ネット炎上レポート 2022年1月版
2022年1月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2022年1月のネット炎上トレンド
2022年1月に最も多かった炎上対象は前月より17ポイント低下したものの「企業・団体」が57%を占めました。次いで前月より9ポイント増加した「個人・著名人」が19%、「マスメディア」が1ポイント増加し13%となりました。
「企業・団体」の炎上区分の内訳は、前月よりも7ポイント増加した「サービス」が全体の21%を占め、次いで3ポイント低下した「自治体・団体」が13%を占めています。「IT」が前月より1ポイント増加し8%となりました。「メーカー」は16ポイント低下し7%、「インフラ」は4ポイント低下、「教育機関」は2ポイント低下の4%という結果になりました。(図1)
収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容では、1ポイント低下したものの「顧客クレーム・批判」が全体の38%を占めています。次いで、2ポイント増加した「不適切発言・行為、失言」が35%となっています。「不祥事/事件ニュース」は前月より4ポイント低下し17%、「情報漏えい/内部告発」が3ポイント増加し10%を占める結果となりました。(図2)
収集データを元にエルテスが作成
インフルエンサーに投稿を依頼したSNSメディアが、“ステルスマーケティングでは?”と炎上
某SNSメディアが、のべ20名のインフルエンサー対して、対価を支払う前提でコンテンツを紹介する投稿を依頼していたにも関わらず、「#PR」等の表記を行っていなかったことが判明し、批判が寄せられました。SNSメディアの公式アカウントとホームページには謝罪と再発防止策を掲載した文書が掲載され、「コンテンツをより多くの皆様に知っていただくための活動で、『広告』表記は不要という認識だった」と釈明がされました。
ステルスマーケティングに関しては、今後は法整備が必要だといった指摘も見られました。
投稿への批判に対するリアクションによって、更なる炎上も
SNS上の投稿に寄せられた批判に対するリアクションによって、炎上を加速させるケースが今月も目立ちました。
a) 某IT企業の人事担当者が所属を明らかにして運用するX(旧Twitter)アカウントの投稿が不適切であるとして批判され、炎上。批判に対して釈明などしなかった姿勢に、更なる批判が生まれました。
b) 某県知事が、システム不具合によって緊急速報メールが多数送付された点について謝罪。複数回に渡って送られたツイートの内容に対し、批判が寄せられました。
a) の事例では、「採用は採ってはいけない人を見極める仕事だ」と投稿した人事担当者の投稿について「不採用になった人に対して配慮がない」といった声や、批判意見が見られても釈明をしなかったことをさらに批判する声が寄せられました。
b) の事例では、津波に関する深夜帯の緊急速報メールが特定のエリアに大量に送付され、システムエラーだったとして知事が自身のアカウントで謝罪。それに対して批判が寄せられたためか「私自身も寝不足です。」と発言したため、「逆ギレだ」といった批判が殺到しました。
まとめ
1月度には、SNSの運用に関する炎上の事例が複数見られました。インフルエンサーに依頼した投稿がステルスマーケティングにあたるとしてメディアの運営企業が炎上した事例では、企業内でしっかりルール整備がされていなかった可能性があります。
また、批判に対するリアクションで炎上を加速させた事例に関しては、批判の論調を見極めることが重要であるとの学びがあります。
過去起きた炎上事例のポイントや対策を見ていただくだけでなく、現在の世間の状況を鑑みながら、どのようなトピックスが炎上しやすいのかを把握していただくことで、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。