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ネット炎上レポート 2025年上期版

エルテスでは、毎月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとして報告しております。今回は、それら2025年上期(1月~6月)の炎上事例を時系列にまとめ、どのようなネット炎上の傾向があったのか。また、過去と比較して、どのような変化があったのかをまとめました。


目次[非表示]

  1. 1.炎上レポートの主旨
  2. 2.2025年上期全体の炎上傾向
  3. 3.炎上対象からみる上期炎上のトレンド
    1. 3.1.1)サービス企業の炎上
    2. 3.2.2)不適切発言・行為、失言による炎上
    3. 3.3.3)異物混入による炎上
  4. 4.まとめ


押さえておきたい2025年の炎上予測!2024年の炎上トレンドと一緒にチェック

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炎上レポートの主旨

エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上事例の傾向をお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上

▼前提条件

以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義

ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法

SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。


本レポートでは、炎上事例の変化を “炎上対象”と“炎上要因”の2つの観点から見ていきたいと思います。

2025年上期全体の炎上傾向

2024年下期(2024年7月~12月)と比較して2025年上期(2025年1月~6月)のネット炎上件数は1.2%減少しました。図1で記載している通り、業種ごとに分類すると「個人・著名人」と「メーカー」の炎上件数減少が特徴的に見られております。

また、毎月の炎上件数では、上期を通じて2025年5月が最多になりました。5月にはインフルエンサーマーケティングを実施したジュエリーブランドに批判が集まった事例や代表の不適切発言に対して批判が殺到した事例が複数見られました。



炎上対象からみる上期炎上のトレンド

図2は、2025年上期の炎上件数を月次で炎上対象別に整理したものです。ここからは、炎上対象の軸で2025年上期の炎上の特徴を見ていきたいと思います。


1)サービス企業の炎上

全体の炎上件数は2024年下期と比較して大きく変動していませんが、サービス企業の炎上は6か月間の平均でも54%と全体の半数以上を占める結果となっています。さらに、サービス企業の炎上は、売上高100億円を超えるようなエンタープライズ企業の炎上が半数以上を占める状況が分かりました。法人企業の中でエンタープライズ企業に占める割合は、非常に低いなかで、知名度・露出量の高いエンタープライズ企業が炎上リスクに晒される可能性が高いことが、この結果から改めて浮き彫りになりました。

また、サービス企業では、PRや広告に関する炎上が散見されました。例えば、起用タレントの選定や企業が運営するサイトへの広告掲載など企業の危機管理体制への指摘が寄せられていることが特徴的でした。


<サービス企業で発生した主な炎上事例>
〇未成年のタレントを結婚情報雑誌のモデルに起用したとして物議
〇ジュエリーブランドのPRにインフルエンサーを起用したとして物議
〇レシピサイトにアダルト広告が掲載されているとして物議
〇画廊の公式アカウントが生成AIで出力した有名画家風の画風イラストを投稿したとして物議

​​​​​​​画像生成AIのPR利用については昨年に引き続き賛否が巻き起こりやすいトピックスです。教師データの取得や権利など法的な整備不足に関する声やクリエイターを軽視しているといった声が見られました。一方で出力したデータに不自然な点があるにもかかわらず、そのままクリエイティブに採用することに対する指摘も多くみられています。

また、アダルト広告が企業のECや情報サイトに掲載されているとして批判された事例は複数社で見られており、社会的な問題に発展していることが伺えます。それらに関して、ネットワークの審査やフィルタリングをかいくぐって表示されてしまうといった企業側からの声明も話題となりました。

未成年のタレントを結婚情報誌のモデルに起用していたケースやジュエリーブランドがインフルエンサーマーケティングを活用したケースにおいては、PRの手法のブランドのユーザー属性や雑誌の属性を考慮すべきであるといったネガティブな声が多く、選定から起用するタレントの選定まで、企業が社会からどのような期待を持たれているのかパーセプションを把握した上で検討することが企業のブランドイメージの毀損リスク低減に繋がります。


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2)不適切発言・行為、失言による炎上

2024年下期には25%だった「不適切発言・行為、失言」による炎上が2025年上期に、36%に増加しました。


<個人・著名人による主な炎上事例>
〇自治体が配布した性教育に関する冊子の内容が女性蔑視的であるとして炎上
○SNSに投稿したショート動画がノーメイクの女性を揶揄しているとして物議
○アイドルグループの公式アカウントで入浴中の女性の画像を誤投稿し炎上

不適切発言・行為、失言による炎上では、女性蔑視や揶揄する表現が問題視された事例が散見されました。過去にも女性蔑視の表現で炎上したケースや女性がノーメイクである状況を批判的に表現したクリエイティブが炎上したケースも存在したため、過去の炎上の学びが活用されていないといったネガティブ意見がみられました。

