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企業不祥事の原因と影響とは?信頼を守る危機管理広報のポイントも解説

近年、企業の不祥事がメディアで大きく報じられ、企業の危機管理能力が厳しく問われるようになっています。一度対応を誤ると、企業の存続に関わる重大な問題へと発展しかねません。

特に、ソーシャルメディアの急速な発展により、ネット上での告発がきっかけで不祥事が明るみに出るケースが増えています。従業員の不適切な投稿、情報漏洩、労働問題がSNSを通じて拡散し、いわゆる「ネット炎上」に発展することも少なくありません。中には、上場承認後に延期や取り消しが発表される企業もあります。

この記事では、企業不祥事の種類やその影響、そして適切な危機管理広報の重要性について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.企業不祥事とは
  2. 2.企業不祥事の種類
    1. 2.1.横領
    2. 2.2.情報漏洩
    3. 2.3.不適切な会計処理
    4. 2.4.品質データ偽装
    5. 2.5.ハラスメント
  3. 3.企業不祥事対応の失敗がもたらす影響
    1. 3.1.社会的信頼の失墜
    2. 3.2.経済的損失の拡大
    3. 3.3.事態の長期化
  4. 4.企業危機管理とは
  5. 5.危機管理広報とは
  6. 6.危機管理広報の基本の心構え
    1. 6.1.①スピーディーな対応
    2. 6.2.②透明性のある情報発信
    3. 6.3.③共感を持てる説明
    4. 6.4.④一貫した対応
  7. 7.デジタル環境での不祥事が持つ特徴
    1. 7.1.SNS上での情報拡散の流れ
    2. 7.2.デジタルリスクに備えるならエルテス
  8. 8.まとめ


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企業不祥事とは

企業不祥事とは、企業が業務を行う中で発生し、大きな損害をもたらす可能性のある問題や事故のうち、当該企業による故意または注意義務違反が主な原因となるものを指します。

企業で起こる問題や事故は本来、企業として適切な対策を講じることで未然に防ぐことや、被害を抑えることが可能です。しかし、企業側の不注意や不適切な対応が原因で発生するケースも多く見られます。

企業不祥事は単なる偶発的なトラブルではなく、リスク管理の重要な対象として捉えられ、適切な予防策や対応策を講じることが求められます。


企業不祥事の種類

企業不祥事にはさまざまな種類がありますが、代表的な例を紹介します。


企業不祥事の例


横領

横領とは、自己の占有する他人の物を不正に取得することを指します。特に、「業務上自己の占有する他人の物を横領すること」を「業務上横領」と呼ばれ、刑法第253条により10年以下の懲役が科されます。

よくある横領事例は、「現金の横領」「預金の横領」「切手や印紙の横領」の3つに分けられると言われています。内部管理が不十分な企業では、不正が長期間発覚せずに続くこともあります。


情報漏洩

情報漏洩とは、企業が保有する情報が外部に流出することを指します。特に、営業秘密や個人情報の漏洩は、大きな損害をもたらす問題であり、企業不祥事のひとつと言えます。

情報漏洩の主な原因は「外部要因」と「内部要因」の2つに分けられ、外部要因には、不正アクセスやマルウェア感染などのサイバー攻撃が含まれます。一方、内部要因には、メールの誤送信、個人情報が入ったUSBの紛失、社内関係者による機密情報の不正な持ち出しなどが該当します。

情報漏洩が発生した場合、不正競争防止法や個人情報保護法、不正アクセス禁止法などにより、刑事罰や行政処分の対象となることがあります。


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不適切な会計処理

日本公認会計士協会によると、不適切な会計処理とは「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り(監査・保証実務委員会研究報告第25号)」とされています。

例えば、実際よりも利益を大きく見せる「粉飾決算」は、投資家や取引先を騙す行為にあたります。他にも、税金を減らすために利益を少なく見せるケースや、横領などの不正を隠すために帳簿を改ざんするケースもあります。


