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ネット炎上レポート 2026年上期版

エルテスでは、毎月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとして報告しております。今回は、それら2026年上期(1月~6月)の炎上事例を時系列にまとめ、どのようなネット炎上の傾向があったのか。また、過去と比較して、どのような変化があったのかをまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.炎上レポートの主旨
  2. 2.2026年上期全体の炎上傾向
  3. 3.炎上対象からみる上期炎上のトレンド
    1. 3.1.1)上期最多となった2026年4月の炎上
    2. 3.2.2)顧客クレーム・批判による炎上
  4. 4.まとめ

炎上レポートの主旨

エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上事例の傾向をお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上

▼前提条件

以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義

ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法

SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。


本レポートでは、炎上事例の変化を “炎上対象”と“炎上要因”の2つの観点から見ていきたいと思います。

2026年上期全体の炎上傾向

2025年下期(2025年7月~12月)と比較して2026年上期(2026年1月~6月)のネット炎上件数は16.5%増加しました。図1で記載している通り、目立って特定の業種が増加したわけではなく、ほとんどの分類が満遍なく増加していることがお分かりいただけると思います。

また、毎月の炎上件数では、上期を通じて2026年4月が最多になりました。4月には従業員によるSNSでの不適切投稿の事案が相次いで発生し、社会問題化したことが記憶に新しいでしょう。

炎上対象からみる上期炎上のトレンド


図2は、2026年上期の炎上件数を月次で炎上対象別に整理したものです。
ここからは、炎上対象の軸で2026年上期の炎上の特徴を見ていきたいと思います。

1)上期最多となった2026年4月の炎上

2026年4月には炎上件数が2022年以降で最多となりました。増加の背景としては、社会問題化した「従業員のSNSでの不適切投稿」の炎上の多発が挙げられます。新入社員が入社するタイミングということもあり、従業員の投稿をきっかけとした炎上が複数発生しており、中には新入社員が入社研修の様子を投稿してしまうケースもみられました。

<2026年4月に発生した主な炎上事例>
〇制作会社の新入社員が入館証や番組のシフト表を投稿し炎上
〇教員がPC画面を撮影・投稿し炎上
〇社内研修資料を撮影・投稿し炎上
〇クライアントとのやり取りや資料が映り込んだ写真を撮影・投稿し炎上

このトレンドにおいて、特徴的な2点のポイントを以下で解説してまいります。

① 発生する業界に偏りなし

社会問題化する炎上トレンドの発生にもかかわらず、図2で示す通り、炎上が発生した業界の分類割合は大きく変動せず、BtoB・BtoCを問わず、あらゆる業界で炎上が発生しました。従業員起因の炎上リスクについては、SNSの多様性や活用方法のトレンド、社会的情勢によって複雑化し続けており、リスクの啓発を継続していくほかないのが現状です。

② 投稿メディアと第三者による転載

複数の事例において、新興SNSであるBeReal.での投稿が第三者によってスクリーンショットを撮られ、Xを中心に拡散・炎上してしまうという流れが特徴的でした。BeReal.以外にもInstagramのストーリーズ機能で公開範囲を限定した投稿のスクリーンショットが拡散・炎上するというケースも見られていました。

この流れは投稿者が問題に気づき、投稿を削除しても転載されてしまった投稿は消えずに残り続けるというデジタルタトゥーのリスクをはらんでいます。また、第三者によって撮影されたスクリーンショットはいつ転載されるか分からず、時間が経過してから投稿・拡散される掘り起こしの炎上が発生する可能性もあります。

関連記事:「若者の流行」と経営層が軽視できないリスクへ―BeReal.発の情報漏洩はなぜ起きるのか。事例・要因・対策を徹底解説


また、4月に発生した炎上がトレンド化した背景には、一つの事案が大きく炎上することが発端となって「これは不適切な行為である」という認識が社会的に広まり、同様の振る舞いに対しても厳しい目が向けられるという、SNS上での連鎖的な反応が働いたと考えられます。中には数年前に撮影された動画が時間を経て転載され、大きく炎上するというケースもありました。

SNSの炎上対策のための研修では、炎上発生で会社が被るダメージだけでなく、「受講者自身に及ぶ実害」を強く意識させることがポイントです。名前や顔写真が特定され、自分の意志では消去できない「デジタルタトゥー」としてネット上に残り続ける恐ろしさを、自分ごととして捉えさせる必要があります。

また、どれほど教育を徹底しても、炎上リスクをゼロにすることは不可能です。そのため、万が一の事態を想定し、平時より自社への投稿をモニタリングする仕組みを整え、リスクを早期に検知した上で迅速な事実確認や緊急対応へシームレスに移行できる社内体制を整えておくことが極めて重要となります。


※”企業・団体”は図1の「メーカー」「サービス」「IT」「インフラ」「自治体・団体」「教育組織」を指します。

2)顧客クレーム・批判による炎上

2026年上期の半期を通して、顧客クレーム・批判の分類での炎上が全体の約50%を占める結果となっており、これは数年を通してのトレンドと言えます。

<主な顧客クレーム・批判による炎上事例>
〇ヘアケアブランドの販売ブースで顧客の容姿に不適切発言をしたことで炎上
〇対応不満を投稿し炎上したことで代表が謝罪、その後の対応方針の変更が物議
〇不明瞭な説明により年間プランを契約させられたとして配信サービス運営企業が炎上

