
謝罪会見で二次炎上を起こさない。企業に必要な意識と備えとは
不祥事や予期せぬインシデントが発生した際の謝罪会見は、ユーザーを含むステークホルダーの不安を取り除き、さらなる被害や企業活動への影響を最小化するために実施されます。一方で、謝罪会見によってさらに批判が発生するケースもあります。
このコラムでは、近年発生した事例に基づき謝罪会見で二次炎上しないために、どのような準備が必要なのか、紹介します。
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謝罪会見が二次炎上してしまうケース

なぜ、謝罪のために開いた会見が、さらなる批判を招くのでしょうか。実際の事例や再炎上パターンから、二次炎上の原因を分析します。
① 会見運営の公正性への疑念が二次炎上を招いた事例
ある芸能事務所は、創業者による性加害問題を受けて記者会見を開き、謝罪や補償方針の説明を行った後も、複数回にわたり対応状況を公表していました。
一次対応としては、事実を認めたうえで被害者対応を進める姿勢が示されていましたが、その後に開かれた別の会見で、特定の記者を指名しないようにする資料が会場に持ち込まれていたと報じられたことが問題視されました。
複数の報道では、会見運営を委託されていた外部コンサルティング会社が、報道機関の記者の名前や顔写真を掲載した資料を作成していたと伝えられ、マスメディアで繰り返し取り上げられたことで、SNS上でも情報が拡散されました。
報道により、当初は謝罪や再発防止策に向けられていた関心が、「会見は公平だったのか」「説明の場がコントロールされていたのではないか」という運営の在り方へと移り、組織の対応に対する不信感から二次炎上に発展しました。
② 経営責任を巡る説明が二次炎上へ発展した事例
ある中古品販売会社では、保険金の不正請求問題を受けて社長が記者会見を開き、不正行為への謝罪と辞任の意向を表明しました。
会見では第三者委員会の報告内容に基づき、修理工程において故意に車両を損傷させ保険金を水増し請求していた実態が説明されましたが、社長は不正を「現場の行為」と位置づけ、自身や経営陣の関与を否定しました。
その結果、問題の中心であった不正請求の実態だけでなく、「経営としての関与をどう捉えるのか」という意見が新たに散見、会見後には発言内容がSNS上で拡散され、二次炎上に発展しました。
③ 説明の非開示方針が二次炎上につながった事例
あるテレビ局は、番組の出演者による複数のコンプライアンス違反を理由に、人気番組からの降板を発表しました。
テレビ局は違反の事実自体は認めたものの、具体的な内容については「プライバシー保護の観点から明らかにできない」と説明し、詳細を公表しませんでした。その後、出演者本人が謝罪会見を行いましたが、ここでも処分の根拠や違反内容の詳細について明確な説明は行われず、テレビ局側も違反の具体的内容について説明を控える姿勢を示しました。
このように、会見や公式コメントを通じても情報の具体性が補われなかったことで、「何が問題だったのかが分からない」「判断の妥当性を検証できない」といった受け止め方が広がり、二次炎上に発展しました。
④ 会見演出への批判が二次炎上を引き起こした事例
ある生命保険会社では、複数の社員や元社員が顧客から多額の金銭を不正に受領していた問題が明らかになり、経営陣が謝罪と対応方針の説明を行う記者会見を開きました。会見では、不正の概要、被害補償の方針、再発防止策、外部委員会の設置などが示され、組織としての対応が説明されました。
しかし、報道やSNSでは、これらの内容以上に会見の進行や演出面が注目され、司会者の服装や振る舞いが「謝罪の場にふさわしくない」と受け止められたことが話題となりました。
その結果、本来伝えるべき不正への対応や補償方針よりも、会見の形式や見せ方に関する評価が拡散し、会見そのものが新たな批判の対象となり、二次炎上に発展しました。
謝罪会見の目的とは
そもそも、企業はなぜ謝罪会見を行う必要があるのでしょうか。
第一の目的は、インシデントや不祥事が発生した際、企業経営者などがメディアを通じて広く社会に対し、インシデントに対する「説明責任を果たすこと」です。
何が起きたのか、なぜ起きたのか、現状はどうなっているのかを正確に伝えることで、一気にステークホルダーからの不安を解消することが目的となります。
第二の目的は、「信頼の回復」です。
謝罪会見を通じて、不祥事に対する反省や今後の対策を述べることで、低下したレピュテーションの回復を図り、企業活動への影響を最小限に留めることが求められます。インシデントや不祥事によって生じたレピュテーション低下は、売上や採用などに影響を与えることも十分に考えられるため、経営陣が対処すべき重要な経営課題とも言えます。
変化する謝罪会見の役割
新聞やテレビといった4大マスメディアが主な情報源だった時代においては、企業の広報対応は翌朝の朝刊で情報が公開されるタイミングまでに、対応すれば問題ありませんでした。つまり、情報が拡散する朝刊まで猶予があったのです。
そして、インシデントや不祥事に対する情報の更新は、基本的に朝刊で日々アップデートされていくため、危機管理広報としての対応は1日毎のマイルストーンで対応が可能でした。
