炎上を鎮める対応が逆に再燃の火種に。リスクがある沈静化対応とは?
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適切な炎上対応とは
企業のネット炎上は業界や規模に関係なく毎日のように発生しており、危機感を持つ企業も多くなっています。一部には、SNS炎上がメディアに取り上げられ、拡散し、謝罪対応に追い込まれる事例もあります。SNS炎上には、謝罪など沈静化のためのアクションが求められるリスクが有ることを、認識されている方も多いかと思います。
一方で、謝罪の言葉や方法、タイミングをひとつでも誤ると揚げ足を取るようにバッシングされるなど、批判の形も多様化しています。昨今の炎上対応は「謝罪すれば大丈夫」という簡単な話ではなく、批判の内容、炎上の規模に応じた対応が求められ、難易度も上がっています。本来、炎上を沈静化するはずだった対応が、炎上の長期化や別の火種への引火につながることもあります。
だからこそ、過去の失敗した対応を学び、同じ轍を踏まないことが効果的です。今回は、豊富な炎上事例の理解と企業へのリスクコンサルティング経験に基づく知見を有するエルテスならではの視点で、リスクとなる沈静化対応について解説します。
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さらなる批判に繋がった事例
まず、実際に対応を誤ってしまい、炎上してしまった事例には、どのようなものがあるのでしょうか。2021年に発生した事例をご紹介します。
<事例①>
ある企業では広告のクリエイティブ内容が炎上しました。広告の炎上はよくある炎上パターンのひとつでした。企業は、Webサイトで謝罪文を掲載したものの、謝罪文が画像として埋め込まれていたため、「検索エンジン逃れ」との批判や、言語によって謝罪リリース内容が大きく異なる2枚舌の対応も批判が発生し、さらなる炎上に繋がりました。
<事例②>
スマートフォンアプリにてサービスを提供している企業で、顧客の個人情報の漏えいが発生しました。社内で発覚してから調査は開始していたものの、公表が約3週間後と遅れたため、情報漏えいというインシデントと相まって批判が集まりました。また、その後も杜撰な対応や経営者からの軽率な発言があったことから、さらなる批判が集まりました。
批判リスクのある沈静化対応
批判を浴びうる事象が発生している中で、さらなる批判の集中砲火を浴びうるリスクがある行為は、どのようなものなのでしょうか。
沈静化対応は、状況によって最適解の異なることがしばしば起こりうるため、ケースバイケースの判断が求められますが、炎上してしまった際の対応で原則的に避けるべき具体的行為を5つにまとめました。(ただし、企業に非がない場合や批判の規模が小さい場合などは、静観という対応も視野に入りますので、ご注意ください。)
①企業側で非が見つかってから公表・謝罪が遅い
炎上した事象に対して数日~数週間と企業の対応が見えないと、それ自体に批判が集まることや、憶測が広がり、さらなる批判を招くことがあります。実態調査の時間が必要な場合も現状の事実と確認中の情報に分けて適切に伝えることで、このような批判は回避することが出来ます。
企業として、謝罪や意思表示が求められるような炎上であると判断された場合は、迅速な情報発信が沈静化に向けた重要な要素となります。
②謝罪文を見えにくい場所に掲載しようとする
謝罪文を自社サイトに掲載せずSNSだけに掲載することや、画像で謝罪文を掲載することは検索結果に表示しにくくする、いわゆる「検索逃れ」の対策と取られ批判される可能性があります。
謝罪の方針を決定した場合には、ステイクホルダーに伝達しうるようなチャネルにて、コミュニケーションを行うことが求められます。ごまかそうとする行為は、新たな批判に繋がる可能性があります。
③問題となったコンテンツのサイレント削除や一時的な避難行動
炎上した広告動画や画像がSNSやWebサイトに掲載されている場合、企業は非公開や削除の対応を取ることもあります。削除という行為が悪いわけではなく、それらの対応を説明せずに行うことが批判の対象となることがあります。ネット上では「サイレント削除」とも呼ばれ、なかったことにするようなごまかしの対応と捉えられます。
④ユーザーを無視した通り一遍のコミュニケーション
情報の受け手となるユーザーを無視するような謝罪文のリリースは、炎上を助長することがあります。謝罪文などを出す場合は「誰が受け取るものか」を考えて発信することが大切です。そこを誤り、形式だけの自己満足的な発信を行った場合、過敏なユーザーは再度批判しに来る可能性があります。
