「バズる」と「炎上」の違いとは?公式SNSで注意したい投稿の特徴を紹介
「SNSをやっているけどフォロワーが増えない」「投稿しても反応が貰えない」といった悩みを抱えている企業のSNS担当者は多いのはないでしょうか。昨今は多くの企業がSNS施策を行っているため、市場はレッドオーシャンです。群雄割拠の中で、自社のSNSに興味を持ってもらうことも簡単ではありません。
今回はSNSで「バズる」ことについて内容を掘り下げ、企業アカウントを中心とした成功事例、バズらせることを狙った際に懸念されるリスクやその対策をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.「バズる」とは?
- 2.バズった企業アカウントの事例
- 3.バズマーケティングとは?
- 3.1.バズマーケティングのメリット
- 3.2.バズマーケティングのリスク
- 4.「バズる」と「炎上」
- 5.話題性を狙い炎上してしまうSNS投稿の特徴
- 6.「SNSでバズる」前に対策すべき3つの運用ポイント
- 7.まとめ
- 8.【関連情報】
【無料WEB診断を公開中】
自社のSNSリスクの対策状況を今すぐ調べてみませんか?
>>[SNSリスクマネジメント診断]を試してみる<<
「バズる」とは?
「バズる」という言葉は、英語の「buzz」に由来し、人々が特定の話題に対して注目している状況を指します。近年では、主にSNSで拡散・注目されている投稿や話題に対して、盛り上がっている状態を指す意味合いで使われることが多いです。
その基準は明確に定義されていませんが、たとえば X(旧Twitter)では、1万件以上の投稿やいいねがされた投稿に対して使われる場合が多くあります。バズる投稿は急激に拡散されます。
バズった企業アカウントの事例
①ほのぼのエピソードでバズった調味料メーカー
とある調味料メーカーはXで「企業アカウントだから成果が無いとX(旧Twitter)辞めさせられる」という苦しい事情と同時に、「上司や同僚からフォロワーが40人もいてバズってるじゃん」と皮肉を言われたエピソードを投稿しました。
これに対し、ユーザーからは「応援したくなる」「商品買います」「売り場教えて」などのメッセージと共に拡散され、フォロワーが1000倍増加しました。現在ではSNSキャンペーンを開催すると1分で対象商品が完売してしまう、高い成果に繋がる人気アカウントとなっています。
②徹底した顧客目線のサービス提供を行う飲食店
とある外食店では徹底したXによる顧客目線に立った発信で、バズを獲得しています。例えば、自然災害が起こった際は被災地在住者を対象とした期間限定の半額キャンペーン、何らかの事情で満足に食事を取れない人を対象とした無料のキャンペーン情報をXで発信した結果、数千件を超える反響を獲得しています。顧客視点の企業としてのブランディングが成功し、固定のファンに愛される企業アカウントとなっています。
③デマ情報に対して適切な情報発信行った製紙メーカー
トイレットペーパーやティッシュなどの製造企業では、新型コロナウィルスの感染拡大時期に、トイレットペーパーが不足するという情報が流布されている中で、Xに「各地でトイレットペーパーが不足するなど、一部報道されておりますが、当社倉庫には在庫が潤沢にございますので、ご安心ください!」と、在庫の山を写した画像とともに投稿しました。
メーカーによるリアルな情報発信とインパクトのある画像によって、この投稿が瞬く間に拡散され、反響を呼びました。結果として、多くの方が製紙メーカーの企業名に触れ、認知度が向上したと考えられます。
バズマーケティングとは?
