
インフルエンサーマーケティングとは?効果や具体的な事例について紹介
インフルエンサーマーケティングは、SNS時代における新しい形のマーケティング手法です。個人の影響力を活用し、ブランドや商品の魅力を消費者に自然に伝えることで、多くの共感と関心を引き出すことができます。
この記事は、インフルエンサーマーケティングの概要や市場の動向、成功事例、さらには施策を成功させるためのポイントや注意点について徹底的に解説します。これから導入を検討される方は、ぜひご参考ください。
目次[非表示]
- 1.インフルエンサーマーケティングとは?
- 2.インフルエンサーマーケティングのメリット
- 2.1.潜在顧客に情報が届きやすい
- 2.2.ターゲティングしやすい
- 2.3.情報の拡散が期待できる
- 2.4.広告感が少ない
- 2.5.オンライン販売しやすい
- 2.6.トラフィック増加につながる
- 3.インフルエンサーマーケティングのデメリット
- 3.1.ステルスマーケティングによる炎上リスクがある
- 3.2.インフルエンサー選定が難しい
- 4.インフルエンサーマーケティングの施策の種類
- 5.インフルエンサーマーケティングを成功させるためのポイント
- 5.1.目的・ターゲットを明確にする
- 5.2.適切なインフルエンサーを選ぶ
- 5.3.共感するコンテンツを作る
- 5.4.効果を測定して改善する
- 5.5.インフルエンサーをファンにする
- 6.インフルエンサーマーケティングの費用
- 7.インフルエンサーマーケティングの成功事例(業界別)
- 8.インフルエンサーマーケティングの成功事例(SNS別)
- 8.1.X(旧Twitter)
- 8.2.TikTok
- 8.3.YouTube
- 8.4.Facebook
- 9.インフルエンサーマーケティングの注意点
- 10.まとめ
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インフルエンサーマーケティングとは?
従来のマーケティングでは、テレビやラジオ、新聞といったマスメディアを活用し、企業が直接、消費者に商品やサービスを訴求する方法が一般的でした。しかし、近年注目されているのが「インフルエンサーマーケティング」です。
インフルエンサーマーケティングとは、企業がSNSなどで多くのフォロワーを持つインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらい、認知拡大や購買につなげるマーケティング手法です。
インフルエンサーマーケティングの市場や注目されている背景
出典:『総務省|令和6年版 情報通信白書』を基にエルテスが作成
総務省の「令和6年版情報通信白書」によれば、日本のSNS利用者数は2023年に約1億580万人に達し、2028年には1億1,360万人に増加すると予測されています。
出典:「サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ」を基にエルテスが作成
また、2024年に行われた株式会社サイバー・バズと株式会社デジタルインファクトの調査によれば、2024年のインフルエンサーマーケティング市場は860億円、2029年には2024年比約1.9倍の1,645億円に成長すると予測されています。
これだけの市場規模があるため、インフルエンサーマーケティングを検討する価値は十分にあると言えます。
インフルエンサーマーケティングの種類
インフルエンサーマーケティングには、活用するSNSの種類やインフルエンサーの規模・特徴によってさまざまな種類があります。
国内インフルエンサーマーケティングで利用される主要なSNSとその特徴
SNS |
特徴 |
国内月間アクティブユーザー数(2025年1月時点) |
主なユーザー層 |
主なプロモーション分野 |
---|---|---|---|---|
画像や動画などのビジュアルに特化したSNS |
6,600万以上 |
10~30代の女性(男女比4:6) |
ファッション、美容、旅行、グルメ、育児 |
|
YouTube |
幅広い年代に支持され、ジャンルが豊富な動画投稿SNS |
7,120万以上 |
幅広い年齢層(約4割は45歳以上) |
ハウツー、ノウハウ、BtoB、ブランディング |
TikTok |
縦型ショート動画を投稿・共有する動画SNS |
3,300万以上 |
10代 |
若年層、トレンド |
X(旧:Twitter) |
短文でのコミュニケーションがメインのSNS |
6,700万以上 |
10~30代 |
キャンペーン イベント告知 |
ビジネスユーザーが多い、実名登録制のSNS |
2,600万以上 |
30~50代 |
中高年、海外展開 |
「フォロワー数」で分類したインフルエンサーの種類とその特徴
上記構成図の通り、インフルエンサーはフォロワー数によって4つのレベルに分かれます。