品質データ偽装

品質データ偽装とは、製品が基準を満たしていないと認識しながら、取引先への納入や消費者への販売を行う不正を指します。

企業は、製品の安全性や性能を検査し、基準を満たしていることを証明する必要があります。しかし、コスト削減や納期厳守を優先するあまり、検査結果を改ざんしたり、本来の試験を行わずに虚偽のデータを記録するケースがあります。

不正が発覚すると、消費者や取引先の信頼を大きく損ない、製品のリコールや法的措置に発展する可能性があります。


ハラスメント

ハラスメントとは、相手が不快に感じる行為全般を指します。

職場においては、セクシュアルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)が特に問題となります。近年では、顧客からの過度な要求や暴言を指す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」も社会的な課題として注目されています。

企業は従業員に安全に働ける環境を提供する必要があり、ハラスメントなどを放置して安全配慮義務を怠り問題が起きた場合は企業不祥事と捉えられるでしょう。


企業不祥事対応の失敗がもたらす影響

企業不祥事が発生した際、対応によっては社会的信頼の失墜や経済的な損失を拡大させる要因となります。


企業不祥事対応の失敗がもたらす影響


社会的信頼の失墜

不祥事発生時に情報を隠したり、不正確な説明をすると、企業の信頼は大きく損なわれます。経営陣が責任を回避する姿勢を見せれば、不信感が高まり、SNSやメディアで急速に批判的な意見が拡散され、消費者や取引先の離反を招く可能性があります。


経済的損失の拡大

不祥事により信頼を失えば、顧客離れが進み、売上の減少や取引先からの契約打ち切りにつながる可能性があります。特に上場企業の場合、不祥事被害によるブランド価値の低下が株価の下落、投資家の不安にもつながります。最悪の場合、経営破綻に至るリスクも考えられます。


事態の長期化

初動対応の遅れや社内の意思決定の遅延は、問題の長期化を招きます。特に、対応方針の策定や責任の所在が不明確な場合、社内の足並みが揃わず、適切な危機対応ができなくなることがあります。

その結果、不祥事に対する社会の関心が長引き、報道やSNSでの炎上が続くことで企業イメージの回復が難しくなります。さらに、外部機関による調査や、行政指導の対応が求められるケースでは、法的手続きなどによる長期化が避けられません。

また、訴訟に発展した場合、判決が確定するまでの間に企業の経営資源が大きく削がれ、企業の再建までより時間がかかることが想定されます。


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企業危機管理とは


企業危機管理のプロセス

出典:山見博康(2024)『危機管理広報大全――あらゆる危機局面の内外実務一切を網羅』を基に作成


企業危機管理とは、平常時にはあらゆる危機を予測し、未然防止や回避の手段を講じることを指します。緊急時には、迅速かつ適切に対応し、二次被害の拡大を防ぐことが求められます。

また、組織全体で危機の収束に向けた行動を取り、事態を好転させることも重要です。この危機管理の役割は、企業不祥事の対応において欠かせません。前述のとおり、適切な体制が整っていなければ、対応の遅れや判断ミスにより、企業の信頼回復が困難になります。したがって、危機発生時には社内での意思決定の流れを明確にし、迅速に対応できる仕組みを整えることが重要です。

そのため、危機管理を適切に機能させるうえで、「危機管理広報」が重要な役割を果たします。


危機管理広報とは

危機管理広報とは、企業がリスクやクライシスに対応する際の広報活動です。具体的には、説明会や意見交換会、記者会見、SNSでの情報公開、クレーム対応、質問への回答などのコミュニケーション活動が含まれます。

企業の不祥事は、事実そのものよりも社会の評価によって影響が大きく左右されます。不適切な対応は、不信感を拡大させ、業績悪化や倒産を引き起こすこともあります。そのため、危機管理広報では単なる謝罪にとどまらず、迅速で適切な情報発信と誠実な対応が求められます。


危機管理広報の基本の心構え


危機管理広報の基本の心構え


企業の危機管理対応において最も重要なのは、誠実な対応を貫き、信頼される企業を目指すことです。危機をすべてコントロールすることはできませんが、危機を起こさない、起きないように注意し、起きた後に備えることはできます。この時に心構えが重要になります。

