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自社の従業員を守る!特殊法人の異例声明に学ぶ、SNSでの「悪質な誹謗中傷」に対する企業の法的対応と体制構築

誰もがスマートフォンを持ち、SNSを通じて瞬時に情報を発信できる現代。企業と顧客の距離が縮まる一方で、理不尽なクレームや、特定の個人を標的にした悪質な誹謗中傷が社会問題化しています。
企業の広報やリスクマネジメント担当者にとって、これまでは「企業ブランドへの批判」に対する炎上対策へ主眼を置いていました。

しかし昨今は、店舗のスタッフや営業担当者、さらには開発者や役員など、「自社の従業員個人」がSNS上で実名や顔写真を晒され、誹謗中傷のターゲットになるケースが急増しています。
こうしたデジタル上のカスタマーハラスメントとも言える攻撃から、いかにして従業員を守るか。これは、現代の企業に求められる新しい炎上対策であり、経営課題の一つです。

このコラムでは、最新の事例をもとに、企業が構築すべき「毅然とした対応体制」と実践的な炎上対策について解説します。

最新事例:特殊法人が発表した「異例の声明」とその意義

従業員や所属メンバーを守るための企業の姿勢として、大いに参考になる事象が起きています。

2026年4月、ある特殊法人が、所属する騎手に対するSNSなどネット上での悪質な誹謗中傷が散見されるとして、「法的措置を含め厳正な対応を行う」という異例の声明を発表しました。これまでネット上の誹謗中傷に対しては、反論すれば火に油を注ぎ、いわゆる「炎上」が拡大すると懸念されていたため、反応せずにスルーすることが最善の自己防衛であるという考え方が主流でした。

しかし今回の声明は、組織として所属する騎手たちを守るために、いわれのない悪意には決して屈せず、法的手段をもって断固として闘うという、新しい炎上対策の方向性を示しています。

この「泣き寝入りをしない」「組織として個人を矢面に立たせない」というスタンスは、スポーツ界や芸能界だけでなく、業界を問わず企業が学ぶべき重要な危機管理のあり方の一つと言えます。

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従業員への誹謗中傷を放置する「3つの経営リスク」

もし企業が、「個人のSNSアカウントでのトラブルだから」「お客様の意見だから」と誹謗中傷を放置し、適切な炎上対策を講じなかった場合、企業は以下の深刻な経営リスクを負うことになります。

1. 従業員のメンタルヘルス悪化と人材流出

毎日のようにSNSで人格を否定され続けるストレスは計り知れません。従業員が精神的に追い詰められて休職に至ってしまったり、「こんな思いをしてまで働きたくない」「会社は守ってくれない」と退職してしまったりすることは、企業にとって貴重な人材の喪失を意味します。

2. 企業ブランドと採用力の著しい低下

誹謗中傷に苦しむ従業員を放置する企業は、社内だけでなく社外からも「従業員を守ろうとしないブラック企業」「コンプライアンス意識が低い組織」というネガティブな評判が広がり、炎上リスクがさらに高まります。

このレピュテーション(評判)の低下は、既存顧客の離反を招くだけでなく、採用活動にもダメージを及ぼすため、炎上対策としても極めて重要な観点です。

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3. 現場の萎縮によるサービス品質の低下

「何か少しでもミスをすれば、ネットで晒され叩かれるかもしれない」という恐怖が職場に蔓延すると、従業員は萎縮し、本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。結果として、企業全体の生産性や顧客満足度の低下につながり、炎上対策の不備が経営に直接影響を及ぼします。

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自社の従業員を守るための「3つの体制構築」

従業員を悪意ある攻撃から守り、安全な労働環境を提供するために、企業は平時から実効性のある炎上対策体制を構築しておく必要があります。

1. 相談窓口の設置と初期対応フローの明確化

被害に遭った従業員が、一人で抱え込まずにすぐ相談できる社内窓口(法務、人事、外部専門家など)を設置します。
あわせて、「誹謗中傷を発見した際、従業員個人では絶対に返信・対応しない」というルールを全社に周知し、組織として対応を引き取るフローを確立します。

2. デジタル空間の常時モニタリングと証拠保全

炎上や誹謗中傷は、初期段階で気づくことが被害を最小化するポイントとなります。自社名や関連キーワードを常時モニタリングする体制を整えましょう。

また、悪質な書き込みを発見した場合は、相手が投稿を削除する前に、URL、投稿日時、アカウント情報などをスクリーンショット等の形で速やかに「証拠保全」することが、のちの法的措置において重要になります。

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3. 組織主体の法的措置と対外的な発信

悪質性が高いと判断した場合は、企業が主体となって警察への被害届の提出や、プロバイダに対する発信者情報開示請求などの法的措置を講じることが重要です。そして特殊法人の事例のように、公式サイトやSNSを通じて「従業員に対する悪質な誹謗中傷には、法的措置を含め厳正に対処する」というメッセージを対外的に発信します。

この「毅然とした態度」の表明こそが、加害者に対する最大の抑止力となり、同時に従業員に対する「会社が守ってくれる」という強力な安心感につながります。

ここで重要なのは、これらの対応が単発ではなく「一連の戦略」として実行されることです。実際に、この段階的な炎上対策の考え方を実践している企業事例は他にも見られます。

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他社事例① 加害者への「意識調査」を条件とした異例の和解

あるエンターテインメント企業では、所属タレントへの誹謗中傷を行った人物を特定し、裁判上の和解に至った事例がありました。和解において、企業は単に損害賠償や謝罪を求めるだけでなく、加害者に対して「意識調査への協力」という条件を課し、「再発防止」へと踏み込んでいます。

この事例は、炎上や誹謗中傷の根本的な原因を分析し、表面的な解決にとどまらず、構造的な再発防止につなげている点で、非常に示唆に富む取り組みであると言えます。

他社事例② 匿名投稿者の特定と損害賠償請求訴訟での勝訴

あるクリエイター支援企業が、所属メンバーへの誹謗中傷を行った匿名アカウントに対し、法的措置を講じた事例もあります。企業は発信者情報開示請求を通じて投稿者を特定し、損害賠償請求を実施しました。

この事例は、インターネット上の匿名性が絶対ではないと示す強いメッセージとなり、企業の毅然とした対応が抑止力として機能しました。

まとめ

SNSを通じた悪質な誹謗中傷は、もはや「ネット上のトラブル」で済まされる問題ではなく、企業の存続や従業員の命に関わる重大なリスクです。企業ブランドを守ることは、そこで働く「人」を守ることから始まります。炎上対策は単なる広報対応ではなく、従業員保護を含めた総合的なリスクマネジメントとして捉える必要があります。

当社では、24時間365日体制での「Webリスクモニタリングサービス」をはじめ、誹謗中傷の火種の早期検知、そして有事におけるクライシスコミュニケーションの策定や体制構築の支援を行っております。従業員が安心して働ける環境を作り、変化の激しいデジタル時代を生き抜くために、ぜひ当社の知見をご活用ください。

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著者|株式会社エルテス 久松剛
著者|株式会社エルテス 久松剛
SR事業本部 SR CS部 第3CSグループ|大学卒業後、大手広告代理店を経て独立して長年にわたり広告業に従事。2024年にエルテスに入社。企業のリスクマネジメントやデジタルリスクに対処。これまでの経験を活かし「攻め」と「守り」の両面を理解したコンサルタントとしてクライアント企業のリスク低減に向けたサポートを行っている。
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