種類 |
フォロワー数 |
リーチ数 |
エンゲージメント率 |
---|---|---|---|
メガインフルエンサー/ |
100万人以上 |
高い |
低い |
ミドルインフルエンサー/ |
10万人~100万人 |
やや高い |
やや低い |
マイクロインフルエンサー |
1万人~10万人 |
やや低い |
やや高い |
ナノインフルエンサー |
1,000人~1万人 |
低い |
高い |
インフルエンサーマーケティングは戦略次第で大きな成果をもたらすことができます。適切なプラットフォームとインフルエンサーを選定し、インフルエンサーマーケティングの効果を最大限に引き出しましょう。
インフルエンサーマーケティングのメリット
インフルエンサーマーケティングには、次のようなメリットがあります。それぞれの特徴を詳しく解説します。
潜在顧客に情報が届きやすい
通常の広告では届きにくい人たちにも、インフルエンサーを通じた情報発信なら「信頼できる情報」として受け入れてもらえる可能性が高くなります。
これまで接点がなかった新しい顧客にもアプローチができ、認知拡大と将来的な顧客獲得につなげられます。
ターゲティングしやすい
インフルエンサーは美容や旅行、ファッションなど、特定のジャンルに特化して活動するケースが多く、その分野に興味を持つフォロワーを集めています。
これにより、適切なインフルエンサーを選ぶことで、特定のターゲット層に的確に情報を届けることができます。
情報の拡散が期待できる
共感を得る内容がフォロワーにシェアされることで、情報が一気に拡散されます。SNSでの「いいね」や「シェア」を通じて、フォロワー以外にも情報が届き、「注目のコンテンツ」としてさらに広がる可能性があります。
広告感が少ない
インフルエンサーが自身の言葉で商品やサービスを紹介することで、フォロワーに押し付け感を与えず、自然に受け入れられます。フォロワーにとっては「自分が好きな人が勧める商品」という心理的効果が働き、広告としての信憑性が高まります。
また、実際の使用感や体験を共有することで、商品を具体的にイメージしやすくなり、購買行動につながりやすくなります。
オンライン販売しやすい
インフルエンサーは、商品紹介の動画やSNS投稿に、URLの共有やSNSのショッピング機能を活用することで、視聴者をオンラインストアに直接誘導できます。
興味を持った視聴者がすぐに購入できる仕組みを提供できるため、オンライン販売を強化したい企業に最適です。
トラフィック増加につながる
インフルエンサーマーケティングに成功すると、自社のランディングページ(インターネット広告をクリックした先のページ)やECサイトへのアクセス数が伸びます。
このアクセス増加により、より多くのユーザーにサイトを閲覧してもらえるようになります。
インフルエンサーマーケティングのデメリット
以上のように多くのメリットがありますが、デメリットも無視することはできません。
ステルスマーケティングによる炎上リスクがある
インフルエンサーマーケティングを行うとき、ステルスマーケティングに対する対策が重要です。ステルスマーケティング、通称「ステマ」とは、企業から報酬を受けている事実を隠し、商品をPRする行為を指します。
ステマが発覚してしまうと、インフルエンサーが信頼を失うだけでなく、企業全体の信用にも関わります。さらに、法律違反に該当する場合、広告主である企業が罰則を受けるリスクもあります。
▶【お役立ち資料】ステマ規制違反の予防のためのアクションはこちら
インフルエンサー選定が難しい
自社商品のPRに適したインフルエンサーを見つけることは難しいです。ジャンルやフォロワー層が多様化している上、フォロワーの質やエンゲージメント率を見極める必要があるからです。
さらに、人気インフルエンサーには依頼が集中し、選定はより困難になります。施策との相性を考慮した慎重な判断が求められるため、選定には高いスキルが必要です。
インフルエンサーマーケティングの施策の種類
インフルエンサーマーケティングには、多様な施策があります。それぞれの特長と効果を活かし、目的に応じた最適なアプローチを選択することが重要です。
タイアップ投稿
SNSを活用して商品やサービスを紹介する、最も一般的な施策です。
たとえば、YouTubeでは長尺動画で商品の詳細を深く伝える一方、縦型動画はトレンド感があり、広範囲に拡散しやすい特徴があります。
ライブ配信
ライブ配信機能を活用し、リアルタイムで商品を紹介し、販売を促進する施策です。
視聴者のコメントに答えたり、商品を実演したりすることで、親近感を高めつつ購買意欲を引き出せます。特にファッションや美容など視覚的な商品に適しています。
現地レポート
店舗やイベントにインフルエンサーを招き、体験をSNSで発信してもらう施策です。
実体験を通じて商品の魅力をリアルに伝え、関心を集めます。飲食店や観光地、イベントプロモーションに適しています。
