企業の「SNS運用ルール」の目的や作り方は?必要性やルールの種類も解説
企業がSNS上で自社アカウントを運用する場合、トラブル予防のためにも運用ルールの作成が欠かせません。とはいえ、初めてSNSを運用する場合、「SNS運用ルールを作ると良いのはわかっているが、どう進めればいいかわからない…」と思う方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、どういった目的で、事前に何を決めておくべきかをわかりやすく解説します。運用ルールの必要性や、SNS運用担当者に役立つ情報をまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.なぜ企業のSNS運用にルールが必要なのか?
- 1.1.運用ルール作成で解決できる課題
- 1.2.SNS運用の目的・役割を明確にする
- 2.SNS運用ルールの種類とそれぞれの特徴
- 2.1.公式SNS運用ガイドライン
- 2.2.ソーシャルメディアポリシー
- 2.3.ソーシャルメディアガイドライン
- 3.SNS運用ルールの作り方は?3つの視点を意識しよう
- 3.1.【ルールの目的】何を作るべきか?
- 3.2.【社内での連携】誰と決めるか?
- 3.3.【公開する場所】どこにあれば良いか?
- 4.作ったルールは定期的なアップデートを
- 5.他にSNS運用で決めておくべき4つの内容
- 5.1.運用方針
- 5.2.運用体制
- 5.3.目標設定
- 5.4.SNSのモニタリング体制
- 6.SNS運用ルールの意味や目的を知って策定を
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なぜ企業のSNS運用にルールが必要なのか?
SNSは、私たち現代人にとって欠かせない、情報収集および発信ツールです。企業が公式SNSアカウントを保有し情報を発信し、ユーザーや顧客と積極的に関わることで、さまざまなメリットが期待できます。一方で、SNS運用はリスクと隣り合わせです。「炎上による企業価値の低下」といった事態を避けるためには、事前にきちんと運用ルールを定めておく必要があります。
SNSは誰でも手軽に利用でき、その場ですぐに情報発信できるというメリットがあります。一方で、担当者による安易な投稿をきっかけに、思わぬトラブルが生じてしまう可能性も。過去の事例から見ても、企業がSNSを通じて何らかのトラブルに巻き込まれた場合、売上低下や株価暴落といった事態を引き起こす恐れもあります。
世界中に発信できる内容だからこそ、「誰が見て、どう判断するか」はわからないものです。企業側に誰かを傷つける意図がなかったとしても、その真意が正しく伝わらない可能性もあります。企業の公式SNSも運用ルールが定められていれば、不用意な投稿を防ぐ効果が期待できるため、企業価値を守ることにもつながります。
運用ルール作成で解決できる課題
企業の公式SNSアカウントの運用において、問題になりがちなのが以下の2点です。
- 担当者にかかる負荷
- 複数人で担当する場合の投稿内容のバラつき
SNS投稿を一人の担当者に任せれば、投稿内容のクオリティは安定させやすいでしょう。一方で、「その担当者が退職すれば引き継げる人がいない」といった状況になってしまいます。作業の属人化を防ぐ目的で複数人に担当させれば、投稿内容の「質」をどう一定化させるのかが課題となります。
事前に公式SNSの運用ルールを明確にしておけば、これら2つの課題も解消しやすくなります。担当者の負担を軽減しつつ、より魅力的な情報発信につながることが期待できます。
SNS運用の目的・役割を明確にする
SNSのアカウントは、誰でも無料で作成できるケースがほとんどです。運用を急ぐあまり、事前にルールを作成しておかなかった場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 投稿のたびにトーン&マナーが変わり、顧客がついてこられない
- 企業アカウントでありながら、担当者個人の考え方が強く発信されてしまう
- SNS側のガイドラインやコンプライアンスを無視した内容で、社会的に問題視される
- 顧客やユーザーとの間に、不適切な関わりが生まれる
- 万が一トラブルが発生した場合に、対応方法がわからないまま対応が遅れる
どれもSNS運用のメリットをふいにしてしまうリスクです。あらかじめルールを明確にしておくだけで避けられるものであるため、事前にしっかりと準備しておきましょう。
SNS運用ルールの種類とそれぞれの特徴
ひと言で「SNS運用ルール」と言っても、その内容はさまざまです。3つの種類の特徴を知った上で、それぞれの内容を明確にしていきましょう。
公式SNS運用ガイドライン
SNS上で公式の企業アカウントを運用するために定められたガイドラインです。投稿に関わる担当者同士のみで共有します。具体的な内容としては、投稿手順や適切な運用のための注意点など。運用そのものが不適切にならないようにするとともに、「誰でも作業を担当できるようにする」という役割も担っています。
ソーシャルメディアポリシー
こちらは、ソーシャルメディア上における企業の振る舞い方について、ユーザー向けに発信する文章です。企業の立場や考え方を明示するとともに、顧客理解を促す内容になっています。万が一SNS上で問題が発生した場合に、企業としてどういった責任を負うのか、またその免責内容などについて、社内外へと発信しています。
ソーシャルメディアガイドライン
こちらは、従業員の私的なSNS利用に関するルールを定めた文書です。どういった投稿内容に問題があるのか、社内で共有する目的で作成されます。いわゆる「バイトテロ」は、スタッフの問題投稿によって引き起こされるもの。私的なSNS利用によって企業価値を低下させないため、社内にて共有。場合によっては、社外に向けても発信されます。
SNS運用ルールの作り方は?3つの視点を意識しよう
では続いて、具体的なルール作成方法についてチェックしていきましょう。どのようにルール作りを進めていくべきか、3つの視点から解説します。
【ルールの目的】何を作るべきか?
