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リモートワーク管理の課題を解決!ログ監視で防ぐ8つのリスク

日本におけるリモートワークは、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴って普及が急速に進み、働き方の多様化が一気に加速しました。

従業員は場所の制約から解放され、柔軟な働き方を実現できるようになった一方で、企業側では従来のオフィス勤務を前提とした管理の仕組みでは想定しきれないリモートワーク下での新たな課題が次々と顕在化しています。特に、勤務実態の可視化が難しくなったことで隠れ残業や情報漏洩、さらには悪意を持った内部不正などオフィス環境では見えにくかったリスクが問題化され、経営や人事、情報システムの各領域に深刻な影響を及ぼすケースも少なくありません。

このコラムでは、リモートワークに潜む8つの主要リスクを「労務リスク」と「情報セキュリティリスク」に分けて整理し、それぞれのリスクをどのように「ログ監視」によって未然に防ぎ、健全で持続可能な組織運営へとつなげられるのかを詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.リモートワークが急速に定着した背景
  2. 2.労務リスク
    1. 2.1.リスク① 隠れ残業
    2. 2.2.リスク② 不就労
    3. 2.3.リスク③ 不公平な人事評価
    4. 2.4.リスク④ メンタルヘルス不調
  3. 3.情報セキュリティリスク
    1. 3.1.リスク⑤ 社用端末の紛失
    2. 3.2.リスク⑥ 私用端末からの感染
    3. 3.3.リスク⑦ フリーWi-Fiからの情報漏洩
    4. 3.4.リスク⑧ 内部不正
  4. 4.リモートワーク管理を強化するログ監視|8つのリスクを防ぐ具体的な方法
    1. 4.1.労務リスクへの対策
    2. 4.2.情報セキュリティリスクへの対策
  5. 5.ログ監視ツールの選定ポイント
  6. 6.リモートワーク管理課題を解決する内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)
  7. 7.まとめ

情報漏洩

リモートワークが急速に定着した背景

総務省の「令和6年版 情報通信白書」によれば、リモートワークの導入企業は2019年の約2割から、2020年には倍以上となるの47.5%に急増し、2021年から2023年にかけても約50%を維持し、多くの企業でリモートワークが定着したことがわかります。

内部情報漏洩データ引用:総務省「令和6年版 情報通信白書」


こうした働き方の定着により、企業は従業員の働き方をどのように把握し、健全な労務管理と情報セキュリティを維持するかが重要な課題となっています。

労務リスク

ここでは、リモートワーク管理において特に注意すべき労務関連のリスクについて解説します。

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リスク① 隠れ残業

オフィス勤務のように上司や同僚の目が届かないため、残業を申告せずに業務を行う「隠れ残業」が発生しやすくなります。リモートワークでは労働時間とプライベートの区別が曖昧になることで、業務効率が低下し、その穴埋めとして残業が増えてしまう傾向にあります。また、企業が隠れ残業を見過ごし、実態を把握していない場合、労働安全衛生法が定める「労働時間の状況の把握」義務を果たしていないとみなされます。

労働安全衛生法第66条の8の3
事業者は、第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第1項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

悪質なケースでは、労働基準監督署による指導や調査が入り、賃金不払いとして以下の罰則が科される可能性も高まります。

労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

さらに、割増賃金を支払わない場合や違法な労働時間管理を行った場合には、労働基準法に基づき刑事罰の対象となることがあり、違反内容によっては「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性もあります。

このような行政対応や法的ペナルティが発生すれば、企業の社会的信用が大きく失墜してしまう重大なリスクにつながります。

関連記事:テレワーク時の隠れ残業・サービス残業対策

リスク② 不就労

リモートワークでは、勤務時間中に私的な活動に時間を費やしてしまう「不就労」リスクも生じやすくなります。監視の目が届かない環境では、業務の進捗把握が難しく、結果として支払う給与と実際の労働実績との間に乖離が生まれてしまい、この状況が続けば、評価制度や報酬体系の公平性に影響し、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼします。

関連記事:テレワークで業務意欲低下?生産性維持のために

リスク③ 不公平な人事評価

リモートワーク管理においては、業務プロセスや努力が見えにくくなることから、成果だけが評価されやすくなる傾向があります。そのため、特にプロセス重視の職種では、定性的な貢献が評価されにくく、従業員のモチベーション低下を招くことがあります。

評価の偏りが常態化すれば、優秀な人材の離職や組織内の不信感を生む結果となり、企業の健全性にも悪影響を及ぼしかねません。

リスク④ メンタルヘルス不調

同僚や上司とのコミュニケーション不足、長時間労働、孤立感などが複合的に重なることで、リモートワーク中の従業員のメンタルヘルス不調が生じやすくなります。また、企業にはリモートワークであっても以下の条文通り「安全配慮義務」が課せられています。

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

企業は従業員の健康状態を定期的に把握し、異変を早期に察知して支援できる体制を整えることが求められます。

情報セキュリティリスク

次に、リモートワーク管理におけるもう1つの重要な側面である情報セキュリティ上のリスクについて説明します。リモートワーク環境における情報セキュリティ課題に対応するため、こちらの資料もぜひご活用ください。

