ステルスマーケティング(ステマ)の問題点とは?企業のリスクを解説
SNSを中心に影響力を持つ人が増えてきた背景を受け、企業がSNSで影響力を持つ「インフルエンサー」に、プロモーションの協力を依頼するケースも増えてきました。今回は、そんなときに注意したいステルスマーケティングについてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ステルスマーケティングとは?
- 2.よくあるステルスマーケティング手法
- 3.ステルスマーケティングは何が問題か
- 3.1.景品表示法の規制の対象になる
- 3.2.炎上リスクがある
- 4.規制に向けて確認したいドキュメント
- 4.1.消費者庁が公開する運用基準
- 4.2.WOMJガイドライン
- 5.こんなときに気を付けたいステルスマーケティング
- 6.ステルスマーケティング対策でできること
- 7.『コンテンツリスクチェック』のご紹介
- 8.まとめ
- 9.【関連情報】
- 10.【参考情報】
ステルスマーケティングとは?
ステルスマーケティング(ステマ)という言葉を聞いたことはあるけれど、曖昧なままで人には説明出来ないという方も多いのではないでしょうか。
ステルスマーケティングの言葉を分解してみると、「ステルス」と「マーケティング」の単語に分かれます。そこで、ステルスの意味を英和辞典で調べてみました。
ステルス(stealth)
名詞:こっそりすること、忍び
語源は、盗むという動詞のstealと同様です。
また、ステルス戦闘機という言葉もありますが、レーダーでは捕捉出来ない特殊な戦闘機で、相手に気づかれずに攻撃を行うことを目的とした戦闘機です。
ステルスマーケティングとは、英和辞典や関連語句からも連想できるように、宣伝と気づかれずにこっそりと宣伝行為を行うことです。サクラ行為ややらせ、アンダーカバーマーケティング(覆面マーケティング)、ゲリラ・マーケティングといった類似の用語もあります。
よくあるステルスマーケティング手法
ステルスマーケティングの手法は2つに分類することが出来ます。
なりすまし型
一般消費者になりすまして、評判のコントロールを行うことです。具体的には、口コミサイトなどで一般消費者として高い評価や良いコメントを投稿し、サービスの情報操作を行うことを指します。
利益提供秘匿型
芸能人やインフルエンサーがSNSで商品やサービスをこっそりと紹介することです。報酬をもらい、普段利用していない商品やサービスをあたかもお気に入りのサービスのように紹介する行為を指します。
ステルスマーケティングは何が問題か
景品表示法の規制の対象になる
ネット社会となった現代、SNSやECサイトのレビューなどに投稿される口コミの影響力の強さは今や周知の事実です。一方で、ステルスマーケティングによって、ネット上の口コミの中には、企業が依頼した意図的な感想も混在するようになりました。そのような状況を受けて、2023年10月から景品表示法の禁止行為にステルスマーケティングが指定され、規制されるようになりました。
規制は広告主に対して、第三者に口コミ投稿・SNS投稿を指示する場合の広告表示を強く求めるものとなりました。PR活動において、金銭の授受が無い場合でも規制の対象となる可能性があり、違反は行政処分・措置命令に繋がります。
炎上リスクがある
過去にステルスマーケティングを行う、あるいは疑われる行為を行った事例はいくつかありました。その多くが、SNSで批判を浴び炎上する事態になっています。
ステルスマーケティングを行うことは、消費者を騙す行為であり、そのような期待を裏切る企業の言動をネット上は許さない風潮があるため、ステルスマーケティングはもちろん、疑われる行為は企業やその関係者が批判の対象となりえます。そして、その後にはコンプライアンス遵守が出来ていないというレッテルを貼られかねません。
規制に向けて確認したいドキュメント
ステルスマーケティングを疑われないために、広告やプロモーションに関わる担当者は、どういった点を気にする必要があるか、そのようなリテラシーが今後求められます。ここでは、特にこのステマ規制に向けて確認しておくべきドキュメントを紹介します。
消費者庁が公開する運用基準
こちらは今回のステマ規制にあたって、消費者庁が公表してる運用基準です。正確には、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」に該当する内容が記載されています。まずこちらを確認することがリスクを回避するうえで重要だと言えます。
WOMJガイドライン
WOMJガイドライン(WOMマーケティング協議会) |
もう一方の確認しておきたいドキュメントは、WOMマーケティング協議会が公表してるWOMJガイドラインです。WOMマーケティング協議会とは、WOMマーケティング(Word of Mouth:クチコミマーケティング)業界の健全なる育成と啓発をミッション掲げ活動してる組織です。ステマ規制にあたっては、当該組織の副理事が消費者庁の「ステルスマーケティングに関する検討会」の委員として参加するなど、今回の規制に関わっていた団体でもあります。
今回のステマ規制にあたって、元々あったガイドラインのアップデートしたものを製作しており、前述した消費者庁の運用基準より厳しい基準でガイドラインを策定していると言われています。そのため、このガイドラインを守ることがひとつのリスク回避の方法とも考えられます。
こんなときに気を付けたいステルスマーケティング
ここでは、ステルスマーケティングに該当する恐れがある企業が気を付けたいマーケティング業務のアクションの例を共有します。
- インフルエンサーに商品に関する感想の投稿を依頼する
- アフィリエイトプログラムを用いて、アフィリエイターに商品または役務に関する表示を依頼する
- ECサイトに商品を出品している会社が、購入者に当該ECサイトの口コミ機能への投稿を依頼する
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商品の販売・開発などに関わった従業員が、商品の認知向上のため、自身のSNSに商品に関する画像や文章を投稿する
特に、インフルエンサーなどへの依頼時に、ハッシュタグでの「#広告」や「#PR」といった表記の有無の指示・取り決めをしないまま、インフルエンサーがPR表記をせずに投稿した場合や、表記の指示をしたにもかかわらず、インフルエンサーが表記を忘れた場合もステルスマーケティングに該当する恐れがあり、企業側は速やかな修正や削除の対応が求められます。
ステルスマーケティング対策でできること
ステルスマーケティングを行わないように、企業が行うべき対策を紹介します。
-
商品の口コミを第三者に依頼する場合は、ステルスマーケティングのリスクとリスクを双方で確認する
-
第三者に依頼する場合は、ルールを明確に定める(自社名やPR表記の有無、明記の方法を決めておく)
- ステルスマーケティングが疑われる投稿が行われた場合、もしくは誤って投稿への広告表示を忘れた場合に備えて、早期に発見できるように体制を整える
『コンテンツリスクチェック』のご紹介
エルテスでは、企業が依頼したアフィリエイト広告やインフルエンサーマーケティングなどの第三者の情報発信を24時間365日モニタリングする「コンテンツリスクチェック」サービスを提供しています。
ステルスマーケティングが疑われる法令違反の表示を検知した場合は、企業様に即座に報告し、速やかな対応をサポートします。
まとめ
2023年10月の法規制の施行に向けて、ステルスマーケティングへの注目度は高まっています。企業がインフルエンサーをはじめ第三者に情報発信をお願いする場合は、内容の事前確認やルールを明確にするなど、ステルスマーケティングのリスクを少しでも低減する対策への備えをおすすめします。
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〇関連コラム
・インフルエンサーマーケティングで注意したい「ステマ規制」とは
・インフルエンサー起用による炎上を防ぐ。リスクのポイントと対策とは?
・アフィリエイト広告の不当表示リスクと広告主に求められる対策
【参考情報】
・「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について(消費者庁)
・WOMJガイドライン(WOMマーケティング協議会)