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WeChat(微信)とは?危険性と企業ができる対策、日本で使う方法を紹介

WeChat(微信)は、中国最大級のメッセージアプリであり、中国国内でのビジネスやマーケティング活動に欠かせない存在となっています。日本企業の中にも、中国市場を視野に入れた情報発信の手段としてWeChat(微信)を利用するケースが増えています。一方で、情報管理やプライバシーに関する懸念、政府の規制による制約など、企業として慎重に考慮すべきリスクも存在します。

本記事では、WeChat(微信)の基本情報、日本で使う方法、リスク管理のポイントについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.WeChat(微信)とは
  2. 2.WeChat(微信)を日本で使う手順
    1. 2.1.①WeChat(微信)をダウンロード
    2. 2.2.②アカウント登録
    3. 2.3.③セキュリティ認証
  3. 3.WeChat(微信)は危険性があるのか
    1. 3.1.WeChat(微信)は厳しいチェックを受けている
    2. 3.2.WeChat(微信)は安全管理が徹底されている
  4. 4.WeChat(微信)のリスク
    1. 4.1.情報漏洩のリスク
    2. 4.2.通信が暗号化されない
    3. 4.3.ストーカーのリスク
    4. 4.4.WeChat Pay(微信支付)利用トラブルのリスク
  5. 5.WeChat(微信)を企業が安全に使用する方法
    1. 5.1.位置情報やGPS機能をオフにする
    2. 5.2.支払い時に注意する
    3. 5.3.乗っ取りに対する対策を行う
  6. 6.まとめ


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WeChat(微信)とは

WeChat(微信)は、「中国版LINE」とも呼ばれます。

2011年に中国の大手IT企業テンセント(騰訊)がリリースし、当初はWhatsAppやFacebook Messengerのようなインスタントメッセージアプリとして開発されました。現在では、メッセージ機能だけでなく、さまざまなサービスを提供するスーパーアプリへと拡張されています。

中国では、スマートフォンを入手するとすぐにWeChat(微信)をダウンロードするのが一般的であり、日常生活に不可欠な存在となっています。


WeChat(微信)を日本で使う手順

WeChat(微信)は、日本の携帯番号でも登録できます。ここでは、グローバル版WeChat(微信)の登録方法を説明します。


①WeChat(微信)をダウンロード

まず、WeChat(微信)をインストールします。iOSおよびAndroidのアプリストアから無料でダウンロードできます。

引用:App Store


②アカウント登録

「登録」をタップし、画面の指示に従って入力を進めます。
携帯番号を入力する際、「080〜」の場合は、最初の「0」を省いて「80〜」のように入力します。

例:「+81 80-〇〇〇〇-××××」

パスワードは8〜16桁の範囲で設定します。地域を日本に設定すると、WeChat(微信)の画面もすべて日本語で表示されます。

引用:WeChatアプリ


③セキュリティ認証

「WeChat(微信)プライバシーポリシー」を確認し、「私はすでにプライバシーポリシーを読み、承認しました」にチェックを入れます。

「次へ」をタップすると、「セキュリティ認証」画面が表示されるため、指示に従い認証を完了させます。

認証後、SMSで確認コードが送信されます。受信したコードを入力すると、アカウントの登録が完了します。
地域を日本に設定すると、WeChat(微信)の画面もすべて日本語で表示されます。


引用:WeChatアプリ


WeChat(微信)は危険性があるのか

WeChat(微信)について検索すると、「危険」「禁止」などの言葉が表示され、ダウンロードをためらう人もいるかもしれません。特に、海外製アプリであることから、セキュリティ面に不安を感じる声もあります。

しかし、WeChat(微信)自体が危険なアプリであるとは言えません。


WeChat(微信)は厳しいチェックを受けている

WeChat(微信)は、App Storeの審査を通過し、中国政府の基準も満たしたうえで提供されています。App Storeでは、「安全性」「パフォーマンス」「ビジネス」「デザイン」「法的事項」などが厳しく審査されます。特に近年は、プライバシー保護の基準が強化され、ユーザーの個人情報が適切に管理されているかが細かくチェックされています。

さらに、中国国内で提供するためには、中国政府の規制を守る必要があります。たとえば、前述の登録手順でも触れたように、アカウント登録時には電話番号の入力が必須です。実名登録が求められるため、匿名での悪意のある利用が制限されています。