しかし、デジタル化が進んだ現代において、インシデントや不祥事の情報は、マスメディアに加えて、ネットメディアやSNSなどのプラットフォームで瞬く間に拡散され、その被害や影響は刻一刻と変化していきます。
そのため、インシデント発生後、数時間の間、企業からの情報発信がないだけでも、SNSを起点に正確な情報を得られないことに対する不満が噴出し、それらが大きなムーブメントになることがあります。
また、ネットメディアやSNSでの数多な情報の中には、不正確な情報も含まれていることがあり、新たな混乱が生じる恐れもあります。その意味では、数日後の謝罪会見まで情報開示をためらうという危機管理方法では、インシデント内容次第で企業の信頼性が大きく失墜してしまうことも考えられます。
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謝罪会見で求められること
インシデント発生時の謝罪会見は、インシデントや不祥事の影響度合いを見定めたうえで、危機管理広報の中で明確な役割を設定し、実施を検討することが求められます。
情報が混乱し、不正確な情報が流布されている状態においては、「明日の会見で説明します」という判断ではなく、事象の大小やその結果困っている人に情報を届けるためにどのような情報経路が最適であるかを考えて、プレスリリースの配信や公式SNSアカウントでの発信、メールマガジンでの配信などの手段を取る検討も求められます。
謝罪会見で二次炎上しないために

謝罪会見に臨む前に整理する情報
まず、インシデント発生時の謝罪会見は必須ではありません。危機管理広報の中で、インシデントに対する対応・対策・影響などの説明責任を果たすべきと考えられた場合に、会見を開くことが必要です。
また、謝罪会見という呼び方をすると、目的は「謝罪」であると誤った認識を持ってしまいがちですが、ステークホルダーはそれぞれの立場で、対応・対策・影響などの説明を求めます。そのため、以下の情報などを整理して謝罪会見に臨むことが大切です。
どのようなステークホルダーが存在するのか
それぞれがどのような影響・損害を受けているのか
それらに対して今、明言できる対応・対策・影響は何なのか
明言できない部分はどのような目処で明言できることが可能になるか
ステークホルダーの不満などはSNSなどのデジタル空間からも情報収集することができるため、有効に活用することをおすすめします。
謝罪会見の失敗を防ぐために意識したいこと
一方で、会見にて適切な説明や今後の対応を発信することで、論調が変わり、応援する雰囲気が醸成されたものもあります。先程ご紹介した新たな火種を生み出すことのないように、会見での適切な情報発信には、以下のような準備が求められます。
①早期開催
消極的な情報発信と捉えられないように、情報収集の進捗に合わせて、可能な限り早期に開催しましょう。
②想定問答の準備
インシデントの原因・影響範囲・対応内容を明確かつ具体的に答えられるようにすることが重要です。さらに、対応内容の決定背景や判断基準なども社内で共通理解を持っておくことが必要です。
③登壇者の身だしなみ
謝罪の場であり、誠意を示すためにも、服装を含む身だしなみに気を配ることが重要です。また、登壇者に限らず、会場に参加する社員に対しても、身だしなみへの配慮を求めましょう。
SNS炎上監視サービス・炎上監視対策|Webリスクモニタリング
ここまで謝罪会見における対策について述べてきましたが、企業にとって最も重要なのは、そもそも炎上状態を発生させないことです。ネット炎上の多くは、SNSや掲示板上のネガティブな書き込みや火種となる投稿といった前兆を伴っており、これらが拡散し世論が形成される前に対応できるかどうかが、企業の危機管理力を左右します。
エルテスのWebリスクモニタリングは、ネガティブな情報が拡散する前段階での早期検知と、状況に応じた迅速な対応を支援しています。
24時間365日の監視体制
炎上の火種は、企業の目が届きにくい深夜や休日に投稿され、対応が遅れることで一気に拡散する傾向があります。AIと専門スタッフによる24時間365日の監視体制により、ネガティブな兆候を迅速に検知し、初動対応の遅れを防ぎます。
AI×人の目で「文脈」を捉える
単純なキーワード検知だけでは拾えない文脈や、画像に含まれるネガティブな要素についても、AIと人による分析を組み合わせることで把握し、ツールのみでは見逃されがちな微細な火種も、拡散前の段階で発見することが可能になります。
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まとめ
謝罪会見は単なる「謝罪の場」ではなく、企業が社会に対して説明責任を果たし、信頼回復に向けた姿勢を示す重要な危機管理対応の一つです。しかし、情報整理を含む準備不足、発信内容と運営方法の不整合がある場合、本来鎮静化させるべき状況で新たな批判を生み、二次炎上へと発展してしまいます。
そして何より、危機発生後の対応だけでなく、炎上の火種を早期に把握し、初動対応につなげる「平時からのモニタリング体制」が企業のレピュテーションを守る上で極めて重要です。
ネガティブ情報が拡散される前に気付き、対処するための備えとして、Webリスクモニタリングの導入をご検討いただければ幸いです。ぜひお気軽にエルテスへお問い合わせください。
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