SNSキャンペーンのメリットと企画時に覚えておきたい3つのポイント
企業にとって、広告・宣伝の手段で実施されることが多いキャンペーンですが、近年ではSNSでキャンペーンが行われることも多くなりました。今回はSNSでのキャンペーンについて、メリットと成功事例、そこに潜むリスクを紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.SNSキャンペーンのメリットとは
- 2.SNSキャンペーンの成功事例
- 3.キャンペーン企画時に押さえるポイント
- 3.1.①どのSNS媒体を使用するか
- 3.2.②キャンペーン形式
- 3.3.③広告配信
- 4.SNSキャンペーン企画時の注意点
- 4.1.各SNSの規約・ガイドラインに違反していないか
- 4.2.景品表示法に違反していないか
- 4.3.クレーム・炎上のリスク
- 5.SNSキャンペーンを成功させるポイント
- 5.1.①各SNSの特徴に合ったキャンペーンを実施
- 5.2.②ユーザーのニーズを把握する
- 5.3.③万が一に備えた炎上対策をする
- 6.まとめ
- 7.関連情報
- 8.参考情報
SNSキャンペーンのメリットとは
企業のマーケティングなどで行われる「キャンペーン」とは、商品の認知や販売促進を目的として行う販促活動・広告施策などを指します。近年では多くの企業がSNSアカウントを持ち、広告・宣伝の一環としてSNSにおいてキャンペーンを行う例が増えています。なぜ、企業はSNSにおいてキャンペーンを行うのでしょうか。SNSでキャンペーンを行うメリットを2つ紹介します。
①認知度の向上
SNSは10~30代の世代を中心に、年代を問わず非常に多くのユーザーに利用されています。拡散力が強いため、新規のユーザー層へのアプローチも期待できます。
また、短い文章や1枚の写真が何千何万の人に見られる可能性を秘めているうえ、ユーザーは投稿をさらに拡散することができます。シェア機能によって、もたらされる拡散効果も非常に強力で、SNSで盛り上がった投稿が大手メディアに取り上げられることもあります。SNSキャンペーンでもこの拡散力を生かすことができれば、自社の製品やサービスの認知度の向上が期待できます。
②低コスト
SNSでのキャンペーンはリアルで行うキャンペーンに比べ、少額の費用で始めることができます。例えば、キャンペーンを紙のチラシで告知する場合は、チラシの制作と印刷、それに伴う費用が発生します。さらに、新聞の折込チラシで配る場合なら新聞の広告費、街頭で配布するなら配布する人とその人件費がかかります。また、配布できる範囲や枚数によってコストは変わってくるでしょう。
一方、SNSの場合は、無料で作れるSNSアカウントさえあれば、簡単なキャンペーンや告知は実施できます(ただし、クリエイティブを制作する場合は、そのデザイン費用などが発生する場合はあります)。また、SNSは地域に依存せず、不特定多数のユーザーにアプローチすることが期待できます。
SNSキャンペーンの成功事例
米袋デザインの枕カバーのプレゼント
とある包材メーカーがX(旧Twitter)で米袋のデザインの枕カバーをプレゼントするキャンペーンを行いました。アカウントのフォローと投稿のリツイートをしたユーザーを対象に抽選を行う形式を取ったところ、米袋が描かれた枕カバーという斬新さで多くの注目を集め13日間で応募数が8,500件、7,500人を超えるフォロワーの増加がありました。
店独自のハッシュタグとユーザーが魅せるSNS活用
とあるラーメン店では、Instagramで「好きなトッピングを乗せた自分だけの一杯」というその店独自のハッシュタグを設定して、ユーザーへの投稿を促しました。ユーザーにとって目的がわかりやすいハッシュタグを設定したことや、お店側から投稿を呼びかけたことで、写真を投稿してもらうことに成功し、お店の認知度向上に繋がりました。
キャンペーン企画時に押さえるポイント
①どのSNS媒体を使用するか
