
内部不正による顧客情報流出をどう防ぐ?UEBAで実現する「アラート疲れ」解消法
顧客情報の流出を防ぐことは、企業が信頼を維持しながら事業を続けていくために欠かせない重要な課題であり、万が一情報漏洩が発生すれば、社会的信用の低下や損害賠償、ブランド価値の毀損といった大きな影響を受ける可能性があります。
近年はサイバー攻撃が高度化する一方で、実際の情報漏洩の多くは外部からの侵入だけでなく、従業員や委託先による不正行為や操作ミスなどの「内部リスク」によって引き起こされていることも少なくありません。こうしたリスクから顧客情報の流出を防ぐための新たな対策として、ユーザーや端末の普段の行動を分析し、通常とは異なる動きを検知する「UEBA(User and Entity Behavior Analytics)」が注目されています。
このコラムでは、なぜ今UEBAが必要とされるのか、その仕組みや導入のメリット、そして過検知や誤検知といったセキュリティ運用上の課題を解決するためのソリューションについて解説します。
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なぜ今、顧客情報を守るためにUEBAが注目されるのか
企業が顧客情報の流出を防ぐために、ファイアウォールやアンチウイルスソフトなど外部からの攻撃を防ぐ対策を整えることは欠かせませんが、それだけでは防ぎきれないのが、従業員や委託先、取引先など社内外の関係者によって引き起こされる「内部リスク」です。
外部からのサイバー攻撃に対する防御をどれだけ強化しても、正規のアクセス権を持つ内部の人間が、悪意を持って、あるいは不注意によって重要な顧客情報を持ち出そうとすれば、システムはそれを通常の業務操作として処理してしまい、異常として検知することは困難です。
実際、企業の情報セキュリティ対策では、外部からの攻撃への備えだけでなく、内部不正や営業秘密の漏洩、退職時の情報持ち出しといった、企業の内側で発生するリスクへの対策がますます重要になっています。
過検知・誤検知がもたらす「アラート疲れ」
内部リスクへの対策として、ログ監視ツールや従来の不正検知システムを導入する企業は増えていますが、その一方で新たな課題として浮かび上がっているのが「運用負荷」です。実際のセキュリティ運用の現場では、「監視すべきログの量が膨大で、日々の確認作業に追われてしまう」「不正検知システムを導入したものの、設定や分析が難しく十分に使いこなせていない」といった悩みを抱えるケースが少なくありません。
特に課題となるのは、システムが発するリスク検知のアラートに対して、現場で適切な判断ができなくなる状況です。従来のルールベースの検知システムは、少しでも疑わしい動きがあればアラートを発する仕組みのため、業務上必要な操作まで異常として検知してしまう過検知や誤検知が起こりやすく、日々大量に発生するログやアラートをシステム管理者が一件ずつ確認することは難しく、その結果、担当者はアラート対応に追われ、重要な兆候を見逃してしまうリスクが生じます。
こうした運用現場の負担を軽減し、本当に対策すべきリスクを効率的に抽出する仕組みとして、UEBAソリューションの活用が進んでいます。
関連記事:内部関係者による脅威とUEBAの重要性|企業が直面する「見えないリスク」とその対策
UEBAとは
UEBA(User and Entity Behavior Analytics:ユーザー・エンティティ行動分析)とは、ユーザーやエンティティの行動ログを収集し、機械学習と行動分析を用いて、通常とは異なる振る舞いを検知するセキュリティツールを指します。
PCのアクセスログやファイル操作ログ、クラウドサービスや印刷の利用ログ、勤怠ログといった複数のデータを横断的に分析することで、通常とは異なる振る舞いを検知します。例えば、「ファイルにアクセスした」という記録だけでは問題の有無を判断できませんが、勤怠データと組み合わせて分析することで、「退勤後にもかかわらず深夜に大量のファイル操作が行われている」といった不自然な行動を検知できます。
このアプローチにより、情報漏洩が発生してしまった後の事後対応だけでなく、不正が発生する予兆の段階で検知し、未然に防ぐことができます。
SIEMとの違いは?それぞれの役割と連携の重要性
