
人事・採用担当のSNS炎上が起こるのはなぜ?事例や原因を解説
企業の人材戦略を司る人事部門。この人事業務に従事する従業員からの炎上は度々発生しています。企業の顔とも言える、人事・採用担当者が陥りやすいSNS炎上とはどのようなものなのか。なぜ人事・採用担当者が炎上してしまうのか、解説していきます。
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オープンSNSでの内定者とのやりとりで炎上
早期化する新卒採用とその後の入社までのコミュニケーションも、人事・採用担当の重要な業務です。そのコミュニケーションの方法として、人事・採用担当者個人がX(旧Twitter)アカウントなどオープンなSNSで繋がり、内定者とコミュニケーションを図るケースもあるようです。
オープンなSNS上で互いの関係性を共有することは、仲間意識を高めるエンゲージメント効果を生み、内定者のフォロワーにも企業風土をアピールする効果が考えられます。一方で、そうした試みが裏目に出てしまい、就活生はおろかSNSを利用する様々なユーザー層から反感を買ってしまうこともあります。
炎上の経緯
とある人事・採用担当者は、X(旧Twitter)で下記の主旨の投稿を行いました。
<投稿の主旨>
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この投稿を見た他のユーザーは、「内定者を馬鹿にしている」「内定者のアカウントがタグ付けされており、個人情報がわかる投稿を人事担当者がしてもよいのか」などの批判が集まり、結果的に人事・採用担当者は自身のSNSアカウントを非公開にしました。(ただし、引き合いに出された内定者は「人事と距離の近い会社の良さ」「曲解した受け取りをされた」と人事担当者を擁護しています)
オープンなSNSの場合、1対1のコミュニケーションではなく、他の多くのユーザーに見られている可能性を忘れてはいけません。別のユーザーから投稿内容を意図せぬ形で解釈され、批判や炎上してしまうことも企業のSNS炎上でよく見られる現象です。
電話口での対応がSNSで拡散
企業の顔でもある人事・採用担当者は、SNS上の振る舞いはもちろんリアルな場での振る舞いも就活生から見られています。面接時や説明会での発言や振る舞いが就活生によってSNSに投稿され、炎上に繋がることはしばしばあります。常に見られているという意識が求められます。
しかし、リアルな場で見られているのは、面接や説明会に限ったことではありません。電話口の対応がSNS上で拡散されてしまい、炎上に繋がったというものが実際にありました。
炎上の経緯
炎上に繋がった具体的な背景は以下のようなものです。
<炎上した背景>
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この事例は、学生のインターンシップ先が有名企業であり、それが開示されていたことから、投稿は多くの反応を集めました。コメントの中には、周囲の就活生と見られるSNSアカウントから、「あの企業の人事がそんなに怒りっぽいのは意外」「もともとそういう人が多い社風なのだろうか」といった内容の投稿も見られました。
電話越しの対応のため、本当に強い口調で対応していたのかは、不確かではあるものの、SNSに投稿されることで企業のレピュテーションに影響を与えることがこの事例から言えます。
人事・採用担当者の不適切な発言で炎上
人事・採用担当者の発言は、企業文化や価値観を反映するものと見なされ、その内容が不適切であると、就活生や社会全体からの批判を招き、炎上につながることがあります。
炎上の経緯
人事・採用担当者が、自身のX(旧Twitter)アカウントで採用業務に対する不適切な投稿を行いました。
<投稿の主旨>
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この投稿に対し、多くのユーザーから「企業の名前を背負って発言すべき内容ではない」「面接で落とされた学生が見ている可能性を考慮していない」「上から目線だ」などの批判が相次ぎました。
また人事・採用担当者本人の本名などがまとめサイトにまとめられるだけでなく、企業名を検索した際に、サジェストで炎上に関連するキーワードが表示されるなど、炎上の影響がデジタルタトゥーとして、残っています。
なぜ人事・採用担当者は炎上するのか

ここまで、実際に発生した人事・採用担当者のSNS炎上事例を見てきました。以下では、炎上した根本的な原因を深掘りし、人事という職種の特殊性から生まれる課題を解説します。
人事・採用担当のパーセプション
パーセプションとは、「認知」や「認識」という意味で使われる言葉です。
人事・採用担当のパーセプションを考えたとき、企業の採用面接を受ける求職者から見た人事・採用担当者は、採用の合否に強い権限を持っており、求職者よりも立場が上と思われてしまうことがあります。そのため、何気ない発言が「上から目線だ」「高圧的だ」などと批判されるきっかけになってしまいます。
