ネット炎上レポート 2022年3月版
2022年3月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2022年3月のネット炎上トレンド
2022年3月に最も多かった炎上対象は、前月より16ポイント増加した「企業・団体」が68%を占めました。次いで前月より6ポイント増加した「マスメディア」が13%、「個人・著名人」が16ポイント低下し10%となりました。
「企業・団体」の炎上区分の内訳は、前月よりも9ポイント増加した「メーカー」が全体の31%を占め、次いで13ポイント増加した「サービス」が28%を占めています。「自治体・団体」が前月より5ポイント低下し6%となり、「教育機関」は3ポイント増加し3%という結果になりました。(図1)
収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容では、前月より7ポイント増加した「不適切発言・行為、失言」が全体の50%を占めています。次いで16ポイント低下した「顧客クレーム・批判」が27%となっています。
「不祥事/事件ニュース」は前月と変わらず14%、5ポイント増加した「情報漏えい/内部告発」が5%、「異物混入」が4ポイント増加し4%という結果となりました。(図2)
収集データを元にエルテスが作成
顧客対応での炎上が増加
3月には、顧客への対応が拡散され、炎上してしまう事例が複数発生しました。
a) スイーツをECサイトで購入したユーザーから賞味期限の記載について問合せをしたが、回答や対応に納得ができないとして投稿したツイートが拡散されました。
b) 連続来店で丼にオリジナルの名入れができるというコラボ企画を実施していた飲食店が条件を突然変更したことを問い合わせたユーザーに対して誠実な対応をしなかったとして炎上しました。
a) この事例では、ホームページに記載されている賞味期限が「冷凍保存で6ヶ月」とあったにも関わらず、届いた商品は賞味期限が2ヶ月ほどだったとして問い合わせたが、製造日から6ヶ月なので表記は合っている、こちらに落ち度はないと回答され、さらにそのあと企業から返信が来なくなったとユーザーがSNSに投稿しました。これに対し、「信用できない」や「対応が不誠実だ」といった批判的な意見や不買を訴える声が見られました。
企業側は批判を受け、誤解を招く表現になっていたことを謝罪し、今後は発送日を起点として「1ヶ月以上」という表現に変更し、該当する購入者には代替商品の追加発送の対応を行うとホームページ上での発信を行っています。
b) この事例では、当初、企画の丼に入れる名前に制限はないとしていましたが、途中で規約を変更し、「名入れできるのは本名のみ」としました。ユーザーからの問い合わせに対しても、硬直的な対応で不誠実であったとして批判的な意見が殺到しました。企業側は、規約の変更を撤回し、公式アカウントに謝罪文を掲載しました。
情報発信の時間が不適切であるとして炎上
某ゲームメーカーの新商品販売告知が3月11日14時46分に投稿され、東日本大震災と同日の同時刻に発信したことに対して、不謹慎だとして批判的な意見が殺到しました。投稿時間が意図的だったのか、偶発的だったのかは不明ですが、「わざわざこの時間に投稿する意図が分からない」といった批判的な意見が多く見られています。企業側は、現時点で投稿の削除や釈明等を行っていません。
過去にも、戦争に関連する日時に不適切な投稿を行い、批判が殺到した事例や戦争に関連する日時にイベント開催を企画して、批判が殺到した事例もあります。投稿日に注意が必要なカレンダーをまとめておりますので、もしよければ業務にご活用ください。
まとめ
3月度には、問い合わせに対する対応での炎上や情報発信の時間が不適切であるとして炎上した事例が見られました。
顧客からの問い合わせに対する返答が不誠実であるとして炎上した事例については、対応に不満を持ったユーザーが内容を投稿し、批判意見とともに拡散されるという流れになりました。
このことから、問い合わせに適切な対応ができていれば、SNS上の企業レピュテーションの毀損や炎上そのものへの対応工数の増加を回避できたと言えます。
SNSの普及により、顧客の不満が企業に問い合わせられることなく、SNS上に投稿されるケースが多くなっています。企業が投稿に気づかない場合、サイレントクレームとしてネット上に残り、ユーザー間で拡散されて炎上する可能性があるため、注意が必要です。
企業は、問い合わせした顧客の対応を適切に行うだけでなく、問い合わせに満たないSNS上の顧客の不満を検知し、事前に対応を検討することも炎上を防止するために重要なポイントと言えます。エルテスの提供するWebリスクモニタリングでは、そのような潜在的なクレームもSNSから拾い上げ、企業の評判管理のご支援も行っております。
本レポートでは、現在の世間の状況を鑑みながら、どのようなトピックスが炎上しやすいのかを把握していただくことで、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。
ネット炎上の対策・相談は、エルテスへ