また、特に行ってはいけないのが、会見や謝罪文で反論や根拠のない言い訳をすることです。炎上中は外から心無い言葉が投げられることも多々ありますが、感情的な反論や自身を擁護する発言は火に油を注ぐ悪手となり、さらに燃える可能性が高いです。これは、インシデントに対するユーザー個人からの問合せ対応などにも同じことが言えます。
⑤2枚舌の対応
公開する場所や言語によって謝罪内容を変えることで批判されることがあります。ある場所では、丁寧な謝罪を行っていても、もう片方では粗雑・簡易的な謝罪をしていた場合、「本当に謝罪する気があるのか?」と疑問を持つユーザーが現れ、批判が集まる可能性があります。難しい問題ですが、多言語で対応する場合は、内容の粒度を揃えることで意図しなかった批判を回避することが求められます。
5つの具体的な対応を見てきましたが、原則としてユーザーをあざ笑うかのような不誠実な対応は、さらなる炎上に繋がります。このような対応は、平時では不適切と分かっていながらも、インシデント発生時は、余裕がなかったり、社内の他部署との調整の結果から、不適切な対応になってしまうことがあります。このような事態に陥ったときこそ、俯瞰的に物事を見渡して、対応することが求められます。
エルテスが解決できること
エルテスでは、SNSをはじめとしたデジタル領域のリスクに対して、管理体制の構築からリスク検知、被害最小化の対応から評判回復まで、一貫したソリューションを提供しております。
インシデント発生時の情報収集・対応指針の検討
クライシスコンサルティング
エルテスでは、これまで培ってきた豊富な支援実績と炎上事例の分析ノウハウを強みとした、炎上対応のコンサルティングサービスを提供しております。初動対応の支援から、ネット上の論調調査、プレスリリース・謝罪文の添削など、被害を最小化させるリスクマネジメントをサポートいたします。
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オンラインレピュテーション調査
コンサルティングが不要な場合は、ネット上の論調調査を行うサービスも提供しています。SNSなどで批判されているときは、その声だけを拾わずに全体の論調を把握することが大切です。批判のなかにあるポジティブな声の大きさや、何に対して批判の声が上がっているかなど、適切な対応が取れるように、情報を分析・可視化してレポート形式で納品します。
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リスクの予防・発見
SNSリスク研修
企業の炎上には、バイトテロのような従業員個人の不適切行為で批判される場合と、公式SNS投稿や広告など企業の発信内容が批判される場合の両軸があります。これらのSNSリスクの発生を未然に防ぐために、研修コンテンツを提供しております。新入社員や管理職、SNS運用担当者など対象者や課題に応じた研修の提供をいたします。
危機管理体制構築支援
誤ったリスク対応の原因のひとつとして、インシデント発生時の対応フローやマニュアルが整っていないケースがあります。エルテスでは、デジタルリスクが発生した場合のリスクの評価方法や発見から対応までのエスカレーションフローの構築など、様々な企業の支援実績をもとに、その企業に適した危機管理体制構築の支援を提供します。
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Webリスクモニタリング
ネット炎上を未然に防ぐ、もしくは被害の最小化をするためには、批判の声などのリスク投稿を早期に見つけることが重要です。エルテスでは、コンサルタントがその企業の課題に合わせて監視するメディアやキーワードを提案し、AIと人による24時間365日の監視でリスク投稿の見逃しを防ぐ予防サービスを提供しております。リスク発生時には、初期対応のサポートも行います。
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時代に合わせたリスク対応のアップデートを
ネット上でコミュニケーションは複雑化しているため、謝意の伝え方を一つ誤っただけで新たな疑念を抱かせたり、遺恨を残す可能性もあります。細かい揚げ足取りは少数派の行為ですが、ネット上ではある種のミームや文化として常態化しています。過去に批判を浴びた事例をしっかりと学ぶことで、先人の轍を踏まないようにふるまうことが重要です。
エルテスでは炎上時のリスク対応をはじめ様々なデジタルリスクに対するソリューションの提供が可能です。何かあればお気軽にご相談くださいませ。
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