ネット炎上レポート 2024年7月版
2024年7月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとしてご報告いたします。
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ネット炎上レポートとは
株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。
また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。
エルテスの定義するネット炎上
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
2024年7月のネット炎上トレンド
2024年7月に発生した炎上で最も多かった炎上対象は、「企業・団体」が72%(前月比2ポイント増)を占める結果となりました。次いで「個人・著名人」が21%(10ポイント増)と大幅なポイントの増加を見せていますが、インフルエンサーによる炎上の事象が相次いだことが要因でした。「マスメディア」は7%(4ポイント減)と続きました。
また、どのような業態が炎上したのかを示す「企業・団体」の炎上区分の内訳は「サービス」が34%(1ポイント減)、「メーカー」が21%(2ポイント増)と2つの業態で全体の半数を占めました。さらに「自治体・団体」が14%(6ポイント増)、「教育機関」が3%(3ポイント増)と続きました。(図1)
収集データを元にエルテスが作成
「企業・団体」を対象とする炎上内容における分析では、「顧客クレーム・批判」が52%(15ポイント減)と前月より大幅なポイントの減少を見せていますが、前月大幅にポイントを伸ばしていた反動と言えます。次いで「不適切発言・行為、失言」(8ポイント増)と「不祥事/事件ニュース」(13ポイント増)がそれぞれ19%となりました。さらに「情報漏えい/内部告発」(6ポイント減)と「異物混入」が(前月同数)がそれぞれ5%という結果になりました。(図2)
収集データを元にエルテスが作成
類似する地名の駅に「じゃない方」というキャッチフレーズで広告を掲載し批判殺到
とある駅に掲示された広告を批判する投稿に注目が集まりました。
広告では、メーカーの人気商品シリーズの新製品を「じゃない方でもいいじゃない」と表現しており、掲載駅名と都内の駅名を対比して「じゃない方」とするクリエイティブが掲示されていました。SNS上では、どちらかを貶める広告は不快であるといった意見や表現が不適切であるといった意見が多くみられました。
メディア取材に対し、企業側からは今回の意見を今後の広告制作に活かすといったコメントを残しています。
広告表現においては、ターゲット以外のユーザーの目に入ることや企画背景の情報が伝わらずに意図しない捉えられ方をする可能性を考慮した企画作成が求められます。
父親を蔑視する表現をベビー用品に起用し、炎上
とあるアパレルブランドが発表したベビー用品のデザインに批判が殺到しました。商品はアーティストとのタイアップで「パパは全然面倒みてくれない」や「ママがいい」といった言葉がデザインされていましたが、これに対し父親を蔑視する内容であり不快だといったものや「男女逆であれば炎上不可避であることは明確なのに父親であれば良いのか」といった意見が見られました。
企業側は謝罪とともに商品の販売停止を発表しています。
炎上しやすいトピックとして、女性差別は一般的に認知されていますが、男性差別も同様にリスクであると認識することが重要となります。
まとめ
7月には、広告や商品などクリエイティブの炎上が目立ちました。
広告などのクリエイティブはSNSを介してターゲット外を含めた広範囲のユーザーに波及してしまうことを想定することが求められるようになりました。従来であればターゲットをある程度限定した訴求ができましたが、ターゲット外に波及することで想定していなかった反響がポジティブ/ネガティブともにみられることがあります。
炎上予防の観点では、企画時点で男女差別などの炎上しやすいテーマを避けるなどが大切になりますが、近年は配慮してもクリエイティブが意図しないネガティブな捉え方をされることもあり、あらゆる批判を予め予測して企画次点で対処することは難しいのが実情です。そのため、批判を受けることを考慮した事前の対策が必要となります。
事前の対策として、批判が寄せられた場合の想定QAを設定しておく、批判意見を早期に検知・対応を検討できるようSNSのモニタリングを行うなどの準備を推奨します。
本レポートでは、実際の炎上事例をもとになぜ炎上が起きたのか、自身が当事者だった場合にどのような対応を取ったのかを想像しながら、ご自身の所属する企業のリスク対策にお役立ていただければと思います。