SNSにはそれぞれ特徴があり、それらに合ったキャンペーンを行うことが重要です。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は10代~30代の多く利用するテキストベースのSNSで、一般ユーザーは140字以内でテキストを投稿(ツイート)できます。投稿されたツイートは、フォローしているユーザーのタイムラインに関心度の高い順、もしくは時系列・新着順に表示されます。また、多くのユーザーが反応してる投稿やトピックを表示するトレンド機能もあります。他ユーザーの投稿をそのまま自分のアカウントで拡散できる「リツイート」機能は、ユーザー同士の気軽な投稿シェアを可能にしており、拡散性が非常に高いSNSです。
Instagramは10代から20代の若者を中心に利用率が高いSNSです。テキストベースのX(旧Twitter)に対して、Instagramの特徴は、写真や動画の投稿が中心で、視覚情報が重要視されます。綺麗な写真、オシャレな写真に対して用いる「映え」という言葉も、このSNSから生まれたものです。
Facebookは30~50代が多く使うSNSです。一部には、ビジネス目的で利用されているユーザーもいます。Facebookにはグループ機能があり、グループ内でのみ見られる投稿や、掲示板などを作ることができます。会員制などのコミュニティを作る際に使える実名SNSです。
②キャンペーン形式
キャンペーンを行うSNSが決まった次は、どのような手法でユーザーに参加してもらうかを考えます。
例えばX(旧Twitter)でよくみられる例では、ユーザーにアカウントをフォローしてもらったうえで、告知投稿に「いいね」、もしくは「リツイート」してもらうキャンペーンがあります。また特定の話題について集めたハッシュタグをつけた投稿を促すものも見られます。このようにX(旧Twitter)でキャンペーンを実施する場合には、ユーザーがリツイートしたくなるような投稿や、トレンド性のある投稿を意識することがポイントです。
Instagramでもユーザーにアカウントをフォローしてもらい、投稿に「いいね」をつけてもらう方法やハッシュタグをつけてテーマに沿った画像や動画を投稿してもらう方法があります。Instagramは、キャンペーンの告知で投稿する画像に、キャンペーンであることや、当選商品などキャンペーンに参加するメリットをわかりやすく記載することで、キャンペーンに参加しやすくする仕組みを作ることができます。このように、Instagramでキャンペーンを実施する場合には、ユーザーの視覚に訴求することを意識することがポイントです。また、ハッシュタグを用いることは、フォロワーではないユーザーへのアプローチにも効果的でしょう。
ユーザーの参加形式とあわせて、参加を促すアイディアなども検討しましょう。
③広告配信
SNSは広告を出すこともできます。自社のSNSアカウントをフォローしているユーザー(フォロワー)以外へのアプローチを強めたい場合は、キャンペーンを広告形式で出すことで、より多くの認知を取ることも可能です。費用をかけられるのであれば広告形式にすることも考えましょう。
SNSキャンペーン企画時の注意点
キャンペーンを企画する前に、SNSキャンペーンの注意点やリスクを把握しておきましょう。
各SNSの規約・ガイドラインに違反していないか
各SNSにはそれぞれ利用規約やガイドラインがあります。
Xのキャンペーン実施についてのガイドラインによると、以下のようなルールが策定されています。
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Instagramの場合、プロモーションガイドラインにコンテストや懸賞等のプロモーション実施に関する記述がみられます。
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Facebookも同様にページ、グループおよびイベントに関するポリシーにてコンテストや景品、くじなどのプロモーションに関する禁止事項があります。
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これらの利用規約・ガイドラインを守らなかった場合、アカウントの凍結や消去の可能性もあるため、違反しないよう気を付けましょう。
景品表示法に違反していないか
日本には「景品表示法」という消費者が良い商品やサービスを自主的・合理的に選べる環境を守るための法律があります。その中に、景品類に関する規制や禁止事項を定めた「景品規制」というものがあるのをご存知でしょうか。