顧客対応の不満は店舗内だけに留まらず、SNSで拡散されることによって多くの人の目に留まることを改めて認識する必要があります。従来は不満があった場合には、店舗内でのクレーム、もしくは本部のお客様相談室などを通して企業内でエスカレーションされるのが通例でしたが、SNSが普及し誰もが情報発信者となることで、企業内でエスカレーションされるよりも早く炎上の事態に発展する可能性があります。

ユーザーの中には「SNSで話題を集めることで企業が対応せざるを得ない状況となり、対応が覆った」という過去の事例を参考に、不満をSNSに吐露するというケースも存在します。しかし、当初の対応がSNSでの炎上を機に変容することで、「炎上したから対応した(炎上しなければ対応しないつもりだった)」と解釈するユーザーも少なくないため、企業としては一次対応の時点で適切な対応を検討することがこのようなリスクの低減に繋がります。

一方で、企業が発信する情報での炎上とは性質が異なり、顧客や第三者からの投稿での炎上は企業が完全に防ぐことは難しいため、早期に火種を発見し、大きな拡散に繋がる前に適切な対応を講じることで、企業へのダメージを最小限に抑えることが可能となります。

また、企業が注視すべきユーザーからの批判の論点として、「法改正に伴う企業対応」も挙げられます。2024年に改正された景品表示法や2025年6月に法制化され、2026年10月に義務化されるカスタマーハラスメントへの対策など企業が順守すべき法的な規制に対して、現場を含めて適応できているかといった点が注目されています。ユーザーは「企業はこのような法的規制に対して対応できていて当然(できているべき)」といった期待を抱えているケースが多く、その期待から逸脱することは、企業に対する期待に反する行為となり、ブランドイメージの毀損を招くリスクとして強く認識すべきです。

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まとめ

2026年上期の炎上トレンドを分析すると「企業側が完全に防ぎきることが困難な炎上」が多発した点が大きな特徴として挙げられます。顧客や第三者によるSNS上でのクレーム・批判投稿はもとより、内部関係者であるはずの「従業員個人による不適切投稿」であっても、その発生リスクを完全にゼロにすることは現在のSNS環境において不可能です。

しかし、「100%防げないから対策は不要」ということでは決してありません。むしろ、防ぎきれないからこそ、被害を最小限に抑えるための「予防教育」と「事後対策」を重層的に講じておくことが求められます。

特に従業員向けの意識啓発においては、一度の研修だけで知識や危機意識を定着させることは困難です。年に最低1回といった定期的な研修を実施し、組織全体にリスク意識を刷り込んでいくことが定着への第一歩となります。また、研修コンテンツ自体も定期的なアップデートが不可欠です。SNSの利用トレンドは移り変わりが早く、「BeReal.」、「setlog」などの新興SNSの台頭や新たな機能(クローズドなコミュニティやショート動画、公開時間の制限など)の普及など、最新の潮流を反映した内容に更新し続けなければ研修は形骸化してしまいます。

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また、社会問題化したトレンドである「従業員のSNSでの不適切投稿」の炎上の背景にある「SNS上での連鎖反応による炎上の多発」も注目すべきポイントです。ひとたび特定の不適切行為が世間でトレンド(炎上テーマ)になると、ユーザーの監視の目が一気に厳しくなります。

その結果、数年前に投稿・撮影された古いスクリーンショットや動画であっても、「これも同じ不適切行為だ」として第三者によって発掘・転載され、今まさに起きた事件であるかのように大炎上するケースが後を絶ちません。このような「過去の遺物」の掘り起こしや、従業員個人のプライベートアカウントからの第三者転載による炎上は、企業側からすれば「いつ、どこで火がつくか全く予測がつかない」という特性を持っています。

だからこそ、従業員教育という“予防策”だけに頼るのではなく、平時から自社に関連するネット上の言及を常時監視するSNSのモニタリング体制を構築し、有事の火種をボヤの段階で検知できる仕組みを整えておくことが極めて重要なのです。

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エルテスでは、引き続き月次で炎上傾向をまとめた炎上レポートを配信していきます。炎上のトレンドを把握頂き、企業のリスクマネジメントに役立てて頂ければと考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。

ネット炎上の対策・相談は、エルテスへ 

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著者|株式会社エルテス 釜石萌
著者|株式会社エルテス 釜石萌
マーケティング部 プロモーショングループ マネジャー|2017年にエルテスに入社後、コンサルタントとして飲食業、小売業など幅広い業界の企業に対し、リスクマネジメントや危機管理を支援。現在はプロモーションGrに所属し、専門性を活かしたセミナー企画・登壇や情報発信を担当。これまでに累計20回以上の講演実績を有し、業界内での啓発活動に取り組む。
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