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【ケース別】個人情報漏洩発生時の初動対応とは?法的義務・報告期限・実務フローを解説

個人情報漏洩は企業の事業継続性、ブランド価値、そして顧客からの信頼に直接的な損害を与える重大なインシデントです。東京商工リサーチの調査によると、2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報漏洩・紛失事故は189件に達し、調査開始以来最多を記録しました。

東京商工リサーチ 2024年「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査

出典:東京商工リサーチ 2024年「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査

事故発生時、企業の社会的信用と法的責任を決定づけるのは「初動対応」の質です。しかし、サイバー攻撃、内部不正、物理紛失など、インシデントの発生要因によって優先すべきアクションは異なります。

このコラムでは、2024年4月の改正個人情報保護法施行規則を含む法的要件と、現場での具体的な手順を網羅した、実効性のある対応マニュアルの設計方法を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.なぜ個人情報漏洩の「初動対応」が企業にとって重要なのか
    1. 1.1.①被害の拡大を防ぐため
    2. 1.2.②法令遵守と行政対応のため
    3. 1.3.③企業の信頼・ブランド価値を守るため
  2. 2.マニュアル設計の前提となる「法的期限」と「報告義務」
  3. 3.【ケース別】個人情報漏洩の初動対応マニュアル
    1. 3.1.①サイバー攻撃(ランサムウェア・不正アクセス)
    2. 3.2.②内部不正(持ち出し・悪用)
    3. 3.3.③ヒューマンエラー(誤送信・紛失・盗難)
  4. 4.被害拡大を防ぐための「公表・通知」プロセス
  5. 5.個人情報漏洩を防ぎたいならエルテスの内部脅威検知サービス
  6. 6.内部脅威検知サービスの実績と導入企業の声
  7. 7.まとめ

なぜ個人情報漏洩の「初動対応」が企業にとって重要なのか

個人情報漏洩が発生した際の初動対応は、被害を最小限に抑える上で極めて重要です。対応が遅れたり不十分だったりすると、被害が拡大するだけでなく、法的なリスクや企業の信頼に関わるレピュテーションリスクも高まります。具体的には以下の3つの理由が挙げられます。

①被害の拡大を防ぐため

個人情報が外部に漏洩すると、対応が遅れるほど拡散や悪用のリスクが高まります。ネットで拡散してしまうと、顧客への詐欺やなりすましなどの二次被害が増えるだけでなく、対応の複雑さもコストも増えてしまいます。

②法令遵守と行政対応のため

多くの国や業種では、個人情報保護法などの法令があり、個人情報漏洩発覚時の報告義務と通知義務が課されています。

日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、以前は個人情報が漏洩した場合、「努力義務」でしたが、改正法により以下のように法的義務となりました:

個人情報保護法第26条第1項

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。

このように、個人情報保護委員会への報告および本人への通知が法的義務となり、初動対応の遅れは法令違反や行政処分につながる可能性があります。

③企業の信頼・ブランド価値を守るため

情報漏洩が発覚した場合、顧客や取引先、株主などからの信頼は大きく損なわれる可能性があります。初動対応によって状況説明や被害拡大防止策、再発防止策を迅速かつ適切に示すことで、企業としての透明性や責任感を明確に示し信頼回復につなげることができます。

一方で、対応が後手に回り、隠蔽したように見られてしまえば、SNSやメディアで拡散して株価下落や顧客離れ、取引停止といった連鎖的な損害を招く危険があります。

関連記事:内部不正による情報漏洩リスクと事前に防ぐための調査と対応方法

マニュアル設計の前提となる「法的期限」と「報告義務」

実際にマニュアルを作成する際、最初に定義すべきは「いつまでに」「何を」完了させる必要があるかというゴール設定です。具体的には、以下の4類型に該当する場合に報告義務が発生すると決められています。

  1. 要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等(規則7条1号)
    例:病歴、犯罪歴など
  2. 不正利用により財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等(規則7条2号)
    例:クレジットカード情報、送金機能付きIDなど
  3. 不正の目的をもって行われたおそれがある漏えい等(規則7条3号)
    例:不正アクセス、ランサムウェア、内部不正など
  4. 本人の数が1,000人を超える漏えい等(規則7条4号)