バズマーケティングのメリット
バズマーケティングのメリットは以下の通り3つあります。
- 低予算で取り組み可能
- 短期的かつ飛躍的な認知獲得の可能性
- マスメディアに取り上げられ、さらなる認知獲得の可能性
SNSでバズると、瞬時に何万人に露出されることもあり、どの企業も初期投資を抑えながら、取り組むことができます。そのため、広告出稿やチラシ配布などのプロモーション手法に比べると、低予算かつ高い露出効果を獲得できる可能性があります。
更に、バズった投稿はメディアに取り上げられることもあり、Webメディアやマスメディアを通じて、さらに露出を高めることも期待できます。
バズマーケティングのリスク
一方、リスクも存在します。主に挙げられるのは以下の2つです。
- 群雄割拠の中でバズることの難易度は高く、成果に繋がらない
- バズを狙った結果、ネガティブな投稿に繋がる
公開情報によると、Xには月間で4,500万人もの利用者がいます。大勢のユーザーがいると当然、異なる意見をお持ちのユーザーもいます。そのため、バズることで、多くのユーザーに露出された結果、残念ながら一定のネガティブな口コミが生まれてしまうこともあるでしょう。
また、口コミの広がり方によっては、意図しない方向で企業やブランドが傷つけられたり、全く違うイメージを持たれたりする可能性があります。過去には、アメリカのとある大手飲食チェーンが、「自社についての思い出をツイートしよう」というキャンペーンを行ったところ、企業に関するネガティブな思い出が複数投稿されました。多くのユーザーに注目が集まること、バズることを目的に行った企画がレピュテーション低下に繋がる可能性もあります。
「バズる」と「炎上」
炎上との違い
多くのユーザーから注目を集める「バズ」は「炎上」とよく混同されることがあります。バズマーケティングに近い手法として炎上マーケティング・炎上商法といった言葉もありますが、「バズ」と「炎上」の違いは何でしょうか。
エルテスでは、毎月ネット炎上の傾向をまとめた「ネット炎上レポート」を公表しており、そこでは炎上の定義を以下のように取り扱っています。
▼前提条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。
▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
「バズ」との比較という意味では、「バズ」は好意的な反応が多く、「炎上」は批判が殺到している状態という点で相違があります。
炎上による影響
企業SNSアカウントが炎上する経緯には、公式SNSアカウントでの不適切投稿や、不適切な投稿へのリアクションなどに起因するものがあります。炎上した場合、SNSなどのデジタル空間を超えて、企業にどのような影響が生じるのでしょうか。ここでは3つに分けて紹介します。
① 企業への不信感やブランドイメージの棄損
炎上(批判が殺到している様子)を目にしたユーザーの企業への信頼が低下してしまうことがあります。結果として、取引や採用の機会損失、上場企業であれば株価の下落など、マイナスな影響が出る可能性があります。
② 炎上に加担したユーザーは、ネガティブな印象を持ち続ける
企業の炎上に対して、一度批判的なコメントや拡散することで炎上に加わっていた場合、その企業や商品・サービスに対してネガティブな感情を持った事実が残ります。心理学の認知的不協和理論という観点から考えると、「一度否定したものを購入する」という事象に対して葛藤やストレスを感じるため、その製品・サービスの購入を諦め、他のものを選ぶという心理が働きやすくなることが考えられます。将来的にユーザーとなり得た潜在的なファンを炎上によって失うことも、リスクのひとつです。
③ アンチを生む
SNS炎上のもう一つの被害として、「アンチユーザー(アンチ)」を生むことが挙げられます。アンチは、たとえばXで企業が投稿する度に企業を否定するようなリプライを送り付けてきたり、自身の投稿で企業批判を繰り返し行ったりといった行動を頻繁に行うユーザーを指します。
炎上した企業に対して不信感やネガティブな印象を持ってしまうだけではなく、継続的に批判を行うアンチになってしまった場合、その批判が再度炎上の火種となる可能性があります。
話題性を狙い炎上してしまうSNS投稿の特徴
公式SNSによっては、大きな話題性やフォロワーの獲得を狙って、バズるコンテンツを考えることがあります。しかし、反響を狙いすぎてしまった結果、批判的な意見が寄せられ、炎上してしまうケースも少なくありません。ここでは、炎上リスクのある投稿の特徴を5つ紹介します。
炎上しやすい投稿内容の例
- 社会全体で不快に捉えられる言動
- 一部の人の気持ちを傷つける発信内容
- 誤解を招く発言
- 社会的なモラルから逸脱した投稿
-
批判されやすいテーマ
特に批判的な意見が集まりやすい具体的なテーマには、政治や宗教、セクシュアリティなどが挙げられます。
また、「バズる」ことを狙って、すでに世間で話題の事象に便乗した投稿や、オマージュした内容の発信もSNSの中には見受けられます。しかし、リスク対策の観点では、元投稿のファンから批判的に受け取られるケースや、自社のブランドイメージに合わないと自社のファンから批判されることもあり得ます。そのため、可能な限り複数の目で企画をチェックし、あらゆる観点から批判され得る要素がないか議論することを推奨しています。
【無料WEB診断を公開中】自社のSNSリスクの対策状況を今すぐ調べてみませんか?
