「PR表記」とは?ステマ規制で知っておきたいルールをSNS別に解説
ステマ規制の強化により、「PR表記」がより重要視されるようになりました。ただし、PR表記は、ただ記載すればよいとは限りません。本コラムでは、ステマ規制の基本を押さえつつ、主要なSNSごとのPR表記ルールや注意点を詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.ステルスマーケティングはPR表記が必要?
- 2.PR表記のルールとは?
- 3.各SNSのPR表記ルールとやり方
- 3.1.Instagramの場合
- 3.2.X(旧Twitter)の場合
- 3.3.YouTubeの場合
- 3.4.TikTokの場合
- 4.PR表記を付ければステマ規則に違反しない?
- 5.PR表記が必要ない場合はある?
- 6.デジタルリスクに備えるならエルテス
- 7.まとめ
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ステルスマーケティングはPR表記が必要?
PR表記は、ステマが景表法違反に該当するようになってから、より注目度が増しています。
では、そもそもステマとはどういったもので、なぜ問題視されてきたのでしょうか。まずは、ステマの基本について解説します。
そもそもステマ(ステルスマーケティング)とは
ステマ(ステルスマーケティング)とは、広告であることを明示せずに、商品やサービスを消費者に宣伝する手法を指します。例えば、以下のような行為がステマに該当します。
- 企業が一般消費者を装って商品のレビューを投稿する
- インフルエンサーに商品の宣伝を依頼する際に広告であることを明示させないようにする
一般的に消費者は広告について、「宣伝のために誇張が含まれているもの」として認識した上で、購入の検討をしています。しかし、ステマは広告である事実を隠すものであるため、消費者が広告を公平な第三者の口コミとして誤認する可能性があります。このように、ステマは消費者の誤解を招き、適切な意思決定を阻むものとして問題視されてきました。
この背景からステマは2023年10月に景品表示法違反の対象となりました。
▶関連コラム:ステルスマーケティング(ステマ)の問題点とは?企業のリスクを解説
ステマ規制の対象はインフルエンサーではなく事業者
ステマ規制の対象となるのは事業者(広告主)です。企業から宣伝の依頼を受けたインフルエンサーやアフィリエイターなどの第三者は、規制の対象となりません。そのため、第三者が広告であることを明示せずに投稿した場合でも、インフルエンサーが事業者に依頼されて行った投稿がステマとみなされた場合、責任を問われるのは事業者になる可能性があります。
もちろん、インフルエンサーなどの第三者もステマ規制に関する知識を持ち、注意することが求められます。
▶関連コラム:インフルエンサーマーケティングで注意したい「ステマ規制」のポイントと対策方針
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PR表記のルールとは?
ステマ規制の違反を避けるためには、消費者が一目で広告や宣伝だとわかる表示が重要です。そこで多くの場合、「PR表記」が活用されています。具体的には、以下のような表記があります。
- #PR
- #宣伝
- #プロモーション
- 提供:株式会社○○
- これは広告です
ただし、これらのPR表記を使用する際には注意が必要です。例えば、PR表記の文字が小さすぎる場合や、投稿の中に埋もれている場合、消費者が広告であることを認識できない可能性があります。また、各SNSにおいてもPR表記ルールが定められているので、次項で詳しく解説します。
各SNSのPR表記ルールとやり方
Instagramの場合
Instagramでは、「ブランドコンテンツ」を投稿する場合に「タイアップ投稿ラベル」の使用が義務付けられています。
ブランドコンテンツとは、Instagramが定義する「クリエイターやパブリッシャーが対価を受けて直接的、間接的にビジネスパートナーを取り上げたコンテンツ」のことです。大半のインフルエンサーマーケティングによる投稿は、ブランドコンテンツに該当します。
ここにおける「対価」には、金銭的な報酬以外に、無料提供や貸出された商品も含まれます。
参考:Instagramヘルプセンター「ブランドコンテンツについて」
X(旧Twitter)の場合
X(旧Twitter)では、広告サービスでプロモーションされた投稿は、「プロモーション」というラベルが付けられます。