WeChat(微信)は安全管理が徹底されている

WeChat(微信)は、情報管理に関しても国際的な基準を満たしています。具体的には、以下のセキュリティ認証を取得しています。

  • TRUSTe(アメリカ発の個人情報保護第三者認証プログラム)
  • ISO/IEC 27001(情報セキュリティ管理システム)
  • ISO/IEC 27018(パブリッククラウドにおける個人情報保護)

また、WeChat(微信)内のニュースやインフルエンサーの投稿は、開発元のテンセントと中国政府の監視下にあり、違法や不正利用を防ぐ仕組みが整っているとされています。


WeChat(微信)のリスク

WeChat(微信)は厳しい審査を通過し、安全管理もされています。しかし、どのアプリにもリスクは存在し、利用方法によっては情報漏洩やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。


情報漏洩のリスク

WeChat(微信)は、中国政府の規制下にあり、送受信される情報が監視・検閲の対象となる可能性があります。特に、中国政府にとって不利益となる情報や特定のキーワードが含まれる場合、アクセス制限がかけられることがあります。これは犯罪防止を目的とした規制ですが、利用者にとっては一定の情報統制が行われている点を理解しておく必要があります。

具体例と対処方法

WeChat(微信)で「民主主義」などの中国政府に関する特定の禁止ワードを検索すると、一時的に検索サイトの動作が遅くなることがあると言われています。

また、通話中に政治的な話題に触れると、通信が不安定になったり、途中で切断されるケースもあるようです。

ただし、情報検閲の対象となるのは政府への批判的な内容や法律に抵触するコンテンツが中心です。そのため、一般的な利用においては、必要以上に過敏になる必要はないと考えられます。


通信が暗号化されない

WeChat(微信)は他の主要なメッセージアプリと比較すると、通信の暗号化が不十分であると指摘されています。LINEやWhatsAppでは「エンドツーエンド暗号化(E2EE)」が導入され、送信者と受信者以外はメッセージを閲覧できません。

しかし、WeChat(微信)は中国政府が通信を監視しやすくするため、暗号化が制限されています。その結果、WeChat(微信)の通信データは暗号化されず、プライバシーやセキュリティの面で懸念があります。


ストーカーのリスク

WeChat(微信)には、「近くにいる人検索」や「居場所の共有」などの位置情報を利用する機能があります。設定によっては、個人の位置情報が第三者に漏れる可能性があります。
「近くにいる人検索」は、GPSを使って周辺のユーザーを特定し、メッセージのやり取りができる機能です。中国ではビジネスや出会い目的で利用されることが多いですが、悪用されるとストーカー行為につながる恐れがあります。

また、「居場所の共有」では、リアルタイムで位置情報を相手と共有できます。待ち合わせやグループ活動には便利ですが、誤って第三者に共有すると居場所を特定されるリスクがあります。特に、不特定多数とやり取りをする場面では、位置情報の共有設定を慎重に管理することが重要です。


WeChat Pay(微信支付)利用トラブルのリスク

WeChatにはモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」が搭載されており、中国では広く利用されています。日常的な支払い、公共料金の決済、送金など、多くの場面で活用され、特にQRコードを利用した決済が普及しています。

しかし、利便性が高い一方で、セキュリティリスクも存在し、利用者を狙った詐欺や不正アクセスの被害が報告されています。

具体例

中国では、シェアサイクルを利用する際、車体に貼られたQRコードをスキャンして決済を行います。しかし、一部の犯罪者が本物のQRコードの上に偽物を貼り付け、スキャンしたユーザーを不正なサイトへ誘導するケースがあります。その結果、WeChat Payの決済情報が盗まれ、口座から不正に引き落とされる被害が発生しています。

また、スーパーやコンビニで支払用のQRコードをスマホ画面に表示しているときに、他人がそのQRコードを撮影し、不正に決済を行うケースもあります。

対策

WeChat Payでは、詐欺や不正利用のリスクを防ぐために、支払い上限の設定や追加認証の導入が進められています。

たとえば、100元(約2,000円)以上の決済では、QRコードを読み取るだけでなくパスワード入力を必須にする設定が可能です。また、決済後に通知が届く機能を活用すれば、不正な引き落としに素早く気づき、早期対応ができます。


