
ネット炎上レポート 2026年3月版
2026年3月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2026年3月のネット炎上トレンド
2026年3月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が81%(前月比1ポイント減)と引き続き全体の8割以上を占める結果となりました。
そのほか、「個人・著名人」が11%(2ポイント減)、「マスメディア」は4%(1ポイント減)と続いています。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳では、「サービス」が52%(前月同数)と全体の半数を占めています。次いで「メーカー」が18%(18ポイント増)と大幅なポイント増加を見せておりますが、海外で展開した広告クリエイティブが不適切であるとして炎上した事例など複数の炎上が見られたことが背景にあります。「自治体・団体」は11%(2ポイント減)という結果となりました。(図1)

収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が59%(12ポイント増)と大きなポイントの増加を見せておりますが、前月までの平均の数値に戻っています。次いで「不適切発言・行為、失言」が27%(11ポイント増)、前月大きなポイントの増加が見られた「不祥事/事件ニュース」が14%(18ポイント減)と前月までの平均値に戻っています。(図2)

収集データを元にエルテスが作成
過去に有罪判決を受けた作者の起用を巡り、出版社が炎上
とあるコミックサイトにて、過去に有罪判決を受けた作者がペンネームを変更して連載していることがSNSを中心に大きな話題となりました。
拡散を受け、運営企業は指摘の内容が事実であることを認めた上で、「必要なプロセスを経て起用した」旨の釈明文を数日後に発表しました。しかし、ユーザーからは対応の遅延に対する指摘や「起用自体が不適切ではないか」といった批判が止まず、声明発表後も企業の対応を疑問視する声が散見されています。
企業が著名人やクリエイターをタイアップなどで起用する際には、過去の言動を含めた炎上のリスクを精査し、慎重に検討する必要があります。また、過去に問題があった人物を起用する際には、企業の方針やコンプライアンスの観点から「どのような判断で起用に至ったのか」について説明を求められる可能性があるため、事前にQ&Aなどを準備しておくことを推奨いたします。
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顧客対応不満がSNS上に表出し炎上
3月には、個別の顧客対応がSNS上で可視化され、炎上に至った事例が複数見られました。
A) レンタカーを利用したユーザーが、小さな傷を理由に高額な修理代を請求されたと投稿し、大きな話題となりました。同じ企業で過去に追加で費用を請求された複数のユーザーが批判の声を投稿し、炎上を助長しました。企業側は事実関係の報告とともに謝罪文を発表する事態となりました。
B) ヘアケアブランドの販売ブースにて、スタッフが来場者の髪型について不適切な発言をし、それを不快に感じたユーザーの投稿に批判が集まりました。これに呼応するように、同ブースで不適切な対応をされたユーザーからの投稿が相次いで見られる動きもありました。投稿内ではブランド名を明言していなかったものの、リプライ欄等のやりとりから特定に至りました。企業は批判を受け、謝罪と再発防止に関する声明をリリースしています。
個別の顧客対応であっても、ひとたび拡散すればブランドイメージに重大な毀損を招くリスクがあることを、企業は強く再認識する必要があります。
顧客対応のトラブルは現場からのエスカレーションを経て本部が把握する流れが一般的でした。しかし現在では、誰もが情報発信者となり得るSNSの特性により、本部が事実を把握するよりも先に、ネット上で拡散・炎上が発生する事態が少なくありません。
企業には本来のエスカレーション体制と並行して、ネット空間に表出するユーザーの声を収集する仕組みを構築し、炎上の火種を見逃さない、早期に検知し対応を検討する体制を整えておくことが不可欠です。
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まとめ
3月の炎上事例からは、自社に対するSNS上のネガティブな意見が、企業経営に多大な影響を及ぼし得ることを再認識させられます。
1つ目の事例では、著名人やクリエイターを起用する際の事例からは、過去の問題であっても再燃し、炎上に繋がるリスクがあることが明らかになりました。こうした事態に備えるには、起用の選定基準や企業方針を明確化し、万が一批判が寄せられた際にも一貫性のある説明ができるよう、事前に論点を整理しておくことが不可欠です。
2つ目、3つ目の事例では、たとえ個別の事象であっても、瞬時に多くの人の目に触れるリスクが浮き彫りとなりました。企業や従業員側に過失がある場合、ブランドイメージの毀損を完全に防ぐことは困難です。被害を最小限に留めるためには、火種となる投稿の「早期検知」と「迅速な対応検討」が要となります。
以上のことから、平時より自社やブランドへの投稿をモニタリングする仕組みを整え、リスクを早期に検知した上で、事実確認や具体的な対応策を即座に検討できる体制を構築しておくことが極めて重要です。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。