一般的に、SIEM(Security Information and Event Management)は様々なセキュリティ機器のログを一元的に集約し、相関分析を行う強力なシステムですが、運用するには高度な専門知識が必要です。「不正検知システムを導入しているが、使いこなせない」という声があるように、SIEMのアラートを適切に判断するには熟練したスキルが必要です。
これに対して、UEBAソリューションは特に後述するようなマネージドサービス型のものは、SIEMのようなシステム検知とは異なり、不正検知システムの運用自体をベンダーが担うという特徴を持つものがあります。リスク評価やシステム運用の担当者が社内に不在でも導入が可能であり、SIEMでは検知しきれない「人」に起因する複雑なリスク行動の可視化に特化している点で、より現場の運用負荷軽減に焦点を当てたソリューションと言えます。
関連記事:UEBAとは?SIEM・EDRとの違いと振る舞い検知の重要性を解説
UEBAで対処できる顧客情報の流出リスク
①内部不正:悪意ある従業員による顧客情報の持ち出し
UEBAのアプローチは、内部関係者による情報持ち出しリスクへの対策で効果を発揮します。中でも、退職時の情報持ち出しは、企業の競争力や事業継続に影響を与えるインシデントにつながる可能性があります。
例えば、特定の従業員の残業時間が急増し、業務とは関係のない顧客リストへのアクセスが増加していたり、転職サービスの閲覧頻度が増加しているような場合は、転職に向けた情報持ち出しの予兆である可能性があります。
また、研究データや独自技術といった重要情報を扱う製造業などにおいても、IT資産管理ツールからの不審な挙動のアラートだけでは見抜けない、文脈を伴ったリスク行動を検知する必要があります。複数のログを横断的に分析することで、単なる業務操作なのか、持ち出しの予兆なのかを判別することが可能になります。
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②設定ミス・ヒューマンエラー:意図しない情報公開や誤操作
悪意がなくても、従業員の行動がセキュリティポリシーに違反し、結果として情報漏洩のリスクを高めることがあります。例えば、社内のセキュリティポリシーで禁止されているクラウドストレージの利用(シャドーIT)や、許可されていないUSBメモリの利用などです。
UEBAを活用することで、セキュリティポリシーに反する行動を把握し、リスクが発生しやすい状況を明確にできます。従業員が良かれと思って行ったデータの持ち出しや、利便性を優先して行ったクラウドサービスの利用が、結果として重大な情報漏洩につながるケースは後を絶ちません。UEBAはこうしたポリシー違反の兆候を早期に検知し、従業員への教育や利用環境の見直しに活用できる情報を提供します。
関連記事:【事例で解説】ヒューマンエラー12分類から見る情報漏洩の原因と企業が取るべき対策
③労務リスクとセキュリティリスクの同時可視化
UEBAの分析は情報セキュリティのリスクだけでなく、労務管理上の課題の把握にも活用できます。例えば、勤怠システム上では退勤となっている時間帯にもかかわらず、PCのファイル操作やWebアクセスのログが継続している場合、サービス残業が発生している可能性があります。これは労働基準法に関わるリスクであると同時に、管理者の目が届かない時間帯での情報の改ざんや不適切なデータ操作が行われているセキュリティリスクも伴います。
こうした労務リスクと情報セキュリティリスクを同時に可視化できる点も、複数のログを統合して分析するUEBAの大きな強みです。
UEBA導入を成功させるための選定ポイント
①自社の環境・既存システムとの連携性
UEBAを導入する際、全端末へのエージェントソフトの追加インストールや大規模なシステム改修が必要になると、導入負担は大きくなります。そのため、サービスを選定する際は、すでに社内で収集・保存しているIT資産管理ツール、勤怠管理システム、ADサーバーなどのログデータをそのまま活用できるかどうかが重要なポイントになります。
②導入後のサポート体制(専門家による支援)