WeChat(微信)を企業が安全に使用する方法


WeChat(微信)は情報漏洩やセキュリティリスクの懸念がありますが、事前に適切な対策を行い、注意点を理解することで、多くのリスクを回避することができます。

日本企業の中でも中国へビジネス展開する企業をはじめ、WeChat(微信)を利用してコミュニケーションを取る場合もあるでしょう。企業がWeChat(微信)を安全に使用するためのポイントを解説します。


位置情報やGPS機能をオフにする

前の「ストーカーのリスク」でも触れたように、意図しない相手に現在地が知られないようにするため、アプリやデバイスの設定で位置情報の公開を制限することが重要です。

①WeChat(微信)内で位置情報を非公開にする方法

  1. WeChat(微信)アプリを開き、「自分」を選択
  2. 「設定」を開く
  3. 「全般」を選択
  4. 「発見を管理」を開く
  5. 「近くにいる人」の項目で「非表示」を選択

この設定をすると、「近くの人検索」機能を利用しても、自分の位置情報が他のユーザーに表示されなくなります。

②デバイス上で位置情報をオフにする方法

アプリ単体ではなく、デバイス全体で位置情報を制限することも可能です。

  • iPhoneの場合:「設定」→「プライバシー」→「位置情報サービス」→WeChat(微信)の設定を「なし」に変更
  • Androidの場合:「設定」→「位置情報」→WeChat(微信)のアクセス権限を無効化

この設定を行うと、WeChat(微信)だけでなく、他のアプリでも位置情報の提供が制限されるため、より安全性が高まります。


支払い時に注意する

QRコードをスキャンする前に、それが正規のものか確認することが重要です。店舗が提供する公式なQRコード以外は、安易に読み取らないようにしましょう。
決済直前までは QRコードを手で隠し、スマートフォンの画面を下向きにするなどの工夫をしましょう。覗き見防止フィルターを使用することも、盗み見による不正決済のリスクを減らすこともできます。

また、取引履歴を定期的に確認し、不審な取引がないか早めに察知することが重要です。万が一、不正な引き落としが発生した場合に備え、WeChat Pay(微信支付)に紐づける銀行口座の残高を最小限に抑えておくと安心です。


乗っ取りに対する対策を行う

WeChat(微信)のアカウントが乗っ取られると、個人情報が漏洩するだけでなく、金銭的な被害を受けるリスクもあります。安全に利用するためには、アカウントのセキュリティ対策を徹底することが重要です。

パスワードを複雑にする

パスワードは、英数字や記号を組み合わせた複雑なものに設定し、定期的に変更しましょう。単純なパスワードを使用すると、不正ログインのリスクが高まります。推測されやすいパスワード(誕生日や「123456」など)は避けるようにしましょう。

スマートフォン自体のセキュリティを強化する

アカウントの安全を守るためには、スマートフォンのセキュリティ対策も重要です。画面ロックのパスワードを設定するだけでなく、最新のセキュリティソフトウェアを導入し、定期的に更新することをおすすめします。

iPhoneではOSのアップデートによってセキュリティ対策が強化されるため、常に最新の状態を保つことが重要です。Androidの場合も、最新のセキュリティパッチを更新し、危険なアプリをインストールしないよう注意しましょう。

知らない人からの友達申請を拒否する

WeChat(微信)では、知らない相手から友達申請が届くことがありますが、不審な相手とは安易に連絡を取らないことが大切です。
個人情報を共有する際は、相手が信頼できるかどうかを慎重に判断し、不必要な情報の開示を避けるようにしましょう。


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まとめ

WeChat(微信)は、中国とのビジネスや決済に欠かせない便利なツールですが、情報漏洩やセキュリティリスクを考慮し、安全対策を徹底することが求められます。適切な設定や対策を行うことで、多くのリスクを回避できます。

位置情報の管理を徹底し、支払い時の確認を怠らず、アカウントの乗っ取り防止策を講じることで、安全にWeChat(微信)を活用しましょう。

著者・監修|株式会社エルテス編集部
著者・監修|株式会社エルテス編集部
株式会社エルテスは、これまで多種多様な企業のデジタルリスク対策に尽力してきたノウハウを生かし、企業のリスク課題・デジタル課題に役立つコンテンツを提供しています。 編集部ではネット炎上やSNS運用トラブル、ネット上の風評被害・誹謗中傷、情報セキュリティ対策など様々なビジネスのリスク課題に関するコラムを発信しています。
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