ネット炎上レポート 2024年9月版
2024年9月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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▼ 2024年上半期の炎上トレンドが学べるお役立ち資料はこちら
ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2024年9月のネット炎上トレンド
2024年9月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が62%(前月比9ポイント減)となりました。次いで「個人・著名人」が21%(6ポイント増)、「マスメディア」は17%(6ポイント増)と続きました。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳は「サービス」が38%(3ポイント減)、「メーカー」(7ポイント減)と「自治体・団体」(4ポイント増)がそれぞれ8%を占めました。さらに「インフラ」(3ポイント減)と「IT」(前月同数)がそれぞれ4%と続きました。(図1)
収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が67%(20ポイント増)と大幅な増加を見せており、提供商品や顧客対応への不満がSNS上で拡散した事例が相次いだことが背景となっています。「不適切発言・行為、失言」は前月に大幅なポイント増加を見せていたものの9月には前月までの数値に落ち着き20%(12ポイント減)となりました。次いで「不祥事/事件ニュース」が13%(3ポイント増)という結果になりました。(図2)
収集データを元にエルテスが作成
周知されていたルールから逸脱した店舗運営がSNSに表出したことで批判殺到
とあるクリエイターとのコラボカフェでの顧客対応に批判が殺到しました。
きっかけは、提供のルールを逸脱して余分にノベルティをもらったことや会計を値引きしてもらったとする来店顧客の投稿を目にしたユーザーが問題視してSNSに投稿したことでした。投稿の拡散とともに同じようにルールから逸脱するサービスを受けたとするユーザーからの投稿が複数見られ、一部の顧客に対する特別対応への批判が多く見られる結果となりました。批判を受け、運営企業からは声明がリリースされています。
SNSによって誰もが情報発信者となり得る現代において、1店舗の顧客対応の問題であっても、世界に拡散されレピュテーションを棄損してしまうリスクが表面化しています。企業は店舗運営上のルールを徹底するとともに、自社のリスクの火種となる投稿がSNS上に表出していないかを常時チェックすることが求められているといえます。
来場客の不適切行為がSNS上で話題となり、企業側の対応も注目される
とある展示イベントに訪れたとするインフルエンサーの投稿が物議を醸しました。
投稿では、イベントに関連したグッズを身に着けた露出度の高い衣装で撮影した写真が掲載されており、「子どもも訪れる場所では不適切である」といった批判意見が見られた一方、PRの案件としてイベントの運営から許可されているのではないかという意見も見られました。施設の運営企業に問い合わせたというユーザーによると、インフルエンサーがPRの依頼をされていない一般来場者であったことやスタッフからは注意喚起と退場を促していたとの返答があったと投稿されています。
今回の事象においては、企業側の対応は適切であっても、投稿の拡散によって第三者からの問い合わせなど、対応工数が発生する可能性が認識できます。
まとめ
9月に発生した炎上では、店舗での顧客対応に関する事例が複数見られました。1店舗、1従業員による個別対応であっても、SNSに企業名やブランド名とともに表出することにより、企業への批判の声となります。
複数の企業が関わる企画・キャンペーンであった場合には、関係する企業に批判が波及することが想定されるため、できるだけリスクを低減することが重要です。
顧客による投稿など自社起因ではない火種投稿は、早期に検知しSNSの論調を把握することによって、問題点や原因の整理、適切な対応の検討が可能となります。店舗を統括する本社や本部は、店舗へ運営上のルールを周知・徹底すると同時に、平時からリスクに備えた対策の実施を推奨します。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。
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