まずは、策定するルールにおいて、「どういった内容が必要なのか」を検討します。先ほども紹介したとおり、SNS運用に関するルールにはさまざまな種類があります。それぞれの目的や役割に応じて、どういったルールが必要なのか検討してください。
まずは企業がSNSと関わる方法や、その結果起こり得るリスクについて検討してみてください。過去のトラブル事例を参考にするのもおすすめです。「そうした事態を避けるために効果的なルールを」という視点で内容を検討していけば、より良いルール作りにつながります。
【社内での連携】誰と決めるか?
SNS運用に関するルールは、基本的に業務に関連する部署で検討していきます。とはいえ、いざ問題が発生した場合には、企業全体を巻き込んでしまう可能性もあります。そうした事態を防ぐため、また万が一の場合でも素早く対応できる体制を構築するため、その他の部署との連携も視野に入れてみてください。
たとえば、総務と連携すれば、社内全体での流れが見えやすくなりますし、法務と協力すれば法律面での知識が深まります。臨機応変な対応を検討しましょう。
【公開する場所】どこにあれば良いか?
先ほども紹介したとおり、SNS運用に関するルールは、その種類によって公開範囲が異なります。「どこ」で「誰」向けに発信するルールなのかを明らかにした上で、各種準備を進めてください。ただ単純に「ルールを策定する」だけではなく、「周知・徹底する」ための工夫が必須です。
作ったルールは定期的なアップデートを
SNS上での企業アカウントの運用ルールは、「スタート時に一度策定すればOK」というわけではありません。作ったルールは定期的に見直し、必要に応じてメンテナンスする必要があります。
なぜなら、SNS利用に関する状況は、刻一刻と変化していくものだからです。数年前に策定したルールでも、状況によっては時代にそぐわないものになっているかもしれません。新たなSNSが台頭し、企業アカウントを開設する場合、既存のルールだけでは対応しきれない可能性もあります。SNSを発端とするトラブル事例も、時代とともに変化しています。定期的にアップデートし続けることで、常に「最新のトラブル事例に対応できるルール」を用意できるでしょう。
定期的にルールを見直せば、従業員や関係者の意識を刺激できます。「最初に策定したまま放置」という場合、時間の経過とともに、ルールへの意識は希薄化してしまう可能性があります。ルールの形骸化を防ぐ意味でも、定期的なアップデートを行い、その都度内容を周知・徹底する工夫が必要だと言えます。
ルールを見直す際には、具体的な変更点を洗い出すことが必要です。エルテスの「SNSリスクマネジメント診断」では、SNSのルール策定をはじめとしたリスク対策の現状を、Webからわずか3分で簡単にチェックできます。ぜひ、以下のリンクからお試しください。
他にSNS運用で決めておくべき4つの内容
SNS上で企業アカウントを運用していく上で、ルール以外に設定しておきたい内容は以下のとおりです。
運用方針
企業アカウントとして、SNS上で発信する投稿内容について、ある程度の方針を決めておきましょう。投稿内容に統一感が生まれ、ファンを獲得しやすくなります。文章ルールや書き手の設定についても同様です。企業やブランド、商品のイメージを「ストーリー」として伝えられるのもSNS投稿の魅力です。そうした強みを活かすためにも、各種方針を明らかにしておくことをおすすめします。
運用体制
企業アカウントのSNS投稿業務は、複数人で運用できる体制を整えておくのがおすすめです。業務の属人化を防ぎ、引き継ぎが必要になった場合でもスムーズに進められます。また、投稿内容を複数人で確認すれば、トラブルリスクや担当者にかかる負担も少なくなります。
社内での対応に不安がある場合には、外注を検討するのも一つの方法です。SNS投稿のプロに依頼して、社内の負担は最小限に、より魅力的な情報発信につなげられます。
目標設定
企業がSNSアカウントを運用する上で、無視できないのが「結果」についてです。情報発信を確かな成果へとつなげていくためにも、目標は明確にしておきましょう。具体的には、ルールを策定する段階でKGIやKPIを検討しておくのがおすすめです。何を目標に据えるのかによって、SNSの活用の仕方も変わってくるでしょう。できるだけ早めに明らかにして、そのために必要な対策を講じてみてください。
SNSのモニタリング体制
先ほどお伝えしたとおり、SNS上での情報発信には、メリットだけではなくリスクもあります。何らかのトラブルが発生した場合には、早期対処が鍵となります。どれだけ早期に問題を収められるかで、企業に与えるダメージも大きく変わってくるでしょう。
トラブルを早期発見するために重要なのが、SNS上でのモニタリング体制の構築です。社内で人的リソースを割いて対応する方法や専用ツールを使う方法もありますが、モニタリングサービスを提供する企業に依頼する方法もあります。問題が発生した場合の対処もお願いできるため、SNS運用のリスクを最小限にできるでしょう。
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SNS運用ルールの意味や目的を知って策定を
実際に自社アカウントを運用する前は、「SNS運用ルール作成の目的がわからず、具体的に何を決めておけば良いのか悩む…」という方も少なくありません。ぜひ今回紹介した内容も参考にしつつ、ルール作成の目的やその必要性、作成しなかった場合のリスクについて熟考してみてください。
ルールの作り方を参考に、一つひとつの手順を確実に進めていけば、運用ルール作りは決して難しくはありません。また定期的な見直しによって、その都度必要内容をプラスしていくこともできます。難しく考え過ぎる必要はありませんから、X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeといったSNSを活用する前には、SNS運用ルール作成について具体的に検討してみてください。
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