これ以外の通常投稿について、「有料パートナーシップ」の一環であるものには、明確にPR表記をすることが求められます。「有料パートナーシップ」に該当するケースとしては、投稿に対して報酬を受け取る場合、商取引の一環で投稿が作成される場合などが挙げられます。
このような場合には、「#広告」「#スポンサー」など、消費者にわかりやすい形で記載しましょう。
参考:Xヘルプセンター「有料パートナーシップに関するポリシー」
YouTubeの場合
YouTubeでは、「有料プロモーション」の設定をオンにする必要があります。動画を投稿する際の設定画面から設定できます。
また、すべての有料プロモーションは、特定のカテゴリの広告を禁止した広告ポリシーに準拠する必要があります。有料プロモーションを企画する前にポリシーを確認しておきましょう。
参考:YouTubeヘルプ「有料プロダクト プレースメント、スポンサーシップ、おすすめ情報を追加する」、「有料プロモーションはどのようなポリシーに準拠していますか?」
TikTokの場合
TikTokでは、「動画コンテンツ情報を開示」の設定をオンにする必要があります。
この設定をオンにすると、動画で「プロモーションコンテンツ」や「有償パートナーシップ」といったラベルが表示されます。これにより、投稿者と紹介している商品やサービスとの関係性が視聴者に明確に伝わります。
TikTok LIVEの場合も、開始前に情報開示と広告をオンにする必要があります。設定を忘れないように注意しましょう。
参考:TikTokヘルプセンター「ブランド、製品、またはサービスの宣伝」
PR表記を付ければステマ規則に違反しない?
ただPR表記をつけていれば、ステマ規制に違反しないとは限りません。
前述したとおり、消費者が広告であることを認識しにくい方法で記載するのは避けるべきです。広告や宣伝であることが不明瞭だと見受けられることもあります。
他にも、動画においてPR表記を表示する際に、視聴者が認識できないほど表示時間が短い場合や、PR表記をしているにも関わらず文中で「第三者の感想」という記載をするなど、広告であることが判断しにくい場合も、違反となる可能性があります。
単にPR表記をつけるだけでなく、消費者が広告だと明確に理解できる形で表示することが重要です。
PR表記が必要ない場合はある?
PR表記の必要性やルールについて解説してきましたが、PR表記が不要とされるケースもあります。消費者庁が公表している運用基準では、以下のようなケースは、PR表記の必要はないとしています。
- テレビCMのように、広告と番組が明確に切り離されている場合。
- 事業者の協力で制作された番組や映画において、その事業者名がエンドロールなどに表示されている場合。
- 新聞の広告欄のように「広告」などと記載されている場合。
- 商品やサービスの紹介を目的とする雑誌記事の場合。
- 事業者自身のWebサイトにおける表示の場合。(※)
- 事業者自身のSNSアカウントによる投稿の場合。
※ただし、第三者の客観的な意見のような表示を、事業者が第三者に依頼・指示をして行っている場合や、事業者自身が表示させている場合は、事業者の表示(PR表記)は必要になると考えられます
出典:消費者庁 「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」 p.9~p.10
広告であることが社会通念上明らかな形式や、事業者自身のWebサイト・SNSアカウントにおける宣伝は、PR表記がなくてもステマには該当しません。
デジタルリスクに備えるならエルテス
PR表記は規則から逸脱した形で記載してしまうと、ステマ規制に違反しているとみなされる可能性があります。ステマ規制の違反した場合は、消費者庁から措置命令が下ることになります。意図しない場合でも、インフルエンサーなど第三者の発信の仕方によっては、企業が責任を問われるケースもあります。そのため、リスク対策は非常に重要です。
エルテスのコンテンツリスクチェックはWebモニタリングサービスの機能を活用し、企業が依頼した第三者の宣伝投稿を24時間365日監視します。法令違反や不適切な表見がある投稿を検知した場合は即座に通知を行います。また、公開後のチェックだけでなく、発信前のコンテンツ事前チェックサービスも提供しています。
コンテンツリスクチェックの相談はエルテスへ
まとめ
PR表記は、広告の透明性を保つために重要な存在です。企業は適切な表記を行うとともに、インフルエンサーなどの第三者にも周知・啓発し、消費者の誤認を防ぐ対応が求められます。各SNSに定められたガイドラインや、消費者庁が公表している指針に従い、信頼を損なわない健全なマーケティング活動をしていきましょう。