
環境省もガイドラインを改定! 企業の「地球にやさしい」アピールが引き起こす『グリーンウォッシュ炎上』の防ぎ方
近年、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは、企業のブランド価値を向上させるための必須条件となりました。そのため、多くの企業が自社の製品やサービスが、いかに環境に配慮しているかをアピールするようになりました。
一方で、こうした環境訴求のアピールが実態を伴っていない、あるいは誇張されていると見なされた場合、企業は「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」という批判に晒されるリスクがあります。
特にSNSが普及した現代において、グリーンウォッシュに対する消費者の目は厳しくなっており、企業の広報担当者やリスクマネジメント担当者にとって、看過できないレピュテーションリスクとなっています。
このコラムでは、グリーンウォッシュの概要や問題視される背景、企業が講じるべき対策について解説します。
グリーンウォッシュとは
国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)によると、「グリーンウォッシュ」は以下のように定義されています。
環境意識の高い顧客へアプローチするための誇大広告、虚偽のラベリング “自然”と関係なく“グリーン”という用語を使用 根拠を欠いた環境配慮型の取り組みや広報
つまり、グリーンウォッシュとは、企業が実態以上に「環境に配慮している企業」や「環境に優しい商品」であるように見せる行為を指します。
近年では、企業のサステナビリティへの取り組みに対する関心が高まっていることから、環境配慮に関する発信内容も厳しく見られるようになっています。そのため、企業側に悪意がなくても、表現方法によっては消費者に誤解を与えてしまうケースもあります。
「地球にやさしい」が炎上につながる? 環境省も曖昧表現に注意喚起
こうした背景の中、企業の環境PRのあり方について、行政も注意喚起を強めています。2026年3月、環境省が「環境表示ガイドライン」を改定し、「環境にやさしい」「地球にやさしい」といったあいまいな表現に対して、注意を呼びかけたニュースが報じられました。
これまで、多くの企業が広告やパッケージにおいて「地球にやさしい」というフレーズを使用してきました。しかし、具体的に何がどう「やさしい」のか、科学的な根拠やデータが示されていない場合、消費者に誤解を与える可能性があります。
例えば、
- どのような環境負荷を削減したのか
- 従来製品と比べて何が改善されたのか
- 第三者認証や数値データが存在するのか
といった説明が不足している場合、「イメージ先行の環境配慮」と受け取られかねません。
今回のガイドライン改定は、企業の環境アピールに対して、より具体性や透明性が求められる時代になっていることを示しています。今後は、抽象的なイメージ訴求だけではなく、客観的な根拠に基づいた情報発信が、企業の信頼維持において重要になっていくと考えられます。
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「グリーンウォッシュ炎上」がもたらす致命的なダメージ
もし自社のPR活動がSNS上で「これはグリーンウォッシュではないか」と指摘され、炎上してしまった場合、企業は以下のような深刻なダメージを負うことになります。
1.企業ブランドと信頼の失墜
近年は、企業の環境配慮やサステナビリティへの取り組みに注目が集まっており、発信内容と実態に乖離があると、「環境配慮をアピールしているだけではないか」と批判されるケースがあります。
一度失われた「誠実さ」という信頼を取り戻すには、膨大な時間とコストがかかります。
2.不買運動や投資家からの評価低下
環境意識の高い消費者層からの不買運動に発展するだけでなく、ESG投資を重視する機関投資家からの評価も下落し、株価や資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.法的リスクと行政処分の可能性
海外ではすでに、グリーンウォッシュに対して多額の罰金が科される事例が発生しています。日本においても、景品表示法における「優良誤認表示」に該当すると判断される場合があり、違反と判断された場合には、行政指導や措置命令などの対象となる可能性があります。
世界はすでに「罰金」と「法規制」のフェーズへ
この動きは日本特有のものではありません。むしろ、世界では企業の環境アピールに対する監視がさらに厳しくなっています。ここでは各国の主な動きをご紹介します。
主管機関 | 法制度・ガイドライン | 事例・動向 |
【イギリス】 | 2025年、大手コーヒーブランドの「エコ・カプセル」の表示に対する広告禁止措置。 | |
【オーストラリア】 | 2025年、大手日用品メーカーのゴミ袋に対する約825万豪ドル(約8億円以上)の罰金支払い命令。「海洋プラスチック」で作られていると謳いながら、実際には海中ではなく海岸近くで回収されたものだったため。 | |
【アメリカ】 | 2026年10月からのリサイクル可能性基準の厳格化(予定)。回収・処理インフラの実績を企業側が証明できない限り、製品への「リサイクルマーク」の使用自体を制限するため。 |
自社を守るための「3つの防衛策」
こうしたグリーンウォッシュ炎上を防ぎ、正しく自社の取り組みを社会に伝えるために、企業の広報・リスクマネジメント担当者は以下のような対策を講じる必要があります。
1.根拠のある具体的で客観的なデータの発信
「環境にやさしい」といった抽象的な言葉は避け、「CO2排出量を前年比○%削減」「リサイクル素材を○%使用」といった、客観的なデータと明確な根拠に基づく表現を徹底する必要があります。また、根拠となるデータは、Webサイト等でいつでも誰でも確認できるように透明性を確保することが重要です。
2.第三者認証の取得と活用
自社の主張だけでなく、信頼できる第三者機関による環境ラベルや認証を取得することで、取り組みの客観的な裏付けとなります。環境省のガイドライン等にも準拠した、正しい表示ルールを社内で徹底する体制を構築しましょう。
3.SNS上の「違和感」の早期検知とモニタリング
世間の環境に対する価値観は常にアップデートされています。企業側が良かれと思って発信した内容が、今の世間の感覚とズレていないかを常に把握するために、SNS上の意見を定点観測(モニタリング)することが不可欠です。万が一、自社の取り組みに対するネガティブな反応や疑問の声が上がり始めた際は、炎上する前に事実関係を整理し、誠実な追加説明を行う準備をしておきましょう。
まとめ
「地球環境への配慮」は、これからの企業経営において不可欠な要素ですが、その発信方法を一歩間違えれば、企業の存続を揺るがす危機につながります。
エルテスでは、最新のデジタルリスク動向を踏まえた「Webリスクモニタリングサービス」や、有事の際の「クライシスコンサルティングサービス」を提供しております。環境省のガイドライン改定を機に、自社の発信内容を見直し、誠実で透明性の高いリスクマネジメント体制を構築するために、ぜひ当社の知見をご活用ください。






