
システム監査とは?目的や流れをわかりやすく解説
現代の企業経営において、情報システムは競争力の維持と社会的信頼の確保に不可欠なインフラとなっており、DX化の加速やサプライチェーンの複雑化に伴い、その健全性を客観的に評価する「システム監査」の重要性はますます高まっています。
このコラムでは、システム監査の定義や目的、そして実務的な監査プロセスに至るまでを詳しく解説します。
目次[非表示]
システム監査の定義と目的
2023年4月に経済産業省が改訂した「システム監査基準」において、システム監査の定義と目的について、以下のように述べています。
システム監査とは、専門性と客観性を備えた監査人が、一定の基準に基づいてITシステムの利活用に係る検証・評価を行い、監査結果の利用者にこれらのガバナンス、マネジメント、コントロールの適切性等に対する保証を与える、又は改善のための助言を行う監査である。
また、システム監査の目的は、ITシステムに係るリスクに適切に対応しているかどうかについて、監査人が検証・評価し、もって保証や助言を行うことを通じて、組織体の経営活動と業務活動の効果的かつ効率的な遂行、さらにはそれらの変革を支援し、組織体の目標達成に寄与すること、及び利害関係者に対する説明責任を果たすことである。
かつてシステム監査といえば、システムが故障しないための対策や、データ消失を防ぐバックアップなど、データの正確性や安全性の確保が強調される傾向にありました。
しかし現在では、クラウド技術やAIの普及に伴い、ITガバナンスやリスク管理、コンプライアンス遵守など、システム監査は単に不備を見つけて指摘する活動から、組織の経営活動や業務活動の変革を支援する役割への変化が期待されています。
関連記事:上場審査や内部監査で問われる監査証跡とは?内部不正リスクに備える実践ガイド
システム監査とIT監査の違い
システム監査と混同されやすい概念に「IT監査」があります。企業は財務諸表を作成して株主などに報告する義務がありますが、その数字が適正かどうかを公認会計士などの専門家が法令に基づいて検証する「法定監査」において、IT監査はその一部として実施されます。
一方でシステム監査は、組織が自律的にリスクを管理し、経営活動を効果的かつ効率的に遂行するために任意で実施されるものであり、対象は会計システムに限らず、情報システム全般や組織体制、セキュリティポリシー、経営戦略との整合性など多岐にわたります。
両者の違いをまとめると、IT監査においては、財務諸表に誤りが生じるリスクがないかという視点が最優先されますが、システム監査においては、システムが経営に役立っているか、効率的に運用されているか、法規制を遵守しているかといった多角的な視点から評価が行われます。
システム監査の流れとプロセス

システム監査を効果的かつ効率的に実施するために採用されているのが、リスクが大きい領域から優先的に調査する「リスク・アプローチ」という考え方です。「リスク・アプローチ」とは、監査対象に潜むリスクの発生可能性や、発生した場合の影響度を事前に評価し、リスクの高い領域に監査の時間や人員を重点的に配分する手法です。
これにより、限られた監査リソースの中でも重要なポイントを確実に検証でき、重大な問題の見落としを防ぎながら、効率的かつ効果的な監査の実施が可能になります。
監査のプロセスは、一般的に以下の流れで進められます。
①監査の準備と計画を立てる
まず、監査範囲とテーマを明確に定めます。例えば、個人情報保護体制が十分か、システムがどれだけ有効に使われているか、セキュリティ対策に抜けがないか、といった経営方針と直結する監査対象を選定します。
次に、監査対象に潜むリスクの予備調査を行います。関係者へのヒアリングや関連資料の確認や、詳細な監査計画の策定、必要な資料やチェックリストを準備し、本調査がスムーズに進むよう段取りを整えます。
②情報収集と、評価と検証で実態を把握する
準備が整ったら、本調査を開始します。
システムの責任者や担当者との面談、システムの操作ログ確認、実際のシステム機能が設計通りに動いているかのテストなど、多角的な手法で情報を集めます。収集した情報は「監査証拠」として記録され、システムの運用が適切かどうか、リスクが管理されているかを客観的に評価します。
例えば、問題が発生した際の対応履歴を追跡したり、過去の失敗事例を分析したりすることで、システムの信頼性や安全性を確認し、経営活動にどう貢献しているかを確認します。
③報告と改善提案を行う
監査によって明らかになった問題点や改善すべき事項を抽出し、報告書を作成します。さらに、システム監査は単なる状況共有に留まらず、問題点に対しては具体的な改善策を提案します。このプロセスを通じて、情報システムの信頼性と効率性を高め、企業の持続的な成長を支援します。
システム監査の重要性
このように、システム監査は組織のガバナンスを強化し、システムの信頼性を担保するための強力な手段ですが、定期的な監査だけでは捉えきれないリスクもあります。それは、システムを利用する内部関係者に起因するリスクです。
システム監査では、アクセス権限の管理ルールやログの取得設定といった仕組みが整備されているかは確認できますが、具体的に正当な権限を持つ従業員や委託先社員が、日々どのような意図を持ってシステムを操作しているか、という動的な振る舞いまでをリアルタイムに監視し続けることは、通常の手法では困難です。