「SNSでバズる」前に対策すべき3つの運用ポイント
バズることは、多くのメリットがありますが、それと同程度に重要なのが、そのための事前準備です。投稿がバズってユーザーから多数の反響があっても、放置していればそれは一過性の現象に過ぎません。SNSでバズったところから反応したユーザーに対してアプローチをしかけることで、さらに購買行動などにつなげられる可能性があります。ここではバズる前に決めておくべき事を3つ紹介します。
① SNS上の反応を収集できる体制を整える
SNSでバズった際は、膨大な数の反応があります。リプライや、投稿を引用した投稿なども多く出てくるでしょう。そういった反応を収集できる体制を整えることで、今後のSNS戦略や企画に応用ができます。
ただし、投稿を収集するには多くの人員や時間が必要なため、リソースに限りがある場合は、SNSの投稿を自動収集するツールなどで代替することも可能です。
② バズった後のアクションを決める
バズった場合は「この商品どこで買えるの?」などといった企業や商品に対する問い合わせが発生することもあります。多数のリプライの中に埋もれてしまうと、せっかくの顧客を逃してしまうため、有効な方法を3つ紹介します。
宣伝を連投
たとえば、Xではバズった投稿のリプライ欄に宣伝したいことを投稿してつなげられます。拡散された数やいいね数が、キリのいい数字(5,000件拡散される毎、1万いいね毎、など)に達する度にツリー状に繋げて投稿する方法などがあります。
問い合わせ先を明記
プロフィール欄に問い合わせフォームのURLなどを用意するのも効果的です。事例で挙げた調味料メーカーも実際にバズったとき、「どこで売ってますか?」などという問い合わせがいくつか見受けられたそうです。拡散されるほど、企業側が問い合わせを見落とす可能性も増えるため、アカウントのプロフィール欄などに問い合わせフォームなどの導線を貼り付けておきましょう。
ユーザーの反応に対してリプライやいいねをつける
ユーザーと積極的にコミュニケーションを図ることで、ユーザーが好意的な感情を持ち今後の投稿やその企業自体に興味を持つ可能性もあります。その結果、アカウントフォローなどに繋がる可能性もあります。
③ 万が一炎上したときの行動と意思決定フローをマニュアル化する
SNSでバズることは、良くも悪くも目立つことです。SNSは、個人の感情も表れやすく、ユーザーの反応の中にはネガティブなものや炎上しそうなものが見受けられる場合もあります。
ネガティブな反応、特に炎上のリスクがある投稿に関しては、冷静な対応が必要となります。どのような状況では静観を続けるのか、対応が必要なケースはどのようなものか、あらかじめ設定しておくことが大切です。
また、上司に判断を仰ぐ、社内で共有するなど、いわゆる「エスカレーションフロー」についても、基準や動き方などを明確に決めておきましょう。公式アカウントの運用ガイドラインやSNS対応マニュアルなどとしてまとめておくことをおすすめします。
▼SNS運用するなら知っておきたい!SNS投稿注意日カレンダーの詳細はこちら
まとめ
本記事ではSNSでバズることについて、基本的なことから事例やリスクについて触れてきました。SNSでバズることは、今まで接することのなかったユーザーと接点を持つことを意味します。そのような環境では、必然的に炎上リスクも高まってしまいます。だからこそ事前にリスクを把握して対応に備えることが求められます。ぜひ、日々のSNS運用を振り返り、リスクへの備えを確認してみてください。
【関連情報】
〇関連資料
・公式SNS運用の3つの炎上パターンから学ぶ批判のポイントと対策
〇エルテスのサービス
〇関連コラム