
ネット炎上レポート 2025年12月版
2025年12月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2025年12月のネット炎上トレンド
2025年12月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が90%(前月比12ポイント増)と全体の9割を占める結果となりました。背景には前月まで見られていた「マスメディア」(11ポイント減)の炎上が0%に減少したことが挙げられます。次いで、「個人・著名人」は10%(1ポイント減)となりました。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳は、「サービス」が51%(19ポイント増)と大幅なポイント増加となりましたが、前月までの平均値に戻っています。次いで「メーカー」が16%(2ポイント増)、「自治体・団体」が10%(3ポイント増)、「教育機関」は3%(3ポイント増)という結果になりました。(図1)

収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が64%(5ポイント増)と全体の6割以上を占めています。さらに「不適切発言・行為、失言」が18%(14ポイント減)、「情報漏えい/内部告発」(7ポイント増)と「不祥事/事件ニュース」(2ポイント増)がそれぞれ7%、「異物混入」が4%(前月同数)という結果となりました。(図2)

収集データを元にエルテスが作成
企業コラムでの不適切な表現が炎上
とある人事労務関連のサービスを提供する企業のコラムにおける表現がSNS上で話題となりました。問題視されたのは「チンパンジーが配属されてきたら」という表現で、ユーザーからは提供サービスの特性から「人を人以外の動物に例えることは不適切」や「馬鹿にしているように感じた」といった批判的な意見が相次いで見られました。企業は記事の内容を削除し、謝罪と再発防止に関する文章をリリースしています。
今回の事例においては提供しているサービスの特性を踏まえた批判意見が散見されており、企業として社会から持たれる期待から逸脱することが炎上リスクとなることが分かりました。コンテンツを公開する前に、社会からの期待をはじめとするパーセプションを理解した上で炎上の火種となる表現がないかチェックすることを推奨いたします。
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PR動画で他社製品を破壊する演出に批判殺到
マッチングアプリを運営する企業が公開したPR動画に批判が集まりました。動画では鉄道模型を踏みつけるシーンが描かれており、実在する商品だったことも相まって、「演出とはいえ、他社の商品を踏みつけるのは不適切」や「特定の趣味を否定している」といった批判的な意見が多くみられました。企業は批判を受け、動画の配信停止と謝罪文の公開を行っています。
他社製品を破損する表現でのクリエイティブ炎上は過去にも発生していることから、企業に求められる対策としては過去の炎上事例をノウハウとして蓄積し、火種となる表現を含んでいないかクリエイティブチェックを複数の目線で実施することが求められます。
また、企業が本来伝えたかった意図とは異なる伝わり方で炎上するケースは、炎上するタイミングが予測できず企業側が気づいたときには大きく炎上してしまっている状態に陥る可能性があることにも注意すべきです。防止のためには、クリエイティブ公開開始のタイミングだけでなく、平時からSNS上の投稿をモニタリングし、批判の声を早期に発見して適切な企業対応を検討することが重要となります。
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まとめ
12月に発生している炎上では、コンテンツのチェックの重要性が実感できる事例が複数発生しています。
企業が発信する情報は、想定しているターゲット外のユーザーの目に入る可能性があることを考慮した上でコンテンツを作成する必要があります。
1つ目の事例では、記事の内容自体は賛同の声も見られていたことから、ターゲット外の目に触れ、本来の意図と異なる捉えられ方をしてしまった可能性があります。本来伝えたかった意図とは異なる伝わり方をして拡散・炎上してしまうケースも存在するため、本来の意図と異なる捉えられ方をした場合には批判が広がる前に早期に検知し、企業対応を検討することが求められます。
2つ目の事例では、コンテンツの公開前チェックの重要性とともに、現在の炎上トレンドや過去の炎上事例からの教訓をノウハウとして蓄積し、クリエイティブチェックの参考にしていただくことを推奨します。炎上した際に企業がどのように対応したかといった情報も併せて認識しておくことで、万が一自社で炎上が発生した場合に備えて事前に企業対応を検討しておくことが可能となります。
また、今回のように他社の商品をぞんざいに扱ってしまう表現は批判を受けやすく、商品のファンなどネガティブな意見を持つユーザーが増える要因となります。企業の危機管理体制への指摘に繋がり、ブランド棄損などの企業への悪影響を生むリスクがあることを認識し、十分に対策を講じた上でクリエイティブを企画することを推奨いたします。
どちらの事例においても、企業の予期せぬタイミングで批判が殺到するリスクを想定し、SNSのモニタリングを通じて、批判の声が大きく拡散される前の段階でキャッチアップ・適切な対応を検討する体制を事前に整備しておくことが企業にとっての重要な炎上の対策と言えます。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。







