から利用までの履歴を残すことを推奨します。生成日、担当者、利用した生成AIツール名、プロンプト内容、出力画像、用途、公開媒体、確認者、修正履歴を台帳化します。万が一何か問題が発生した際、適切な運用がされていたのか、どこに問題があったのかを振り返ることができ、会社としての説明責任を果たす役割が可能になります。

⑤ 日々の制作フローに沿ったルールの組み込み

業務ステップ

主な作業

必要なルール

確認者の目安

1.企画

目的、媒体、訴求を求める

利用目的分類、公開範囲分類

施策責任者

2.入力

プロンプトを作る

入力禁止情報、固有名詞の扱い

担当者

3.生成

複数案を作る

承認済みツール、商用利用条件

担当者

4.確認

権利・表示・ブランドを点検

著作権、商標・肖像、広告表現

施策責任者、必要に応じて法務

5.公開後管理

反応や問い合わせを確認

利用履歴、差し替え基準

マーケ責任者


ルール項目は、日々の制作フローに沿って配置すると運用しやすくなります。企画の段階で公開範囲を決定し、入力段階でリスクのある指示を避け、最終確認の段階で権利や表示内容を点検するといったように、業務ごとに確認プロセスを分割することで、最終工程での過度な負担や担当者個人の属人的な判断を減らすことができます。

現場視点で考える実装の優先順位

生成AI画像のルール作りでは、最初から完璧なガイドラインを目指すより、事故が起きやすい部分から整えることが重要だと考えています。

① 一般公開するコンテンツのみに対象を絞る

社内資料まで一律に厳しくすると、現場が試せなくなります。まずは外部公開物に限定し、承認済みツール、入力禁止情報、公開前チェック、台帳管理を始めるのが現実的です。

② 法務グループだけに任せない

著作権や商用利用の判断に法務の知見は必要ですが、全件確認は運用上困難です。マーケティングや広報部門で一次チェックを行い、人物が写る、特定のブランドを連想させる、商品性能を示す、広告出稿額が大きいなどの条件に該当する場合のみを法務へ回す切り分けが重要です。

③ プロンプト教育

特定作家風、既存ブランド風、実在人物風の指示を避けるだけでもリスクは下げられます。生成AI画像の安全利用で最も重要なのは「使わないこと」ではなく、「説明できる状態で使うこと」だと思っています。目的、ツール、確認内容、公開判断を説明できれば、トラブル時の初動も速くなります。

これまで生成AIを活用したマーケティングや広報活動は各社様子見としていたところも多くありましたが、今後はさらなる普及が見込まれます。マーケティング活動を安心して継続できるよう、早急に環境整備を進めることが求められます。安心安全な生成AI活用のための一歩として、是非参考にしてください。

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よくある質問

生成AI画像制作に活用する際、現場の担当者から多く寄せられる疑問をまとめました。実務における判断基準として活用してください。

Q. 生成AI画像は商用利用できるか

商用利用できるかは、利用している生成AIツールの規約、契約プラン、利用目的によって異なります。必ず個別の契約条件を確認してください。

Q. 生成AIで作った画像なら著作権侵害になるか

そうとは限りません。文化庁は、AI生成物の利用段階でも既存著作物との類似性や依拠性が問題になり得るとされています。既存作品に似た画像を使うことは避けるべきです。

Q. イメージを掴むためプロンプトに作家名やブランド名を入れていいか

社外公開を前提とする場合は避けるべきです。特定作家風、特定ブランド風、既存キャラクター風の指示は、出力画像が既存表現に近づく要因となります。

Q. ECサイトの商品画像に使ってもよいか

商品の正確性が求められる箇所での使用は慎重に扱う方が望ましいです。背景や利用シーンの補助画像として使う場合でも、実物と異なるサイズ、色、性能、効果を示さないよう確認してください。

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まとめ

生成AI画像は、マーケティング部門の制作効率を高める有力な手段です。一方で、社内利用ルールがないまま業務に投入してしまうと、著作権侵害や情報漏洩、ブランド毀損といった複合的なリスクを招く可能性があります。重要なのは、生成AI画像を特別扱いしすぎることではなく、通常の制作物と同じように、目的、素材、権利、表示、承認、公開後対応を管理することです。

しかし、こうしたルール策定や社内での運用体制の整備を自社のみで進めることに対して、不安やハードルの高さを感じている実務担当者の方もいらっしゃるかもしれません。そのような状況に置かれている企業様には、客観的な視点を持った専門家のサポートを活用することも一つの有効なリスク対策となります。

エルテスでは、企業の利用実態に即したガイドラインの策定から、運用マニュアルの整理、チェック体制の構築までを総合的に支援する「生成AIルール策定支援サービス」をご提供しており、属人的な判断に依存しない安全なAIガバナンス体制の確保をサポートしています。自社に最適な生成AI利用ルールの整備をご検討の際は、ぜひお気軽にエルテスまでご相談ください。

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著者|株式会社エルテス 赤田夏実
著者|株式会社エルテス 赤田夏実
AIガバナンスグループ|大学卒業後、テレマーケティング会社を経て、2016年に株式会社エルテスに入社。エルテスではリスクマネジメントの専門コンサルタントを経て、自社の内部統制および生成AIのガバナンス・推進を主導。現在はAIガバナンスグループにて、企業のAIガバナンス構築を専門に支援。
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