ギフティング
商品やサービスをインフルエンサーに提供し、投稿を任意で依頼する形式の施策です。
美容コスメやファッションなど映える商品が効果的です。比較的低コストで実施でき、広範囲のインフルエンサーにアプローチ可能です。
ゲスト出演
インフルエンサーがブランドの公式アカウントに出演する施策です。
イメージキャラクターやアンバサダーとして起用することで、ブランドとの結びつきを強調し、ファンがブランドに興味を持つきっかけを作ります。
投稿の二次利用
インフルエンサーが制作したコンテンツをSNS広告やランディングページ、店頭販促物に活用する施策です。
同じ素材を再利用することで「見たことがある」と認識されやすくなり、さらなるリーチを期待できます。
インフルエンサーマーケティングを成功させるためのポイント
インフルエンサーマーケティングの効果を最大限に引き出すには、以下のポイントを押さえることが重要です。
目的・ターゲットを明確にする
認知度向上や購買促進など、具体的な目的を設定し、ターゲット層に適したSNSを選定しましょう。
適切なインフルエンサーを選ぶ
若年層やビジネス層など、商材やターゲットに合うSNSとインフルエンサーを選びましょう。フォロワー数だけでなく、影響力や親和性も重要です。
共感するコンテンツを作る
インフルエンサーの個性を活かし、共感を呼ぶ内容を意識しましょう。トレンドを意識したタイムリーな投稿も効果的です。
効果を測定して改善する
CV率や売上などを定期的に測定し、施策を改善することで、無駄を省き成果の最大化を目指します。
インフルエンサーをファンにする
インフルエンサーに商材を実際に試してもらい、信頼を得ましょう。
そのリアルな体験が説得力を高め、フォロワーにも強く響きます。結果的に、商材への関心と購買意欲を高められます。
インフルエンサーを活用した施策では、炎上リスクが伴います。炎上リスクを完全に防ぐのは難しいものの、過去の炎上事例や業界の批判傾向を把握することで、リスクの発生を抑制できます。
エルテスでは、炎上しにくいインフルエンサーの選定や管理体制の整備をサポートし、リスクを最小限に抑えたインフルエンサーマーケティングを支援します。
ぜひお気軽にご相談ください。
インフルエンサーマーケティングの費用
インフルエンサーマーケティングの費用相場は、1回の施策あたり70〜100万円程度と言われて言ます。
インフルエンサーの報酬は、一般的に「フォロワー数×フォロワー単価」で算出され、フォロワー単価の相場は2〜4円程度です。たとえば、フォロワー数100万人のインフルエンサーに依頼する場合、フォロワー単価が2円であれば200万円となります。
さらに、代理店に依頼する場合は、インフルエンサー報酬の10〜30%程度の手数料が加算されることが多く、投稿内容を広告などで再利用する際には、インフルエンサー報酬の20〜50%程度が二次利用費用で発生すると言われています。
インフルエンサーマーケティングの成功事例(業界別)
インフルエンサーマーケティングの実際の成功事例を業界別に紹介します。
事例を参考に、自社のマーケティング施策にぜひお役立てください。
化粧品業界
ある化粧品メーカーは、発売前から発売当日まで、TikTokやYouTubeの特性を活かし、ターゲットへの情報の出し分けやタイミングを計画し、実施しました。これにより、若年層を中心に商品の認知が広がり、発売直後から注目を集めました。
特にTikTokではオリジナルエフェクトや人気クリエイターを活用し、商品の認知度を高めることに成功し、結果として、発売1週間で市場シェア50%を超え、大きな成果を収めました。
食品業界
ある食品メーカーが、チーズの伸びやピザ作りの工程など、普段は見ることができない裏側を紹介する動画を投稿し、ユーザーの好奇心を刺激したことで、大きな注目を集めました。
さらに、社長自らが動画に登場するなど、企業のトップがSNSに登場することで、親近感を感じさせ、フォロワーや「いいね」の獲得に成功しました。
ファッション業界
あるファッションブランドは、インスタグラマーやYouTuberではなく、広範囲のフォロワーを持つ有名俳優をインフルエンサーとして起用し、ブランドの認知度を大幅に向上させました。
俳優自身のSNSでサービスを紹介したことで、1600万人以上のフォロワーに一気に認知されました。結果として、前年同期比で約20%の売上増加を達成しました。
ホテル業界
あるホテルは、クリスマス限定ルームをPRするため、そのブランドのファンを多くフォロワーに持つインフルエンサーを起用し、お部屋の魅力を効果的に周知できました。
インフルエンサーが自身のSNSで宿泊レビューを投稿したことで、ターゲット層に一気に情報が広がりました。
結果として、クリスマスシーズンの早期予約を促進し、クリスマス時期の予約をもれなく獲得することに成功していました。