ここでは、危機対応時に押さえておくべき4つの基本の心構えを紹介します。

①スピーディーな対応

まず、危機発生時には「スピーディーな対応」が求められます。

問題の公表だけでなく、事実確認、原因分析、社内処分、再発防止策の発表まで、すべての対応を迅速に進める必要があります。

対応が遅れれば、「隠蔽しようとしたのではないか」と疑われ、社会の不信を招く原因になります。また、被害者がいる場合、救済の遅れはさらなる批判につながります。


②透明性のある情報発信

次に、危機対応には「透明性の確保」が不可欠です。

情報を隠したり、虚偽の説明をすると、後で発覚した際に企業への不信感が一気に高まります。「まだ何か隠しているのではないか」と疑われ、信用を失う原因になります。

また、情報を公表する際は、不祥事発覚の経緯や調査方法、事実関係、根本的な原因などを明確にすることが大切です。


③共感を持てる説明

危機対応では、スピーディーな対応や透明性の確保だけでなく、社会やステークホルダーの共感を得られる説明が欠かせません。

単に事実を伝えるだけではなく、企業としての責任をどのように受け止め、再発防止に取り組むかを誠実に示すことが重要です。また、専門用語や業界慣行に依存した説明は、一般の人々には理解されにくく、社会からの批判を招く要因となることがあります。


④一貫した対応

最後に、危機対応において重要なのは、一貫した対応を維持することです。

企業に必要な一貫性は、「事実関係の説明」と「不祥事対応の方針」の2つに分けられます。事実関係の説明が変わると、調査能力そのものが疑われ、信頼の回復が難しくなります。また、初期対応の誤りから謝罪や救済へ転じる対応は、社会の不信感を招く要因となります。

対応や説明が二転三転しないよう、早期に適切な方針を決定することが重要です。


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デジタル環境での不祥事が持つ特徴

近年、SNSの普及により、企業不祥事の影響は広がりやすくなっています。一度炎上すると、沈静化までに時間がかかることが特徴です。

また、隠された情報はいずれ公になると考え、企業として適切な対応を取らなければ、問題が拡散し長期化することを理解しておくことが大切です。


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SNS上での情報拡散の流れ


SNS上での情報拡散の流れ


不祥事が発生すると、SNS上で情報が拡散し、炎上につながることがあります。主な流れは以下の通りです。

  1. 企業による不祥事の発生や内部関係者による告発
  2. SNSユーザーによる批判的な反応や投稿の拡散
  3. インフルエンサーやネットニュースが取り上げ、拡散が加速
  4. マスメディアで報道され、社会的な問題として認知

炎上リスクを理解し、事前に対策を講じることが、早期の沈静化につながります。


デジタルリスクに備えるならエルテス



デジタル社会における不祥事対応には、専門知識に加え、デジタル空間への理解も不可欠です。エルテスは、SNSやネット上で企業不祥事の情報が出回った際の対応を支援するサービスを提供しています。

Webリスクモニタリングサービスでは、SNS上の投稿監視により、内部告発や従業員の不適切行動に関するSNS投稿を広く拡散される前に検知し、企業の対応をサポートします。

企業の評判を守るために、是非一度エルテスにご相談ください。


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デジタル時代の不祥事対策は、エルテスへ


まとめ

企業不祥事への対応は、企業の存続に関わる重要な課題です。今回紹介した対応策はその一部に過ぎませんが、適切な対応を取ることで、想定される損失を最小限に抑えることができます。特に、大企業や知名度の高い企業ほど、レピュテーションダメージの影響は大きくなるため、その重要度は高いと言えます。

社会との関係を大切にしながら、持続可能な経営を目指しましょう。

著者・監修|株式会社エルテス編集部
著者・監修|株式会社エルテス編集部
株式会社エルテスは、これまで多種多様な企業のデジタルリスク対策に尽力してきたノウハウを生かし、企業のリスク課題・デジタル課題に役立つコンテンツを提供しています。 編集部ではネット炎上やSNS運用トラブル、ネット上の風評被害・誹謗中傷、情報セキュリティ対策など様々なビジネスのリスク課題に関するコラムを発信しています。
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