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ネット炎上レポート 2022年上期版


エルテスでは、毎月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとして報告しております。今回は、それら2022年上期(1月~6月)の炎上事例を時系列にまとめ、どのようなネット炎上の傾向があったのか。また、過去と比較して、どのような変化があったのかをまとめました。


目次[非表示]

  1. 1.炎上レポートの主旨
  2. 2.2022年上期全体の炎上傾向
  3. 3.炎上対象からみる上期炎上のトレンド
    1. 3.1.1)2021年下期と比較して、自治体・団体の炎上が大幅減
    2. 3.2.2)サービス業の炎上が増加
  4. 4.炎上の火種はどのように変化したのか
    1. 4.1.3)炎上の火種となるトレンドは変化なし
  5. 5.まとめ


炎上レポートの主旨

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上事例の傾向をお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上

▼前提条件

以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義

ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法

SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。


本レポートでは、炎上事例の変化を “炎上対象”と“炎上要因”の2つの観点から見ていきたいと思います。



2022年上期全体の炎上傾向

2021年下期(2021年7月~12月)と比較して、2022年上期のネット炎上件数は、36%減少しました。図1でも記載しておりますが、最も顕著だった減少カテゴリーは、自治体・団体(前期比-68%)でした。

また、毎月の炎上件数で見ていくと、上期を通じて炎上件数が最多となったのは、2022年1月でした。個人・著名人のほか、サービス業での炎上が増加したことが1月の増加の内訳でした。


図1:2021年下期炎上件数を100としたときの2022年上期炎上件数


炎上対象からみる上期炎上のトレンド


図2:炎上対象区分(月別)


図2は、2021年下期と2022年上期の炎上件数を月次で炎上対象別に整理したものです。ここからは、炎上対象の軸で上期の炎上の特徴を見ていきたいと思います。


1)2021年下期と比較して、自治体・団体の炎上が大幅減

2021年下期と比較して、自治体・団体の炎上が68%減少しました。2021年下期には、新型コロナウイルス感染再拡大や東京オリンピック・パラリンピックに関連した炎上が多く見られ、それらの多くの炎上対象が自治体・団体でした。

一方で、2022年上期は、新型コロナウイルスの感染拡大は抑制され、大きなイベントもなかったことが要因ともなり、前期比では自治体・団体の炎上が大幅減となりました。


2)サービス業の炎上が増加

大幅に減少した自治体・団体の炎上に対して、サービス業の炎上が増加しています。2021年下期全体におけるサービス業の炎上比率は20%だったのに対し、2022年上期全体における炎上比率は26%に増加しました。顧客対応が不十分で批判されるといった炎上が多く見られましたが、この背景には、新型コロナウイルス感染の抑制による経済活動の活性化も推測されます。


<主な顧客対応炎上事象>

○HPに記載されている賞味期限と実際の商品の賞味期限の相違を指摘したユーザーへの対応内容の批判
○キャンペーンの規約を実施中に変更し、対象者から店舗への批判


炎上の火種はどのように変化したのか

次に、炎上の火種の観点から2022年上期の特徴を整理していきたいと思います。図3は、炎上内容を比率で整理したものです。


図3:企業・団体が対象となった炎上内容区分(月別)

※”企業・団体”は図1の「メーカー」「サービス」「IT」「インフラ」「自治体・団体」「教育組織」を指します。


3)炎上の火種となるトレンドは変化なし

2021年下期に引き続き、「不適切発言・行為、失言」、「顧客クレーム・批判」による炎上が全体の8割を占める結果となりました。その他の領域においては、6月に「情報漏えい/内部告発」の事例が複数見られた影響で、前期よりも大きな割合を占めています。


<主な情報漏洩/内部告発事例>

○個人情報が入ったUSBを紛失した自治体とその下請け企業に対する批判
○クレジットカード情報の流失を半年間公表しなかった企業に対する批判


「不適切発言・行為、失言」は変わらずにトレンドであり続けていますが、特に2022年上期においては、上層部の不適切発言による炎上や立場を逸脱した発言での炎上が目立ちました。


<主な不適切発言>

○自社の戦略を不適切な表現で表した役員への批判
○人事担当者のSNSアカウントで採用スタンスについて不適切な表現をしたことへの批判


上記の2つはどちらも立場上問題視された発言であり、ユーザーからの企業イメージやポジションイメージを逸脱していたことにより大きく批判されてしまったと分析しています。防止のためには企業や部署、自身がどのような振る舞いが求められている立場なのかを把握し、逸脱した言動をしないことが求められます。

そのためには自身や自社の認識(パーセプション)の理解が必要です。


まとめ

2022年上期の炎上トレンドを見ていくと炎上件数としては減少していましたが、2021年に多発した新型コロナウイルスや東京オリンピックに関連した自治体・団体の炎上が見られなかったことが要因でした。裏を返すと、企業が主となる炎上は引き続き発生しており、注意が必要な状況は続いています。

炎上要因という観点では、引き続き「不適切発言・行為、失言」や「顧客クレーム・批判」が多く見られておりますが、内容は多様化しています。炎上を防ぐためには、最新のトレンドを把握し、炎上リスクにアンテナを張っておくことが必要になります。


エルテスでは、引き続き月次で炎上傾向をまとめた炎上レポートを配信していきます。炎上のトレンドを把握頂き、企業のリスクマネジメントに役立てて頂ければと考えております。

また、毎月炎上レポートを配信するとともに、1つ炎上事例を取り上げて、炎上理解を深めるセミナーを開催しておりますので、ぜひご参加ください。

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引き続き、よろしくお願いいたします。



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