インフルエンサーマーケティングの成功事例(SNS別)
次に、インフルエンサーマーケティングの実際の成功事例をSNSごとに紹介します。具体的な活用方法や効果的な事例を確認しましょう。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、140文字以内で投稿できるSNSで、リアルタイム性や拡散力が高い点が特徴です。リポストやハッシュタグを活用することで、短期間で認知を広げることができます。
ある食品メーカーは、食に特化したインフルエンサーを起用し、製品を使ったレシピやアイデアをX(旧Twitter)で発信しました。ハッシュタグを効果的に活用することで、フォロワーの共感を引き出し、製品の認知度を高め、購買意欲を高めることに成功しました。
TikTok
TikTokは、短い動画を投稿できるSNSで、10代から20代を中心に人気があります。「#ハッシュタグチャレンジ」やインフルエンサーとのコラボで、短期間で情報を拡散できる点が特徴です。
ある飲料メーカーは、TikTokクリエイターとコラボし、商品の魅力を短い動画で発信しました。視覚的な訴求力を活かして若年層の関心を引き、ブランドの認知度を大幅に向上させました。
YouTube
YouTubeは、動画を配信できるSNSで、10代から50代まで幅広い層が利用しています。静止画より情報量が多い動画を活用できるため、企業のマーケティングに適しています。
ある化粧品メーカーは、美容系ユーチューバーを起用し、商品の使い方や効果をリアルに伝える動画を制作しました。視覚的な情報とインフルエンサーの信頼感を活用することで、製品の認知度向上と購買意欲の喚起に成功しました。
Facebookは、実名登録が基本のSNSで、精度の高いターゲティングが可能な点が特徴です。国内では40代~50代を中心に利用されており、特定の層に向けた効果的な広告配信ができます。
ある企業は、40代以上に人気のインフルエンサーを起用し、Facebook広告を展開しました。ターゲット層に合わせたメッセージを発信することで、効率的に認知度を高め、商品の訴求に成功しました。
インフルエンサーマーケティングの注意点
インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
ステルスマーケティングだと思われないようにする
前述したようにインフルエンサーマーケティングはステルスマーケティングによる炎上リスクがあります。
過去に起こった事例として、某動画投稿プラットフォームの運営会社が、影響力のある複数のインフルエンサーに報酬を支払い、広告であることを明示せずに指定した動画を投稿させていたことが発覚しました。中には1人で年間2000本以上の動画を投稿し、合計再生回数が1億回を超えたケースもあります。
そのため、インフルエンサーと事前にルールを決め、PR投稿を確認するなど、透明性の確保が必要です。
▶【コラム】注意したいステマ規則について詳しく知りたい方はこちら
インフルエンサー起用中の不祥事に注意する
起用したインフルエンサーが企業のPRとは無関係なとこで炎上した場合、企業のイメージに影響を及ぼす可能性があります。インフルエンサー自身への批判だけでなく、起用した企業への信頼も損なわれるリスクがあるため、注意が必要です。
実際に、不適切な発言をしたインフルエンサーと連携していた企業が、PR投稿やコラボ動画を削除する対応を迫られるケースもあります。
そのため、起用後もインフルエンサーの発信内容を確認する必要があります。
▶【コラム】インフルエンサー起用に向けて企業ができるリスク対策はこちら
インフルエンサーの過去の発言に注意する
インフルエンサーの過去の発言や行動が原因で、批判や炎上が発生するケースも増えています。
「キャンセルカルチャー」とも言われており、インフルエンサーを起用する場合も同様のことが考えられます。特に、SNSでフォロワーが多くなる前に差別的な発言をしていた場合は、掘り起こされて批判の元となる可能性があります。事前に調査し、慎重に確認することが重要です。
▶【お役立ち資料】プロモーションをする際の注意点についてはこちら
デジタルリスクに備えるならエルテス
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まとめ
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーの発信力を活用して認知度向上や購買促進を目指す効果的な手法です。適切なインフルエンサーを選び、商材やターゲットに合った発信を行うことで、ブランドの魅力を効率的に伝えることができます。
ただし、フォロワー数の多さだけでなく、インフルエンサーの過去の発言や行動、企業との親和性を事前に確認し、透明性のある運用を徹底することが重要です。
注意点を十分に考慮しながら、自社に最適なマーケティング施策を実現しましょう。