
ネット炎上レポート 2026年2月版
2026年2月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2026年2月のネット炎上トレンド
2026年2月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が82%(前月比5ポイント増)と全体の8割以上を占める結果となりました。そのほか、「個人・著名人」が13%(7ポイント減)、「マスメディア」は5%(2ポイント増)と続いています。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳では、「サービス」が52%(5ポイント増)と全体の半数を占めています。次いで「自治体・団体」(6ポイント増)と「IT」(10ポイント増)がそれぞれ13%となり、「インフラ」は4%(4ポイント増)と続きました。(図1)

収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が47%(5ポイント減)と全体の半数近くを占める状況が続いています。
次いで「不祥事/事件ニュース」が32%(19ポイント増)と大きなポイント数の増加を見せていますが、要因としては架空取引が発覚した企業の炎上事象など複数の事象発生が挙げられます。さらに「不適切発言・行為、失言」が16%(19ポイント減)、「異物混入」が5%(5ポイント増)と続きました。(図2)

収集データを元にエルテスが作成
新発表のブランド名が不適切であるとして物議
新発表のコンタクトブランド名が物議を醸しました。問題視されたのは、ブランド名が海外で使われる不適切なスラングと誤認される可能性があった点です。SNS上で話題となったことを受け、企業側はブランド名の変更と発売の延期とともに謝罪のコメントを発表しています。
発表後には、迅速な対応を評価するポジティブな反応がSNS上で見られた一方で、「企画段階でなぜ気づけなかったのか」という厳しい指摘も相次ぎました。このことから、企業にとって、ネーミングにおける多角的なリスクチェックが極めて重要であることを再認識させる事案となりました。
過去にも、自治体の支援事業の名称がユダヤ人差別の歴史的文言を連想させるとして批判を浴び、炎上した事例がありました。この際は指摘を受けた自治体が名称の読み方を変更する措置を講じています。
企業の企画部門は、クリエイティブを作成する段階で不適切な表現が含まれていないかはもちろん、「特定の言語や文脈において不適切な表現を連想させないか」まで十分にチェックすることが求められます。
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企業の人事担当のSNSアカウントで個人の情報を公開し炎上
あるベンチャー企業の人事担当者のSNS投稿に批判が集まりました。事端は第三者によって転載された動画内で、上司と思われる人物が部下に対し、営業成績について高圧的に叱責する様子が収められており、「パワーハラスメントではないか」との指摘が相次ぎました。
これに対し、人事担当役員から「雇用関係に基づくものではなく、スクールの生徒との指導の場面である」とのコメントとともに、感情的な発言については謝罪の言葉が投稿されました。一連の釈明の中で、当該の生徒の在籍状況を公開しており、SNS上では個人の情報を公開した対応についても批判の声が再度集まる事態となりました。
所属企業名を明かして運営する従業員のSNSアカウントでの言動は企業のブランドイメージが直結し、炎上時には従業員個人の問題に留まらず、所属企業の管理体制や企業体質そのものに批判の矛先が向くケースが少なくありません。
こうしたブランド棄損を防止するためには、従業員個人で運営するSNSアカウントであっても、ユーザーにとっては所属する企業が紐づいて批判に繋がるリスクを再認識させる必要があります。企業には、SNS利用に関するガイドラインの整備や従業員へのSNS炎上に関するリテラシー教育など、危機管理体制の抜本的な強化が求められています。
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まとめ
2月に発生した炎上では、企業の危機管理体制の強化が求められる事例が散見されました。
1つ目の事例では、国内をターゲットとした企画や商品であっても、海外で使われる不適切な表現との類似性が批判の対象となり得ることがわかりました。
しかし、国外の表現にまで視野を広げて網羅的にチェックすることは容易ではありません。ひとたび炎上が発生すれば、発売延期や名称変更、PRの中断、最悪の場合は販売中止に追い込まれるなど、企業へのダメージは計り知れません。
こうした事態を防止するためには、企画段階で法的な観点以外にも、複数の目線で炎上の観点からロゴや名称を含む企画や表現をチェックすることが重要です。社内での確認には過去の炎上事象などのノウハウが必要なため、不安がある場合には、専門家の目線で炎上リスクがないかを確認することも有効です。
2つ目の事例では、従業員が所属企業を明かして運用するSNSアカウントの炎上リスクについて解説しました。昨今、SNSアカウントは個人で運営している方も多く、企業がSNSアカウントを運営しているケースも多いため、使い方を知っていると手軽に始めることが可能です。
しかし、所属企業が明確な状態で運営するアカウントは、ユーザーから企業やブランドが紐づいて投稿が見られ、「企業やブランドの意思」として受け取られます。不適切な言動があれば、「この企業はこのような問題発言を容認しているのか」「企業は把握しているのか」といった論調になるケースも多く、管理体制の批判に繋がって企業にも批判が寄せられてしまいます。
リスク低減のためには、SNSアカウントを運用する従業員に対して、利用ルールや炎上リスクを周知した上での投稿を徹底し、問題となる言動がないか、炎上の予兆が見られていないかを平時からモニタリングしておくことが重要な対策であるといえます。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。