また、公式アカウントでの誤爆の事例では、企業側が発表した原因が「業務委託先スタッフによるミス」だったことで、さらなる批判に繋がり、委託先選定の場面から企業の危機管理体制が求められていることが分かりました。

上記3つのケースのように、業務委託先やタイアップ企業といった社外の関係者が企画に携わる場合、自社の名前で発信される情報については、発信元である企業の高い危機管理意識とリスクに対する感度が求められていると言えます。


”企業・団体”は図1の「メーカー」「サービス」「IT」「インフラ」「自治体・団体」「教育組織」を指します。


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3)異物混入による炎上

2024年下期には3%だった「異物混入」による炎上は2025年上期には2倍となる6%に増加しています。


<主な異物混入による炎上事例>
〇飲食チェーン店でテイクアウトした商品に小動物の死骸が混入していたことが数か月後に発覚し炎上
○飲食チェーン店で提供商品に虫が混入しているとして炎上、店舗は営業を無期限停止に

異物混入による炎上では、事象自体への批判が見られたことはもちろん、企業対応にも注目が集まりました。事象の発生から時間が経過して企業対応が発表されたケースでは、迅速に対応されなかったことについて批判が集まりました。また、過去に当該チェーンの別店舗での勤務経験があると述べる内部関係者からは、衛生管理に関する問題が過去にもあり、常態化しているのではないかといった告発の投稿が散見されました。

SNSの発達はユーザーの情報発信力を強め、インシデント発生時においても本部への問い合わせだけでなく、SNS上に表出することが当たり前となりました。企業はSNSにもアンテナを張り、店舗や本部の目が行き届きにくい場所で発生する火種を早期に検知する必要があることが分かりました。


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まとめ

2025年上期の炎上トレンドを見ていくと、2つの特徴が見えてきました。

1つ目は企業の企画におけるタイアップや委託先との連携ミスが炎上に繋がっていくケースです。企業同士やクリエイター、インフルエンサーと企画でタイアップの場合、内容だけでなく、タイアップ先が適切かを見極めることが重要となります。これを見誤ってしまうと、「こんな団体/人物とコラボするなんて」といった批判に繋がるリスクがあり、企画による効果が伸び悩む要因だけでなく、危機管理体制への批判に繋がってしまう可能性があります。自社にとって適切なタイアップ先かを見極めるためには、自社が社会的にどのような期待を持たれているのか、パーセプションを理解することが必要です。

2つ目は企業対応における過去の炎上からの学びが活用されていないと批判に繋がるケースです。「ネット炎上」という現象はすでに10年以上の歴史を持ち、これまでに様々な炎上が発生してきました。企画内容に過去同様の批判が寄せられて炎上した事例や、企業対応が遅延して批判が殺到した過去の事例など、ユーザーの記憶に残る炎上事象が引き合いに出され、過去に発生した事象から学んでいないのかといった企業の危機管理体制への指摘の論調が見られる場合があります。

このようなことを防ぐためには、担当部門が現在の炎上トレンドだけでなく、過去の炎上事象の概要、企業はどのような対応を取っているのか、SNSではどのような反応が見られたのか、などを収集し、万が一、同様の事象が発生した場合に備えてノウハウとして蓄積しておくことを推奨いたします。

どちらの特徴においても、有事が発生してからでは対応に後れを取ってしまい、企業のブランド毀損に繋がることが分かります。今回サービス業界の炎上において、半数を占めたエンタープライズ企業は特に社会からの期待や○○であるべきといったイメージが確立されており、パーセプションからの逸脱は炎上の要因となります。

そこで、有事に備えた対策として、自社・ブランドに対する社会的な期待や論調を把握し、企画検討時の軸として認識すること、過去や現在の炎上事象・企業対応のノウハウから、自社は有事の際、どのような対応を取ることを求められるのかを自分ゴト化して考えることを推奨します。過去事象の企業対応が自社には適さない可能性もあるため、ノウハウと社会的期待とを掛け合わせて危機管理体制を整えておくことが重要です。


エルテスでは、引き続き月次で炎上傾向をまとめた炎上レポートを配信していきます。炎上のトレンドを把握頂き、企業のリスクマネジメントに役立てて頂ければと考えております。また、毎月炎上レポートを配信するとともに、1つ炎上事例を取り上げて、炎上理解を深めるセミナーを開催しておりますので、ぜひご参加ください。


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引き続き、よろしくお願いいたします。

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著者・監修|株式会社エルテス編集部
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株式会社エルテスは、これまで多種多様な企業のデジタルリスク対策に尽力してきたノウハウを生かし、企業のリスク課題・デジタル課題に役立つコンテンツを提供しています。 編集部ではネット炎上やSNS運用トラブル、ネット上の風評被害・誹謗中傷、情報セキュリティ対策など様々なビジネスのリスク課題に関するコラムを発信しています。
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