コンプライアンスを推進する取り組みとは?
コンプライアンスは、法令や社内規則などの規範を遵守することを言います。企業がコンプライアンスを推進することは、企業イメージの維持や向上という面でも大切な取り組みです。
本記事では、コンプライアンス推進の具体的な取り組みや注意点について紹介します。
目次[非表示]
- 1.コンプライアンス推進の重要性
- 2.コンプライアンス推進の具体的な方法
- 2.1.経営陣へ向けた取り組み
- 2.2.従業員へ向けた取り組み
- 2.3.社内体制に向けた取り組み
- 3.コンプライアンス推進の注意点
- 3.1.優先度を決める
- 3.2.長期投資として適切にコストをかける
- 3.3.コンプライアンス違反が発生しやすい領域を知る
- 4.まとめ
- 5.【関連情報】
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コンプライアンス推進の重要性
企業は常に社会から監視の目が注がれているため、コンプライアンスの推進に取り組む必要があります。コンプライアンス推進の重要性について見ていきましょう。
企業レピュテーションを守り高めることにつながる
企業の不祥事はSNSなどで瞬く間に拡散されてしまう時代です。コンプライアンス違反が拡散されれば、企業イメージを低下させたり、ステークホルダーからの信用を損なうなど、経営に大きな影響を与えます。
コンプライアンスの推進は、企業がこれまでに築いてきたブランドイメージや評判を守り、より一層高めることにもつながります。
不祥事やそれに起因する法的リスクの回避につながる
コンプライアンス違反を起こしてしまった企業は、法的責任を問われる可能性があります。また、不正行為や契約違反などを行った場合、被害者から損害賠償を請求されることもあり、経営基盤に多大なダメージを与えるでしょう。企業がコンプライアンスの推進を徹底することで、不祥事やそれに起因する法的リスクの回避につながります。
コンプライアンス推進の具体的な方法
企業におけるコンプライアンス推進では、それぞれの立場に合わせた幅広いアプローチを行うことが必要です。下記の具体的な方法を参考に、効果的な策を検討しましょう。
経営陣へ向けた取り組み
組織全体でコンプライアンスを推進するにあたって、経営陣はそれをリードする役目となります。そこで、コンプライアンスにフォーカスできるような意識づくりと体制整備を行うことが重要です。具体的には、次のようなアプローチが必要となります。
①経営陣のコンプライアンスへの意識を高める
法令、企業規則・社内規則を正しく理解し、所定の申請・報告手続きを定められた通り正確に処理する責任があります。そのほかにも、管理職とともに、普段から正しく業務を行うことも役割のひとつです。
②社外役員を設置する
経営陣自らによる権限の悪用を防ぐには、監視体制を強めることが重要です。その方法の一つとして挙げられるのが社外役員の設置になります。
社外役員であれば、社内の人間関係などに左右されず中立な立場で発言しやすいため、経営陣の緊張感が増し、コンプライアンス違反のリスクを低減できます。
従業員へ向けた取り組み
①従業員へ教育・研修を行う
全従業員がコンプライアンスを正しく理解できているとは限らないため、企業はコンスタントにコンプライアンスに関する教育や研修を行い、意識を定着させる必要があります。外部から講師を招いたり、eラーニング教材を用いるなどして、コンプライアンスに関する知識を従業員に浸透させましょう。
また、コンプライアンスに関する教育を通して、従業員に自社への誇りを持ってもらい、それぞれが企業の代表として行動できるような環境づくりも大切です。
コンプライアンスの浸透度は、研修の受講率や結果、ヒヤリハット件数などから測り、これを指標に計画から実行、評価、改善を行うことで、より効果的な制度となるでしょう。
②内部通報制度を取り入れる
社内でのコンプライアンス違反を通報する窓口を設けると同時に、通報した従業員などが不利益を受けることを防ぐ制度を「内部通報制度」といい、そのルールは公益通報者保護法によって定められています。
内部通報制度を取り入れることで、現場レベルの不正・違法行為などをいち早く把握できる可能性があります。また、導入によって従業員一人ひとりがコンプライアンスの担い手であることを意識させる効果もあります。
社内体制に向けた取り組み
①社内規定を整備する
社内規定を整備する際は、法令で示されている義務を自社に課すことで、コンプライアンスを徹底します。コンプライアンス違反を防ぐだけでなく、外部へのアピールにもつながります。
社内規定の整備に伴って、マニュアルなどを整備する場合は、法令や社内規定との関係で注意を払うべき事柄を子細に明記しましょう。
②チェック体制を整える
個人情報流出などのコンプライアンス違反は、人為的なミスで生じることもあります。そのため、複数人や部門でのチェックを行う体制を整えることにより、このようなミスを防止できます。
金融機関などでは、営業部門・管理部門・内部監視部門の3段階でチェックを実施する「3つの防衛線」という考え方が定着していると言います。部門ごとでもチェック体制を整備することで、さらにリスクを抑制できます。
③コンプライアンス部門を設置する
コンプライアンス体制を強化している企業の中には、「コンプライアンス部門」を設けているところもあります。この部門では、多岐にわたる社会規範を把握し、社会からのレピュテーションという視点も踏まえた上で、コンプライアンスの定着に務めていきます。
コンプライアンス部門の設置は、コンプライアンス専門の人材を配置するなど負担もありますが、安定した成長を見込むならば一考の価値があるでしょう。
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コンプライアンス推進の注意点
優先度を決める
コンプライアンスの強化には人材や資金といったリソースが必要です。コンプライアンス違反のリスクを即座に解消することは難しく、組織的に体制を整えるにも、優先順位を決める必要があります。
例えば、主要事業や多くの顧客・取引先と関わる事業など、違反が生じた際に大きな損害を受けそうな領域には、いち早くコンプライアンス強化を行うべきです。
長期投資として適切にコストをかける
コンプライアンスの推進は、企業の長期投資としてコストをかけて行いましょう。短期的な利益を生まないため優先度が下がりがちですが、企業レピュテーションを保ち、高めるには欠かせないことです。
例えば、監査法人で監査を行っていた経験のある人など、コンプライアンス実務に取り組んだことのある人材を採用することも大切です。企業の中長期的な成長のためにも、適切にコストを費やして、コンプライアンス推進を行いましょう。
コンプライアンス違反が発生しやすい領域を知る
コンプライアンス違反が生じやすい領域として、個人情報を扱う事業や、業種ごとに定められた法律により規制されている事業などが挙げられます。リスクが高い自社の事業領域を理解し、焦点を当てた対策を講じることで、有効にコンプライアンスを強化できます。
まとめ
本記事では、コンプライアンスを推進する取り組みについて、具体的な方法や注意点などを紹介してきました。
組織的にコンプライアンスを強化するには、違反を防ぐための体制・規定の整備、従業員へのコンプライアンス意識の定着を図ることが必要不可欠です。企業が安定して成長を続けるために、自社に合った方法でコンプライアンス体制を整えましょう。
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