アフィリエイト広告の不当表示リスクと広告主に求められる対策
インターネット広告の広がりとともに市場規模が拡大しているアフィリエイト広告市場。一方、不当表示が起きやすい仕組みや、リスク発生時の責任の所在が不明瞭になりやすいことから、規制や広告主となる企業側への責任を求める動きが起きています。アフィリエイト広告でトラブルが起きないために企業ができる対策について解説します。
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拡大続けるアフィリエイト広告市場
アフィリエイト広告とは、インターネット上のアフィリエイトプログラムを利用した成果報酬型の広告のことを指します。アフィリエイト広告が掲載されているサイトをアフィリエイトサイトと呼び、アフィリエイトサイトを通じて商品を購入したり、商品リンクをクリックされた際に、アフィリエイトプログラムの利用者(コンテンツ作成者)に報酬が支払われる仕組みになっています。
アフィリエイト広告の市場規模はインターネット広告の市場規模拡大に伴って、年々拡大しています。株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度の市場規模で3491億円の見込み。2025年には5146億円まで拡大すると予測されています。
アフィリエイト広告のメリットと指摘されている問題点
アフィリエイト広告のメリット
アフィリエイト広告は、Webサイトを通じて商品が購入された際などに報酬が支払われるため、ECサイトを運営し、商品やサービスの販売・申し込みをWebサイト上で受け付けている事業者が主な広告主となります。たとえば、美容・化粧品の販売やサービス、金融・投資サービス、学習支援サービス、デジタルコンテンツをはじめ、様々な業種で利用されています。
消費者の立場でアフィリエイト広告が利用されるメリットとしては、消費者に近い目線で広告を出稿できることが挙げられます。従来のテレビCMやWEB広告の多くは、広告内容を広告主や広告代理店が決めることが多く、広告主目線となりやすいものが多くあります。一方で、アフィリエイト広告は広告主や広告代理店と消費者の間に、その商品・サービスを紹介するアフィリエイターが介入します。アフィリエイターは広告主などが定めた禁止事項を違反しなければ、裁量が与えられることが多く、消費者に近い目線で広告内容を作成することができます。
また、広告主の立場では、テレビCMなどの従来の広告形式では、多額の広告費が必要になることが多かった一方で、アフィリエイト広告は成果報酬の設定ができれば手軽に始められるメリットとして挙げられます。また、第三者の視点で体験談などを通じて、商品・サービスを紹介してもらえるケースもあることから、消費者にメリットが伝わりやすいという意見もあります。
アフィリエイト広告の問題点
アフィリエイト広告は表示上の問題(不当表示リスク)が挙げられることがあります。アフィリエイト広告の仕組みから、アフィリエイターは報酬を獲得するため、消費者を多く獲得するインセンティブが働きます。そのために、広告主の意図しない過激な文言や表現で、広告が書かれることもあります。広告表現をアフィリエイターに任せた結果、サービスの販売条件・解除条件の虚偽表示や商品の効果の虚偽表示などが起こりえます。
また、この不当表示の問題はアフィリエイターだけの問題だけではありません。広告主によっては、悪質な広告表示がアフィリエイト広告上でなされていた場合に、アフィリエイターが勝手に記載したため自らは把握していないとして、責任を認めない対応や、アフィリエイト広告に関する責任は負わないことを事前に明記する広告主も発生しており、自社の商品・サービスの広告の問題にも関わらず不当表示の責任から逃れる問題も指摘されています。
アフィリエイト広告の広告主・関連事業者に求められる措置
アフィリエイト広告はこれまで前述の問題点が挙げられていたこともあり、消費者庁では、2021年6月から2022年1月までの6回にかけて、「アフィリエイト広告等に関する検討会」を実施しました。そして、2022年6月にはアフィリエイト広告に関する取り組みを明記した事業者向けの指針を公表しました。指針には具体的な措置の例としてアフィリエイト広告に関する以下の内容などが言及されています。
<考え方の周知・情報の共有>
- アフィリエイター等に対しても景品表示法の考え方の周知・啓発を行う
- 不当表示等を未然に防止する観点から、表示内容の方針や表示の根拠となる情報等をアフィリエイター等と事前に共有しておく
- アフィリエイター等との間で、不当表示等を行わないよう確認するなど、法令遵守の方針等を明確にしておく
- 法令遵守の方針に違反した場合における、具体的な措置内容をアフィリエイター等との間で明確にしておく
<表示等に関する情報の確認>
- 他の事業者にプロモーションを委ねる場合、これらの事業者がアフィリエイターに対して、不当表示等を助長するような指示等をしていないかを確認する
- アフィリエイター等が作成する表示内容を事前に確認する。あるいは、表示後可能な限り早い段階で全ての当該表示内容を確認する。
<体制の整備>
- ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)またはアフィリエイター等を通じて、迅速に不当表示等を削除・修正できる体制を構築する
- 速やかに景品表示法違反を発見する監視体制の整備及び関係従業員等が報復のおそれなく報告できる報告体制を設け、実施する
<アフィリエイトプログラムを利用した広告であることの明示>
アフィリエイトサイトにおける表示内容全体で、消費者がアフィリエイトプログラムを利用する事業者の表示であることを容易に理解できるようなものとなっているか、文言や当該文言を表示する位置、大きさ及び色等を留意する
※参考:事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(消費者庁)
また、今回の指針は不当表示等を未然に防止するため事業者の理解を助けることを目的としたもので、規制ではなく、事業者に向けてこうあるべきという運用を求めるためのものになります。この指針を順守しないことによる罰則や指針自体の強制力はないため、規制のレベルとしては今後さらに検討の余地があるとされています。
エルテスが支援できること
記事掲載前のリスクチェック
エルテスでは、アフィリエイト記事が掲載されるまでの間のリスクチェックを実施します。たとえば、ASPやアフィリエイターに共有される前に、広告主や広告代理店がアフィリエイト広告に関するレギュレーションをリスク視点でチェックします。また、記事公開前のコンテンツチェックも支援します。問題となりやすいアフィリエイト広告の記事に対して、記事の作成前と公開前にリスク要素がないかチェックを実施することで、表示に関する違反が発生する前に未然に防ぐことが期待できます。
アフィリエイトサイト監視(Webリスクモニタリング)
消費者庁の指針においても、景品表示法違反の未然防止や被害拡大防止の観点から、違反のあるアフィリエイト広告を速やかに発見できる体制の整備が求められています。エルテスでは、強みであるモニタリングのノウハウを活用して、監視体制について支援することが可能です。監視する要件をお客様と相談・決定したのち、アフィリエイト広告を定期的に監視するとともに、不適切な内容が認められた場合は即座に広告主に緊急通知し、迅速な対応ができるようサポートいたします。
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アフィリエイト広告のリスク対策は、エルテスへ