例えば、退職予定者が顧客リストを持ち出すためにアクセス権限内でデータをダウンロードした場合、システム的には「正規の権限による操作」として処理されるため、従来の境界型セキュリティや自動ツールによるログ監視では異常として検知されないことが多いです。
▶事例から学ぶ、転職者による情報持ち出しの特徴を【無料】ダウンロード
システム監査によって「ルールや仕組み」が適正であると評価されたとしても、その運用実態において、個人の行動レベルでの不正や逸脱が見過ごされていれば、情報漏洩などの重大なインシデントを防ぐことはできません。監査証跡としてログを保存していても、膨大なログデータを人手で分析し、予兆を発見することは現実的ではなく、多くの企業では事後的な調査に留まっています。
また、働き方の多様化やテレワークの普及により、従業員の行動が見えにくくなっている現代において、性善説に基づいた管理には限界があり、「ゼロトラスト」の考え方に基づいた継続的なモニタリングが必要不可欠となっています。「ゼロトラスト」とは、従来の境界型セキュリティとは異なり、社内か外部かに関わらず全てのアクセス要求についてその都度信頼性を検証し、最小限の権限だけを許可するという考え方です。
ゼロトラストを導入することで、単にルールや仕組みが適正であるかを確認するだけでなく、従業員や委託先がシステムを利用する具体的な行動まで検証し、不審な挙動を早期に検知する体制を整えることができます。
関連記事:エンドポイントセキュリティの重要性と選び方を徹底解説!
情報漏洩を防ぎたいなら「内部脅威検知サービス」
こうしたシステム監査の限界を補完し、組織の内部リスク管理を実効的なものにするためのソリューションとして、エルテスが提供する「内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)」が挙げられます。
内部脅威検知サービスは、PCの操作ログやアクセスログ、勤怠データやファイルサーバのアクセスログなど、企業内に蓄積される多種多様なログデータを横断的に分析し、従業員の行動パターンから内部不正の予兆を検知します。
例えば、ある従業員が通常とは異なる時間帯に頻繁に機密データへアクセスしていたり、業務上不要なファイルの大量ダウンロードや外部ストレージへのアップロードがログに残っているといった複数の要素を同時に検知した場合、それぞれ単独では異常と判断しにくい行動でも、複合的に評価することで内部不正につながるリスクとして判定することがあります。
内部脅威検知サービスを導入することで、「ログが取得されているか」という形式的な確認にとどまらず、「ログが有効に分析され、異常が適時に検知・対応されているか」という実質的な運用状況を評価することが可能です。
さらに、内部脅威検知サービスは専門アナリストによる定期的な分析レポートの提供や運用支援も含まれているため、ログ分析の専門家が社内にいない企業であっても、高度なリスク管理体制を構築でき、強力な監査証拠を提供することにもつながります。
▶ 内部脅威検知サービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
内部脅威検知サービスの実績と導入企業の声
内部脅威検知サービスは実効性の高さから、厳格な情報管理が求められる大手製造業や金融機関、IT企業や研究開発組織など、多岐にわたる分野の企業で採用が進んでおり、解析対象となっているユーザーID数は30万IDを超える規模に達しています。
さらに、市場からの評価も確立されており、株式会社アイ・ティ・アールが提供する調査レポート「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場2025※1」においても、エルテスの内部脅威検知サービスがUEBA運用監視サービス市場シェアNo.1を獲得しており、信頼性と導入実績の高さが示されています。
実際に内部脅威検知サービスを導入した企業からは、リスク検知にとどまらず、運用担当者の負荷軽減や組織全体のセキュリティ意識変革に関する評価が寄せられており、具体的には以下のような声が届いています。
ログを分析する側の精神的な負担が軽減されただけでなく、従業員の振る舞いが見える化されたことで意識向上にも繋がりました。
日常的にログが確認でき、退職する予定はないものの、不正な行動を実施している従業員の行動を追えるようになった。
このように、システム監査の要請に応えるガバナンスの強化と、現場レベルでの実効的なリスク低減を両立させるためのソリューションとして、多くの企業が成果を実感しています。
※1 出典:ITR「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場 2025」UEBA運用監視サービス市場:ベンダー別売上金額シェア(2024年度)
内部不正対策は、エルテスへ
まとめ
情報システムが社会インフラとなり、企業活動のあらゆる場面に浸透した現代において、システム監査は、経営の健全性を担保し、持続的な成長を支えるための不可欠なプロセスです。しかし、多様化するリスク、特に内部関係者による不正や過失といった人間心理に起因する脅威に対しては、定点的な監査だけでは対応しきれない側面があります。
エルテスの内部脅威検知サービスは、ログデータの横断的な分析を通じて、人の振る舞いに潜むリスクを可視化し、システム監査が目指す「信頼性・安全性・効率性」の確保を、運用レベルで強力に支援します。
自社の情報管理体制を強化したいとお考えの企業様は、ぜひお気軽にエルテスへお問い合わせください。