また、個人情報保護法に基づく情報漏洩などの報告は発覚から概ね3〜5日以内に「速報」、発覚日から30日以内(上記3の場合は60日以内)に「確報」を個人情報保護委員会へ提出し、本人にも通知する義務があります。

「3〜5日」という短期間で、個人情報漏洩の事象把握、被害範囲の特定、委員会への報告と本人への通知を行うためには、発生した事象を即座にシナリオ化し、迷わず初動プロセスに乗せる仕組みがマニュアルに不可欠です。

【ケース別】個人情報漏洩の初動対応マニュアル

以下では、個人情報漏洩のケースを3つに分類し、現場担当者が取るべき行動の例を説明します。

①サイバー攻撃(ランサムウェア・不正アクセス)

外部からの侵入やマルウェア感染が疑われるケースでは、被害の拡大を最小限に抑える「物理的な遮断」と、原因究明のための「証拠保全」を最優先に実施すべきです。

  1. ネットワークからの隔離
    異常を検知した直後に、当該端末やサーバーのLANケーブルを抜線、またはWi-Fi接続を無効化します。

  2. 電源操作の禁止
    ここで現場が犯しやすいミスが「電源を切ってしまう」ことです。マニュアルには「電源は絶対に切らない」と明記する必要があります。電源を切ってしまうと、メモリ上に残っている一時的なデータやログが無くなり、原因究明や暗号化されたファイルの復元が困難になります。

  3. 専門機関への連携
    自社だけで原因を特定しようとせず、フォレンジック調査会社やセキュリティベンダーへ速やかに連携し、ログ解析や証拠保全を依頼するフローを確立します。

関連記事:エンドポイントセキュリティの重要性と選び方を徹底解説!

②内部不正(持ち出し・悪用)

従業員や退職者による不正持ち出しは発見が遅れやすく、かつ競合他社への流出など被害が深刻化しやすい特徴があります。ある情報通信会社の事例では、元派遣社員が約928万件の個人情報を約10年間にわたり不正に持ち出していました。内部不正を発見した際に、以下の3点を速やかに対応すべきです。

  1. アクセス権限の停止
    疑いのある対象者の社内システムやクラウドストレージなどの権限を速やかに停止し、無効化します。

  2. 貸与端末の回収と保全
    対象者が使用していた社用PCやスマートフォンを回収し、フォレンジック調査において客観的な証拠とするため、操作せずに保管します。

  3. ログの確保
    アクセスログやメール送信履歴、複合機の印刷ログなどを確保します。後の懲戒処分や損害賠償請求、刑事告訴において、不正の事実を立証するための不可欠な材料となります。

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③ヒューマンエラー(誤送信・紛失・盗難)

メールの誤送信やPCなどの紛失は、悪意のないヒューマンエラーがほとんどですが、被害拡散を最小限に留めるには、迅速な無効化と回収が極めて重要です。

  1. 紛失・盗難の場合
    MDM(モバイルデバイス管理)ツールなどを用いて、リモートロックやデータ消去を実行します。また、端末内のアカウントが悪用されないよう、関連するパスワードの変更を直ちに行います。
  2. 誤送信・誤公開の場合
    メールの送信先へ速やかに連絡し、削除を依頼します。Web上で誤公開した場合は、サーバーからの削除に加え、検索エンジンのキャッシュ削除申請を行う手順もマニュアルに含めます。

関連記事:【事例で解説】ヒューマンエラー12分類から見る情報漏洩の原因と企業が取る対策

被害拡大を防ぐための「公表・通知」プロセス

初動対応で被害の拡大を止めた後は、二次被害を防ぐための対外的な対策へ移行します。法的報告義務がある事案では、原則として本人への通知も義務付けられています。通知には、漏洩した情報の項目と原因、二次被害のおそれ、およびパスワード変更やクレジットカードの停止など、本人が講じることができる措置を具体的に記載します。通知方法は郵便や電子メールなど、本人に直接到達する手段が原則です。

また、すべての事案で公表が必要なわけではありませんが、社会的な影響が大きい場合や、被害者が不特定多数に及ぶ場合はプレスリリースやお詫び文などの公表を行います。盛り込む要素としては、以下の5つが挙げられます。

