謝罪会見で二次炎上を起こさない。企業に必要な意識と備えとは
不祥事や予期せぬインシデントが発生した際の謝罪会見は、ユーザーを含むステイクホルダーの不安を取り除き、さらなる被害や企業活動への影響を最小化するために実施されます。一方で、謝罪会見によってさらに批判が発生するケースもあります。本記事では、謝罪会見で二次炎上しないために、どのような準備が必要なのか、紹介します。
目次[非表示]
- 1.謝罪会見の目的とは
- 2.変化する謝罪会見の役割
- 3.謝罪会見で求められること
- 4.謝罪会見で二次炎上しないために
- 4.1.謝罪会見に臨む前に整理する情報
- 4.2.謝罪会見が二次炎上してしまうケース
- 4.3.謝罪会見の失敗を防ぐために意識したいこと
- 5.まとめ
- 6.関連情報
謝罪会見の目的とは
謝罪会見とは、インシデントや不祥事が発生した際に、企業経営者などがメディアを前にして実施する会見となります。社会への拡散力を持つメディアを前にして、インシデントに対する説明責任を果たすことで、一気にステイクホルダーからの不安を解消することが目的となります。
また、謝罪会見を通じて、不祥事に対する反省や今後の対応・対策を述べることで、企業の信頼回復を行うことも重要な役割となります。インシデントや不祥事によって生じたレピュテーション低下は、売上や採用などに影響を与えることも十分に考えられるため、経営陣が対処すべき問題とも言えます。
変化する謝罪会見の役割
新聞やテレビと言った4大マスメディアが主な情報源だった時代においては、企業の広報対応は翌朝の朝刊で情報が公開されるタイミングまでに、対応すればよかったものです。つまり、情報が拡散する朝刊まで猶予があったわけです。そして、インシデントや不祥事に対する情報の更新は、基本的に朝刊で日々アップデートされていくため、危機管理広報としての対応は1日毎のマイルストーンで対応が可能でした。
しかし、デジタル化が進んだ現代において、インシデントや不祥事の情報は、マスメディアに加えて、ネットメディアやSNSなどのプラットフォームで瞬く間に拡散され、その被害や影響は刻一刻と変化していきます。そのため、インシデント発生後、数時間の間、企業からの情報発信がないだけでも、SNSを起点に正確な情報を得られないことに対する不満が噴出し、それらが大きなムーブメントになることがあります。
また、ネットメディアやSNSでの数多な情報の中には、不正確な情報も含まれていることがあり、新たな混乱が生じる恐れもあります。その意味では、数日後の謝罪会見まで情報開示をためらうという危機管理方法では、インシデント内容次第で企業の信頼性が大きく失墜してしまうことも考えられます。
謝罪会見で求められること
インシデント発生時の謝罪会見は、インシデントや不祥事の影響度合いを見定めたうえで、危機管理広報の中で明確な役割を設定し、実施を検討することが求められます。
情報が混乱し、不正確な情報が流布されている状態においては、「明日の会見で説明します」という判断ではなく、事象の大小やその結果困っている人に情報を届けるためにどのような情報経路が最適であるかを考えて、プレスリリースの配信や公式SNSアカウントでの発信、メールマガジンでの配信などの手段を取る検討も求められます。
謝罪会見で二次炎上しないために
謝罪会見に臨む前に整理する情報
まず、インシデント発生時の謝罪会見は必須ではありません。危機管理広報の中で、インシデントに対する対応・対策・影響などの説明責任を果たすべきと考えられた場合に、会見を開くことが必要です。
また、謝罪会見という呼び方をすると、目的は「謝罪」であると誤った認識を持ってしまいがちですが、ステイクホルダーはそれぞれの立場で、対応・対策・影響などの説明を求めます。そのため、以下の情報などを整理して謝罪会見に臨むことが大切です。
・どのようなステイクホルダーが存在するのか
・それぞれがどのような影響・損害を受けているのか
・それらに対して今、明言できる対応・対策・影響は何なのか
・明言できない部分はどのような目処で明言できることが可能になるか
ステイクホルダーの不満などはSNSなどのデジタル空間からも情報収集することができるため、有効に活用することをおすすめします。
謝罪会見が二次炎上してしまうケース
謝罪会見を通じて、新たな火種を生み出す(二次炎上する)ケースとして、以下のようなものが挙げられます。
・感情的になってしまったがゆえに、不適切な発言を行ってしまう
・説明の中で被害拡大に繋がりうる秘密情報を公開していまう
・経営者など代表者が出てこない
・上から目線の発言など、誠意を感じられない言動を行ってしまう
謝罪会見の失敗を防ぐために意識したいこと
一方で、会見にて適切な説明や今後の対応を発信することで、論調が変わり、応援する雰囲気が醸成されたものもあります。先程ご紹介した新たな火種を生み出すことのないように、会見での適切な情報発信には、以下のような準備が求められます。
①早期開催
消極的な情報発信と捉えられないように、情報収集の進捗に合わせて、可能な限り早期に開催しましょう。
②想定問答の準備
インシデントの原因・影響範囲・対応内容を明確かつ具体的に答えられるようにすることが重要です。さらに、対応内容の決定背景や判断基準なども社内で共通理解を持っておくことが必要です。
③登壇者の身だしなみ
謝罪の場であり、誠意を示すためにも、服装を含む身だしなみに気を配ることが重要です。また、登壇者に限らず、会場に参加する社員に対しても、身だしなみへの配慮を求めましょう。
まとめ
会見は、いつ必要に迫られるのかわかりません。特に謝罪会見などは、一つ一つの所作が受け取り手に誤った捉え方をさせることもあります。広報やコンプライアンス部門に属される方を中心に、ぜひ一度、自社が謝罪会見を開催する場合にどんな準備が求められるのか、どのようなケースに謝罪会見を行うべきなのかを議論してみてください。
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