企業が定めるべき従業員のSNSガイドラインとは?社外向けのポリシーとの違いも解説
SNSガイドラインとは、SNSを使用する際の指針・ルールを解説した文書のことです。SNSトラブルや炎上が頻発している昨今、企業が最も気をつけなければならないこととして、従業員がSNSを利用する上でのガイドラインの策定は欠かせません。
今回は、従業員向けSNSガイドラインの重要性や、ガイドラインの定め方などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.企業が定めるべきSNSガイドラインやポリシー
- 2.従業員向けのSNSガイドラインを策定する重要性は?
- 2.1.トラブルを防ぐ
- 2.2.SNS運用担当者の属人化を避ける
- 2.3.投稿内容の品質を保つ
- 3.従業員向けSNSガイドラインによくある項目
- 3.1.①基本方針・原則
- 3.2.②機密情報の保護
- 3.3.③第三者の権利の保護
- 3.4.④顧客・取引先情報の保護
- 3.5.⑤透明性の確保
- 3.6.⑥誹謗中傷の禁止
- 3.7.⑦不明瞭な情報発信の禁止
- 3.8.⑧自社に対する情報発信のルール
- 3.9.⑨個人の責任の明確化
- 3.10.⑩SNSの特性と理解
- 4.従業員向けSNSガイドラインを定めるステップ
- 4.1.目的を定める
- 4.2.スケジュールを定める
- 4.3.従業員へのヒアリング
- 4.4.骨子作成
- 4.5.内容作成
- 4.6.従業員や各所へのレビュー
- 4.7.展開し評価、改善
- 5.まとめ
- 6.関連情報
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企業が定めるべきSNSガイドラインやポリシー
SNSを利用する中で発生し得るトラブルを未然に防止するためにも、SNS利用に対する指針作りは必須です。
SNSに関するルールには、SNSガイドライン、SNSポリシー、コミュニティガイドラインなどの文書があります。
従業員に向けたSNSガイドライン
従業員に向けたSNSガイドラインは、SNSを利用する時の従業員の行動規範を明記したものです。
全従業員がSNSを最適な方法で用いるためのルール、不適切な行動をした場合の対応策などを示します。
社外に向けたSNSポリシーやコミュニティガイドライン
社外に向けたSNSポリシーは、SNSの利用に際しての姿勢、態度、心構えを社外に解説する文書のことを指します。また、コミュニティガイドラインは、SNS運用上の規約(免責事項、禁止事項、削除方針、調停など)を明示した文書を指すことが多いです。
従業員向けのSNSガイドラインを策定する重要性は?
SNSガイドラインの主な目的としては、トラブルを可能な限り0にすることが挙げられます。ほかにも、SNS運用の属人化を防いだり、投稿内容の品質を守るといった役割もあります。
トラブルを防ぐ
企業がSNSガイドラインを定めるべき第1の理由は、SNSに関連したトラブルを防ぎ、企業の利益や信用を守ることです。
情報が一気に拡散してしまうSNSにおいて、不適切な発言や誤った情報が流れると、企業の評判や信用を損なう可能性があります。ガイドラインを設定することで、どのような投稿が許可され、どのような行動が禁止されているのかをはっきりさせ、従業員が安心してSNSを利用できる環境を作ります。
SNS運用担当者の属人化を避ける
企業がSNSガイドラインを定めるべき第2の理由は、SNS運用担当者の属人化を避けることです。
一般的に、1人から数人の少人数でSNSを運営している企業が多いでしょう。人数が少なければ少ないほど、運用は属人化しやすくなり、次のようなリスクがあります。
- 継続的な運用が困難
- 担当者が変更される度にトーンやマナーが変わる
- トラブルが発生した際に対応しきれない
- 個人の独断で対応してしまい更にトラブルが悪化する
このようなリスクを回避するため、企業としてのSNS運用方針やルールを明らかにしておくことが大切です。
投稿内容の品質を保つ
企業がSNSガイドラインを定めるべき第3の理由は、投稿内容の品質を保つことです。
一般的にガイドラインやポリシーでは、運用上のルールが定められます。定量的・定性的な各項目に対して「推奨」「注意」「禁止」がはっきりと決まっていれば、投稿内容の品質を一定に保つことができます。投稿の品質を守ることは様々なリスク回避だけでなく、企業イメージの維持・向上にも繋がります。
従業員向けSNSガイドラインによくある項目
従業員向けSNSガイドラインを作成する際、どういった項目を抑えておけばよいのでしょうか。ガイドラインによくある10項目を紹介します。
①基本方針・原則
従業員向けSNSガイドラインの基本となる項目です。企業として、どんなスタンスでSNSを取り扱い、取り組むのかについて基本的な考えをまとめ「基本方針・原則」を決めます。
②機密情報の保護
機密情報の保護として、自社の経営に関する情報や非公開情報、従業員・顧客の個人情報など、企業の知的所有権のある情報をSNSで外部に発信しないことをガイドラインに定めます。
③第三者の権利の保護
他人の肖像権や著作権、商標権といった第三者の権利を尊重することです。SNSでコンテンツを二次利用する場合、関係法令を順守することをガイドラインに表明します。
④顧客・取引先情報の保護
自社のほかに顧客・取引先といったビジネスパートナーが特定されるような情報、機密情報など、SNSでの発信を禁止することをガイドラインに示します。
