ネット炎上レポート 2023年10月版
2023年10月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2023年10月のネット炎上トレンド
2023年10月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が86%(前月比5ポイント増)と前月に引き続き大きく占める形になりました。次いで「マスメディア」が7%(4ポイント増)となり、前月16%を占有していた「個人・著名人」が0%(16ポイント減)と大きく減少しました。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳は「サービス」が全体の39%(9ポイント減)となりました。次いで、公式SNSアカウントでの不適切投稿などの事象がみられた「メーカー」が29%(22ポイント増)と大きく増加する結果となり、「自治体・団体」が18%(5ポイント減)と続きました。(図1)
収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が58%(2ポイント減)と前月に引き続き全体の半数以上を占めています。次いで「不適切発言・行為、失言」(3ポイント減)と「情報漏えい/内部告発」(9ポイント増)がそれぞれ17%となりました。「情報漏えい/内部告発」では、関係者による情報の持ち出しや不正アクセスによる情報漏えいが複数事例見られたことが大幅な増加の要因であるといえます。「不祥事/事件ニュース」は8%(同数)という結果になりました。(図2)
収集データを元にエルテスが作成
ユーザー投稿から被害報告が殺到し、顧客対応の不満もSNSに表出
ある食品を購入したユーザーが賞味期限内にもかかわらず、カビが生えていたとする不具合の投稿が話題となりました。投稿が拡散すると同時に、同様にカビが生えていたと告発する投稿が相次いで見られました。企業は数日後に謝罪文をリリースしましたが、早急な対応をすべきといった批判的な声が散見されています。
健康への被害がない場合であっても、商品の不具合は自社やブランドのイメージ棄損に繋がる可能性が高いため、迅速な対応が求められることがわかる事例となりました。
小児性愛をテーマとする楽曲に自社製品が登場すると公式SNSアカウントが言及し、炎上
とある公式アカウントの投稿に批判の声が殺到しました。楽曲のMVに登場する小道具の防犯ブザーが自社製品に似ていると反応した内容でしたが、楽曲が小児性愛を連想させるテーマであり、製品が防犯ブザーであったため、未成年への犯罪行為を肯定的に捉えているように見えるとの批判が多く見られています。
製品のターゲット層から批判されるテーマ、犯罪行為などを連想する恐れがある内容に言及することはブランドイメージへの影響が懸念されるため、投稿する内容については十分に注意すべきである事例となりました。
まとめ
10月には企業の情報発信に関する炎上が複数発生しています。
発信する内容の検討にはダブルチェックなどの未然に防ぐ対策が必要なことはもちろんですが、企業の置かれている状況や社会からの期待、事象によって適切な内容やタイミングが異なるため、発信内容を検討する際には論調の把握や過去炎上のノウハウから判断することを推奨します。
また、論調把握のためには通常時との比較も有効に働くため、平時からモニタリングによるデータ蓄積を行っておくことも大切です。また、有事の対応やエスカレーションフローを事前に検討しておくことで、緊急時に慌てることなく早期対応が可能になり、被害の最小化・二次炎上の防止に繋がります。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。