ツールを導入しても、分析結果の見方がわからなかったり、リスク判定の基準設定が適切でなかったりすると、十分な効果は得られません。特に専任のセキュリティ担当者がいない組織では、システムの運用だけでなく、リスク評価や対策のアドバイスまで行ってくれるサポート体制が重要です。
ツールを導入しても、分析結果の読み取り方が分からなかったり、リスク判定の基準設定が適切でなかったりすると、十分な効果は得られません。専門アナリストによる定期的な報告や、わかりやすいオンラインダッシュボードでの報告があるサービスを選べば、分析結果の確認や社内への状況共有もスムーズに行えます。
関連記事:見過ごせない内部不正の兆候|情報漏洩を防ぐUEBAによる行動異常検知
顧客情報の流出を防ぐには「内部脅威検知サービス」
エルテスが提供する内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)は、UEBAの分析技術を基盤としながら、各企業の業務環境に合わせたログ収集設計から検知シナリオの構築、専門アナリストによるリスク評価、経営層や情シス部門への報告支援までを包括的に提供します。単なるツール導入ではなく、社内に内部不正対策の専門組織を外部実装するような形で、継続的に機能する体制を構築できる点が大きな特徴です。
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① 専門アナリストによる文脈評価でアラート疲れを解消
内部脅威検知サービスでは、まず機械学習を用いて膨大なログの中から通常とは異なる行動の兆候を抽出し、その後は経験豊富な専門アナリストが業務内容や役職、組織状況、時期的背景などを踏まえて文脈的に精査します。
この二段階のプロセスにより、過検知・誤検知によるアラート疲れの解消、さらに属人的な判断に依存しない安定した内部監視体制を実現でき、担当者は本当に対処が必要なリスクのみを明確化したうえで関係部門へ共有することが可能です。
② 既存ログを活かした設計で現場負荷を増やさない導入
内部脅威検知サービスは企業ごとの既存IT環境を前提に設計されます。ファイルサーバーのアクセスログやクラウドサービスの利用履歴、勤怠データやIT資産管理情報など、すでに社内で保有しているログを最大限活用し、必要最小限の追加対応で運用可能な構成を組み立てます。
そのため、大規模なシステム改修や現場業務への負担を抑えながら、自社の業務実態に即した精度の高い検知を実現することができます。
③ 情報セキュリティと労務リスクをまとめて可視化
内部脅威検知サービスの価値は、情報持ち出しや不正利用、ポリシー違反行為やシステム統制の不備といった情報セキュリティ対策にとどまりません。超過勤務やパフォーマンス低下、離職リスクなど、複数部門のデータを横断的に関連付けて分析することで、労務管理上の課題も同時に可視化できます。情報漏洩を未然に防ぎつつ、働きやすい職場環境への改善にも寄与する仕組みです。
④ 東証グロース市場上場企業としての高い信頼性と豊富な実績
セキュリティ対策を外部に委託する際、委託先の信頼性は重要な選定基準となります。エルテスはデジタルリスク対策に長年取り組んできた企業として、東京証券取引所グロース市場に上場しており、その透明性と信頼性は市場から高く評価されています。
これまでに1,000社以上の企業への導入実績を有し、金融・製造・不動産など、機密情報の取り扱いが厳格に求められる業界を中心に、多様な組織規模や業種のデジタルリスク対策を支援してきました。豊富な支援実績から得られた知見は、検知シナリオの精度向上や企業ごとの特性に応じたリスク評価のチューニングに活かされています。
内部不正対策は、エルテスへ
まとめ
顧客情報は企業にとっての重要な資産であり、万が一に顧客情報が流出すれば、顧客の信頼低下を招くだけでなく、経営に大きな影響を与えます。また近年は、外部からの攻撃対策だけでは防ぎきれない「内部リスク」への対応が求められ、ユーザーの行動に着目して異常を検知するUEBAソリューションが注目されています。
ログデータの中に埋もれた「リスクの兆候」を見逃さず、攻めと守りの両面で強い組織をつくるための第一歩として、内部脅威検知サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。ぜひお気軽にエルテスへお問い合わせください。