⑤透明性の確保
SNSで金銭を払い意図的に議論や口コミなどを操作する、やらせ行為(ステルスマーケティング)をガイドラインで禁止します。やらせを禁止し、透明性を確保することで企業の信頼性も維持できます。
⑥誹謗中傷の禁止
SNS運用でも誹謗中傷は絶対に許されません。特定の個人や集団、思想、信条、民族、宗教、政治などへの侮辱や蔑視、名誉毀損、差別的・攻撃的・性的・排他的な表現や発言を行わないことをガイドラインに表明します。
⑦不明瞭な情報発信の禁止
真偽がわからない不明瞭な情報をSNSで発信しないことをガイドラインに定めます。
⑧自社に対する情報発信のルール
自社に関連する情報をSNSで発信する場合は、その発信方法やタイミングなどについて、管轄部署及び人物の指示に従うことをガイドラインに定めます。
⑨個人の責任の明確化
従業員がプライベートで使用するSNSの投稿などに関しては、企業は一切関係が無く責任は全て本人にあるという内容をガイドラインに示します。
⑩SNSの特性と理解
SNSを運用する上で気を付けておきたいのは、インターネット上に公開された情報は瞬く間に全世界に拡散され、取り消すことはできないということです。そのことを理解した上で、誠実な気持ちと姿勢でSNSを利用することをガイドラインに表明します。
従業員向けSNSガイドラインを定めるステップ
企業が定めるべき従業員向けのSNSガイドラインを作成するステップを紹介します。
目的を定める
まずは目的を定めましょう。会社の価値観や方針に合うタイプのSNSガイドラインを選択します。
・攻めのガイドライン
禁止事項のみを定めるガイドラインです。禁止項目以外は担当従業員の判断で対応でき、自由度が高いのが特徴です。
・中間のガイドライン
禁止と行動の内容項目を決めるガイドラインです。炎上など問題が起きた場合の対処方法も定めておきます。
・守りのガイドライン
行動指定のみを定めるガイドラインです。3つの中で最も自由度が低いですが、炎上などトラブルに対するリスクヘッジは一番高いと言えます。
スケジュールを定める
作成ステップの2つ目は、スケジュールを定めます。ガイドラインの作成・展開に関する具体的な日程を設定しましょう。
内容として、従業員へのヒアリング、骨子作成、内容作成、展開のそれぞれの納期が含まれます。また、見直しの機会も予定に組み込みましょう。
従業員へのヒアリング
作成ステップの3つ目は、従業員へのヒアリングです。現状のSNSの活用方法や要望、何が足りないのか、何が手間なのか、禁止されて困ることなど、細かく確認します。
また、万が一炎上など問題が発生した場合に対応する責任者を明確にしましょう。詳細にヒアリングし、一人ひとりの要望や立ち位置を把握することで、より質の高いガイドラインを作ることができます。
骨子作成
作成ステップの4つ目は、骨子作成です。ここでは、SNSガイドラインの主要なセクションと各概要を定めます。一目で何が書かれているのかわかるものを目指しましょう。基本的な方針、機密情報の取り扱い、違反行為への対応などがセクションとして挙げられます。
骨子がきちんとできることで、いざトラブルが起きた時、現場で働く従業員が即座に内容を確認しスムーズに対処できるでしょう。
内容作成
作成ステップの5つ目は、骨子を基に、各セクションの内容を作成します。
ヒアリングした内容を綿密に精査し反映することで、後の工程がスムーズになります。内容作成は従業員がガイドラインを読み、SNSを利用する時、適切に活用されるためにも重要です。様々な視点からのフィードバックを取り入れながら、一つずつ丁寧にアウトプットしていきましょう。
従業員や各所へのレビュー
作成ステップの6つ目は、レビューです。作ったSNSガイドラインを関係者に確認してもらい、フィードバックをもらいます。
ここでは主にガイドラインが矛盾しない内容であることをチェックします。さらに、法令や企業方針に準拠しているかも確認します。上層部のみならず、法務、人事、IT部門など異なる部門からの視点で意見をもらうことも重要です。現場の従業員からのフィードバックも有効で、ガイドラインが実際の業務に即したものであるかを確認していきます。
展開し評価、改善
最終ステップでは、展開し評価、改善していきます。ガイドラインを全従業員に展開し、実際に運用をスタートします。
適宜、説明会や研修の機会を設けることが大切です。ガイドライン展開後は、円滑に運用するためにも、従業員からの質問や不明点を受け付ける窓口を設置すると良いでしょう。
そして実際に運用してみて、ガイドラインが適切に機能しているか、ガイドラインに従ってSNS上で適切な行動を取っているかを評価します。ガイドラインの記載内容で課題を解決できているかを評価し、日々変化する市場や企業内の状況に応じて、柔軟に改善・更新していきます。
まとめ
SNS運用は、企業とクライアントを繋げる架け橋といっても過言ではなく、上手に利用すれば、企業は多大な利益を得られるでしょう。一方で、予期せぬ炎上などのトラブルが起きてしまっては、かえって不利益や損害が生じる可能性もあります。
大切なのは、リスクを適切に把握し、不測の事態に備えて対策を講じておくことです。様々な事例を想定した従業員向けのSNSガイドラインを作成し、安定的なSNS運用を目指しましょう。
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