そのような求職者や世間から人事・採用担当がどのように見られているのかというパーセプションの欠如が、結果として人事・採用担当者と炎上を繋がりやすくしています。企業の中で人事業務を行っている方は、秘匿性の高い情報を扱う立場や、採用の判断を行う立場であることから、企業の中でも特殊な業務に従事しているという認識を持っておくことが大切です。
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SNSという公開された場での発信
さらに、冒頭で紹介した「採用は“採ってはいけない人”を見極める仕事」と発言して炎上した事例は、面接で落とされた候補者がSNSで見かけるかもしれないという想像力が欠如していました。パーセプションの欠如に加えて、SNSは全世界のユーザーが見ることが出来るものという認識も必要です。
同じ社内、同じ人事業務に携わる人に対しての発信であれば、理解や共感を得られるかもしれません。しかし、SNSは多様な価値観を持ったユーザーが数多く存在する空間です。そのため、人事・採用担当というパーセプションを理解して、自身の言動によって、不快になる人は居ないかという想像が求められます。
▼SNSを運用するなら読んでおきたい!公式SNSの炎上対策はこちら
炎上を未然に防ぐための予防策
これまでの事例で、採用活動におけるSNS炎上リスクが企業に与える深刻な影響について説明しました。ここからは、これらのリスクを単に避けるだけでなく、未然に防ぐための具体的な手法について詳しく解説していきます。
SNS運用ルールの策定と周知徹底
SNS炎上を未然に防ぐ上で最も基礎的かつ重要なのが、企業としての明確なルール作りです。具体的には、公式アカウントと従業員の個人アカウントの使い分け、機密情報や個人情報漏洩に繋がりかねない情報の取り扱い、誹謗中傷や差別的表現の禁止、そして万が一炎上につながる投稿を発見・関与した際の社内報告ルートなどを盛り込んだガイドラインを策定する必要があります。
しかし、ガイドラインを策定するだけでは不十分であり、その内容を全従業員に徹底させることが極めて重要です。新入社員には必ず研修を実施し、既存の従業員にも定期的なeラーニングや社内報で注意喚起を継続的に行いましょう。
また、ガイドラインの内容を議論したり、従業員が気軽に質問できる窓口を設けたりすることで、全従業員がガイドラインを自分事として捉え、日々の業務で意識できるように工夫することが、実効性のある対策につながります。
SNS運用ルールを作る際に決めておきたい項目はこちらの記事をご覧ください。
SNS投稿承認フローの導入
特に人事部門など、企業アカウントでSNS投稿を行う部署では、投稿内容の承認フローを導入することが炎上予防の有効な対策となります。投稿前に上長や複数の担当者が内容をチェックすることで、属人化した不適切な発信を防ぐことができます。
また、複数の目で確認することにより、誤字脱字や誤情報のリスクを減らすだけでなく、その投稿が企業のブランドイメージと合致しているか、事実に基づいているか、特定の個人や団体を不当に扱っていないかなど、多角的な視点から投稿内容を確認することが可能です。
これにより、多くのユーザーからどのように受け止められるかを事前に検討し、炎上リスクを大幅に低減できるでしょう。さらに、エスカレーションフローを明文化しておくことで、万が一の事態が発生した際に原因の特定や責任の所在を迅速に確認明確化でき、組織としてのガバナンス強化にも繋がります。
Web・SNSモニタリング体制の構築
どんなに予防策を徹底しても、現代の情報化社会において企業の評判は常にインターネット上で形成され、予期せぬ形で炎上リスクに晒される可能性があります。そのため、Web・SNSモニタリング体制の構築は、炎上リスクを早期に発見し、自社に関するネガティブな言及や誤情報、炎上の兆候を早期に発見し、被害が拡大する前に適切な対応を取ることにあります。
具体的な方法としては、自社名や関連キーワードを設定したアラート機能の活用から、専門企業による24時間365日体制のWeb・SNSモニタリングサービスまで、企業の規模やリソースに応じて様々な選択肢があります。
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まとめ
この記事では、人事・採用担当者のSNS炎上がなぜ起こるのか、具体的な事例をまとめて解説し、根本的な原因と効果的な予防策について詳しく見てきました。
人事・採用担当者のSNS炎上は、企業のブランドイメージや今後の採用活動の機会損失にも影響を及ぼす深刻なリスクです。採用業務という立場の特殊性から、何気ない発言が「上から目線」と捉えられたり、個人情報や機密情報の漏洩につながったりする可能性があります。
炎上を防ぐには、人事・採用担当者の「企業の顔」としての認識と、SNSが持つオープンな性質を正しく理解することが重要です。具体的な予防策としては、明確なSNS運用ルールの策定と周知徹底、複数人による投稿承認フローの導入、そしてWeb・SNSモニタリング体制の構築が挙げられます。
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