  1. 事実関係の概要(いつ、何が起きたか)
  2. 漏洩した情報の項目と規模(確定していない場合は「最大数」や「可能性」として記載)
  3. 原因と経緯(判明している範囲で客観的に記述)
  4. 二次被害への対応(不審なメールへの注意喚起など)
  5. 再発防止策と問い合わせ窓口

その他、「想定外の攻撃だった」といった言い訳は避け、事実を誠実に伝えることが重要です。

関連記事:「事後対応」では手遅れに|予兆を捉える内部不正対策の仕組み作りについて解説

個人情報漏洩を防ぎたいならエルテスの内部脅威検知サービス

内部脅威検知サービス

ここまで、有事の際のマニュアル作成について解説してきましたが、最も重要なリスク管理は個人情報漏洩を発生させない仕組みづくりです。ファイアウォール等の従来型防御では検知できない、内部脅威への対策が求められています。エルテスが提供する「内部脅威検知サービス(Internal Risk Intelligence)」は、この課題に対する有効なソリューションです。

内部脅威検知サービスでは、UEBA(User and Entity Behavior Analytics:ユーザー・エンティティ行動分析)技術を活用し、各ユーザーやデバイスの「標準的な行動パターン」を学習します。これにより、退職予定者の大量データダウンロードや、勤務時間外の不審なシステムアクセスなど、普段の行動から逸脱した異常を自動的に検知することが可能です。

さらに、システムによる検知に加え、専門のアナリストが詳細なログ調査を行う「ハイブリッド分析」を活用しています。システム単体では判断が難しい業務上の文脈を踏まえてリスクを判定するため、過検知や誤検知を防ぎ、本当に対処すべき危険な兆候のみを通知することができます。

導入にあたっては、新たに監視用ソフトウェアをインストールする必要はなく、自社で既に収集し保存しているPC操作ログ、認証ログ、勤怠データなどのログデータを活用するため、低コストかつ手軽に運用を開始できます。

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内部脅威検知サービスの実績と導入企業の声

内部脅威検知サービスは、前述のような高度なUEBA分析や専門アナリストによるハイブリッド運用により、大手製造業や金融機関、IT企業や研究開発組織など幅広い分野で採用されており、解析対象となるユーザーID数は30万IDを超えています。さらに、株式会社アイ・ティ・アールが提供する調査レポート「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場2025※1」においても、エルテスの内部脅威検知サービスがUEBA運用監視サービス市場シェアNo.1を獲得しており、その信頼性と導入実績の高さが示されています。

※1 出典:ITR「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場 2025」UEBA運用監視サービス市場:ベンダー別売上金額シェア(2024年度)

導入企業様からは、以下のような声をいただいております。

ログを分析する側の精神的な負担が軽減されただけでなく、従業員の振る舞いが見える化されたことで意識向上にも繋がりました。
日常的にログが確認でき、退職する予定はないものの、不正な行動を実施している従業員の行動を追えるようになった。

貴社の環境における具体的な運用イメージや効果についても、ぜひお気軽にお問い合わせください。

▶導入企業の声はこちら

情報漏洩対策は、エルテスへ

まとめ

個人情報漏洩が発生した際、その被害を最小限に抑えるためには、漏洩パターンに応じた実践的な「初動対応マニュアル」の整備し、「誰が・何を・いつまでに行うか」を明確にすることが重要です。また、インシデントへの対応準備と並行して、多層的な予防策を講じることも重要な対策となります。特に、見落とされがちな内部脅威に対しては、専門的なサービスの活用が有効な選択肢となります。

事前の準備こそが、企業の社会的信用と事業継続を確かなものにします。自社の情報管理体制を強化したいとお考えの企業様は、ぜひお気軽にエルテスへお問い合わせください。

著者・監修|株式会社エルテス編集部
著者・監修|株式会社エルテス編集部
株式会社エルテスは、これまで多種多様な企業のデジタルリスク対策に尽力してきたノウハウを生かし、企業のリスク課題・デジタル課題に役立つコンテンツを提供しています。 編集部ではネット炎上やSNS運用トラブル、ネット上の風評被害・誹謗中傷、情報セキュリティ対策など様々なビジネスのリスク課題に関するコラムを発信しています。
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