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リスク⑤ 社用端末の紛失

リモートワーク管理において、従業員に貸与された社用端末の管理が重要な課題です。リモートワーク環境では、企業が従業員に業務用端末を貸与するケースが多いものの、その管理は個人に委ねられるため、端末の紛失・盗難による情報漏洩リスクが常につきまといます。

端末内に保存された機密情報や顧客データが第三者に渡ると、企業は法的責任を問われるだけでなく、ブランド価値や信頼の失墜にも直結します。

リスク⑥ 私用端末からの感染

企業によっては、従業員の私用端末を業務に利用するケースも少なくありません。私用端末を利用すると、セキュリティポリシーの統一が難しく、各端末のウイルス対策が不十分になる恐れがあるため、感染リスクが高まります。

リスク⑦ フリーWi-Fiからの情報漏洩

外出先で業務を行う際、フリーWi-Fiを利用して業務データを送受信するケースがありますが、公共ネットワークは通信の暗号化が不十分な場合も多く、悪意のある第三者にデータを盗み見られ、重要な情報漏洩につながる危険性があります。

リスク⑧ 内部不正

リモートワークでは、従業員による内部不正が深刻なセキュリティリスクとなります。悪意を持った情報持ち出しや不正アクセスだけでなく、従業員の不注意に起因する情報漏洩も挙げられます。

関連記事:情報漏洩原因ランキングからわかる内部不正の実態と今すぐ着手すべき対策

リモートワーク管理を強化するログ監視|8つのリスクを防ぐ具体的な方法

対策

ここからは、これまでに解説した「労務リスク」と「情報セキュリティリスク」を防ぐために、有効な対策の1つとしてログ監視が具体的にどのような役割を果たすのか、その活用方法を詳しく見ていきます。

関連記事:企業のセキュリティ強化に不可欠なPC操作ログ監視の3つのメリット

労務リスクへの対策

リモートワーク管理における労務リスクを防ぐためには、従業員の申告上の勤務時間と実際の稼働状況との乖離をなくすことが重要です。勤怠打刻データとPCのログオンやログオフ時刻、ブラウザの閲覧履歴などの稼働ログを突合し、勤務実態を客観的に把握することが求められます。

これにより、長時間労働の兆候や、特定の従業員への業務負荷の偏りを早期に可視化し、業務や人員配置の最適化につなげることができます。また、PC操作ログの分析を通じて、業務中の活動傾向を把握することは、非効率な業務プロセスを改善する手がかりにもなります。

情報セキュリティリスクへの対策

ログ監視は、情報漏洩対策として極めて有効です。従業員の端末上で発生するファイル操作や外部デバイスの接続、データ転送やWebアクセスなどのログを監視することで、機密情報の不正持ち出しなどのリスクを早期に検知できます。さらに、不審な挙動を検出し、管理者へ即時に通知する仕組みを導入すれば、インシデントの初動対応を迅速化し、被害の最小化を図り、再発防止策を体系的に整備することもできます。

ログ監視ツールの選定ポイント

セクションのポイント

ここまではリモートワーク管理における「労務リスク」と「情報セキュリティリスク」、ログ監視がいかにリモートワーク管理に有効であるかを解説してきました。しかし、市場にはさまざまなログ監視ツールが存在するため、自社にとって最適なツールを選ぶポイントが必要です。

ポイントとして、

  1. どの方式でログを取得するか(エージェント型/エージェントレス型)
  2. どのログがどこまで取れるか(稼働状況、ファイル操作、ネットワーク接続など)
  3. 日々の運用で使いやすい管理画面・レポートかどうか
  4. サポート体制や導入時の支援がどこまであるか

といった基本的な比較ポイントを押さえておくことが重要です。

ログ監視ツールで後悔しない選び方と導入前に知っておきたいポイントについて、こちらのコラムで詳しく解説しています。

リモートワーク管理課題を解決する内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)

内部脅威検知

エルテスの「内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)」はここまで触れたリモートワーク管理における情報漏洩や内部不正といったリスクに対し、従業員の行動データを統合的に分析することで効果的な対策を提供しています。

内部脅威検知サービスは、PCアクセスログや印刷ログ、サイト閲覧ログなどを横断的に分析し、専門アナリストによる評価を組み合わせて内部不正や情報持ち出しの予兆を検知する仕組みです。既存の資産管理ツールとも柔軟に連携し、お客様が既に保有するログデータを最大限に活用しながら、初期導入から運用まで手厚く支援できる体制を整えています。高精度なログ監視と専門家の知見を組み合わせることで、見えにくいリモートワーク環境下での内部脅威を早期に発見し、リスクを未然に防ぐことが可能です。

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内部脅威検知サービス

まとめ

リモートワーク環境における「労務リスク」と「情報セキュリティリスク」は、複合的な脅威となりがちです。エルテスの内部脅威検知サービスは、ログ監視を通じて客観的な事実に基づいた対策を提供し、従業員の安全と企業資産を守ります。情報漏洩対策について、ぜひお気軽にご相談ください。

情報漏洩

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著者・監修|株式会社エルテス編集部
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株式会社エルテスは、これまで多種多様な企業のデジタルリスク対策に尽力してきたノウハウを生かし、企業のリスク課題・デジタル課題に役立つコンテンツを提供しています。 編集部ではネット炎上やSNS運用トラブル、ネット上の風評被害・誹謗中傷、情報セキュリティ対策など様々なビジネスのリスク課題に関するコラムを発信しています。
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