景品表示法上の「景品類」の定義としては、以下の内容が当てはまります。「景品類」に該当する場合は、すべて景品表示法に基づく景品規制が適用されます。
① 顧客を誘引するための手段としての景品
② 事業者が自己の供給する商品・サービスに付随して提供する景品
③ 物品・金銭その他の経済上の利益となる景品
※値引き、アフターサービス等は除く
特に来店や商品・サービスの利用・購入を対象として、金品などを提供するキャンペーンは「景品規制」の対象になり得るため、注意が必要です。詳細は消費者庁のWebサイトをご覧ください。
クレーム・炎上のリスク
SNSはコミュニケーションプラットフォームなので、ユーザーからのクレームも受けやすい環境です。中には投稿が不本意な解釈をされ批判を浴び、拡散・炎上する可能性もあります。クレームや炎上を完全に防ぐことはできません。クレームや炎上が起こった際は被害を最小化する対応が重要になってきます。万が一の事態に備えて、まずは以下のような準備を検討しましょう。
①SNS運営マニュアルの作成
クレームや炎上はSNS担当者の不適切な言動や投稿に寄せられることが多いです。特に、過激な内容、コンプライアンスや政治、ジェンダーに関する投稿に対してはクレームが寄せられやすく、炎上する可能性が高まります。そういった事態を防ぐためにも、事前にキャンペーン方針やSNS運用時のマニュアルを社内で作成し、投稿してはいけない話題などの方向性を明確に統一しておきましょう。
また、投稿前に内容に問題がないかを複数人で確認するようにしましょう。そうすることで、万が一批判されうる投稿だったとしても未然に気づける可能性があります。
万が一、炎上した際の企業の対応によっては二次炎上が発生する可能性もあるため、クレームや炎上を想定した対応フローのマニュアルも作成しておくと良いでしょう。
② SNSのモニタリング
SNSでのクレームや炎上に対しては早期に適切な対応が必要となってきます。何度か言及したように、SNSの特徴はその拡散性です。拡散・炎上して手がつけられなくなる前に、適切な対応をすることが効果的です。
ただし、日々膨大に投稿されるSNSの投稿を1つ1つ見るのは時間や人的コストがかかります。モニタリングするリソースがない場合は、SNSの監視ツールの導入や専門会社への依頼なども有効な手段です。
SNSキャンペーンを成功させるポイント
①各SNSの特徴に合ったキャンペーンを実施
先にも述べましたが、SNSにはそれぞれ異なるユーザー層と特徴があります。各SNSについての特徴を把握しないままキャンペーンをしてもターゲットとなるユーザーに届かないということもあります。それぞれのSNSの特徴に合ったキャンペーンを企画しましょう。
②ユーザーのニーズを把握する
ユーザーがどのような情報を求めていて、どのような情報を求めていないのか。この視点も大事なポイントです。ユーザーにとって興味がない情報には当然反応してもらえませんし、ユーザーが嫌悪感を抱く情報や言い回しなどをした場合はクレームや炎上に繋がります。ユーザーはどのような情報が欲しいのか、どのような情報の価値が高いのかといったことを考える必要があります。普段からユーザーの意見を拾ったり、積極的にコミュニケーションを取ったりする事が重要になります。
③万が一に備えた炎上対策をする
先ほども述べましたが、SNSでは批判やクレームが集中する可能性が高いです。きちんとユーザー側に寄り添う対応をすれば大炎上という事態は避けられるかもしれません。日頃からリスクを考え、SNSの監視やダブルチェックなどの対策をすることが重要です。
▼公式SNS運用の炎上事例・リスク対策方法を知りたい方はこちら
まとめ
キャンペーンにSNSを使うことは、ユーザーの認知を広げやすくするだけでなく、潜在層のファンの獲得にもつながるので非常に効果的です。しかしその反面、法律やガイドライン、炎上のリスクに注意が必要です。リターンとリスクを正しく把握してキャンペーンを行えば、すばらしい成果が期待できるでしょう。
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〇関連資料
・CM・広告の6つの炎上パターンから学ぶ批判のポイントと対策
・公式SNS運用の3つの炎上パターンから学ぶ批判のポイントと対策
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