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ネット炎上レポート 2022年下期版

エルテスでは、毎月の炎上事例を調査・分析し、ネット炎上の傾向をまとめたレポートとして報告しております。今回は、それら2022年下期(2022年7月~12月)の炎上事例を時系列にまとめ、どのようなネット炎上の傾向があったのか。また、過去と比較して、どのような変化があったのかをまとめました。


目次[非表示]

  1. 1.炎上レポートの主旨
  2. 2.2022年下期全体の炎上傾向
  3. 3.炎上対象からみる下期炎上のトレンド
    1. 3.1.1)サービス業界の炎上が増加
    2. 3.2.2)インフルエンサーの炎上
    3. 3.3.3)炎上すべくして炎上してしまった事象が多数
  4. 4.まとめ


炎上レポートの主旨

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析を行い、2019年8月より月次でのネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上事例の傾向をお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。また、これら炎上事例は、下記の“エルテスの定義するネット炎上”を満たす事例を抽出し、分析を行っております。

エルテスの定義するネット炎上

▼前提条件

以下の二つの条件を満たしている必要がある
1.批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
2.対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態。

▼定義

ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法

SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。


本レポートでは、炎上事例の変化を “炎上対象”と“炎上要因”の2つの観点から見ていきたいと思います。



2022年下期全体の炎上傾向

2022年上期(2022年1月~6月)と比較して2022年下期(2022年7月~12月)のネット炎上件数は7.9%減少しました。図1で記載している通り、サービス業界で微増したもののカテゴリー毎で比較しても大きな変動はなく、全体的に炎上発生件数が少ない半年間となりました。

また、毎月の炎上件数では、下期を通じて炎上件数が最多となったのは2022年9月でした。当月では企業の代表や従業員による不祥事、著名人の不適切な言動による炎上が多くみられました。


図1:2022年上期炎上件数を100としたときの2022年下期炎上件数


炎上対象からみる下期炎上のトレンド

図2:炎上対象区分(月別)


図2は、2022年の炎上件数を月次で炎上対象別に整理したものです。ここからは、炎上対象の軸で下期の炎上の特徴を見ていきたいと思います。


1)サービス業界の炎上が増加

全体の炎上件数が2022年上期と比較して減少しているなかで、サービス業単体での炎上件数は増加しており、その割合は2021年下期から増加の一途を辿っています。

また、図2でも記載しているとおり、2022年12月にはその割合は大きく増加しました。同月に発生した事象は、店舗の広告が差別的な表現であったため炎上、従業員の商品や顧客へ対応が不適切・杜撰であったため炎上、新サービスの内容に倫理的問題があるとして炎上など炎上起因は様々でした。また、これらは何か大きな炎上事象が引き金となりその他類似事象が「飛び火」という形で炎上してしまったというものはなく、一つ一つの事象が批判を受け炎上したという特徴が見られました。


2)インフルエンサーの炎上

平均して20%近くを占める個人・著名人による炎上に関して、2022年下期は特にYouTuberなどSNS上で多数のフォロワーやファンを持つインフルエンサーの炎上が多くみられました。


<個人・著名人による主な炎上事例>

○動画内の暴言や高圧的な態度が原因での炎上
○無許可での撮影や、撮影場所での禁止行為を行うなどの違反行為による炎上
○プロデュースしている商品を誤った情報を使って宣伝しているとして炎上


また、これらが炎上するきっかけ(小さな火種を拡散させるきっかけ)を作ったユーザーもまたSNS上のインフルエンサーであったことは近年の特徴と言えます。インフルエンサー自身の倫理的に問題がある行動に批判が殺到する炎上は、今後も増加すると予想されます。一方で、企業はプロモーション等でインフルエンサーを起用するケースも増えており、インフルエンサーの過去の問題掘り起こしリスクも含めた十分な対策を企業は講じる必要があります。


図3:企業・団体が対象となった炎上内容区分(月別)

※”企業・団体”は図1の「メーカー」「サービス」「IT」「インフラ」「自治体・団体」「教育組織」を指します。


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3)炎上すべくして炎上してしまった事象が多数

2022年上期同様に2022年下期も「不適切発言・行為、失言」、「顧客クレーム・批判」による炎上が全体の8割を占める結果となりました。「不適切発言・行為、失言」は過去1年と変わらずトレンドであり、2022年上期の特徴として上層部の不適切発言による炎上や立場を逸脱した発言での炎上が目立ちましたが、残念ながら2022年下期も同様の特徴が見られました。


<主な不適切発言・行動による炎上事例>

○社長が競合他社の営業秘密を不正取得していたとして批判が殺到
○社内イベント時の社長が映っている写真がセクシャルハラスメントと捉えかねないものだったとして批判が殺到
○社長が私事で起こした不祥事の対応が動画で拡散、被害者に対する高圧的な態度に批判が殺到
○副社長並びに執行役員のホテル従業員に対する暴言や横柄な態度が週刊誌で報じられ批判が殺到


上記の事例は、法令に反する行為やハラスメントといった迷惑行為であり、賛否を生むこともない明らかな炎上と言えます。企業の顔である代表による炎上はそのまま企業イメージに直結するため、企業ブランドを毀損する行為であることを理解しておくことが必要です。

また、例えプライベートでの出来事であったとしても、インフルエンサーや週刊誌などに取り上げられてしまい、多くの人に知れ渡ってしまうということも認識しておくことが重要です。インフルエンサーによってSNS上に取り上げられると、異なる様々なユーザーから批判対象者の他事象に対するリークと思しき投稿がタレコミとして共有される傾向があります。中には企業に不満を持つ従業員からの投稿もあり、企業ブランドの毀損に拍車をかける可能性が高くなります。


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まとめ

2022年下期の炎上トレンドを見ていくと炎上要因という観点では、引き続き「不適切発言・行為、失言」や「顧客クレーム・批判」が多く見られました。批判を浴びてしまいうる行為は、経営者であろうと学生であろうとSNS上で話題となり、炎上してしまいます。

そして、その対象者の個人情報がSNSにいる数多のユーザーによって特定されてしまい、所属組織への批判へとつながってしまいます。2023年1月末に多発した飲食店での顧客による不適切行為の炎上は最たる例です。


そして、「炎上すべくして炎上してしまった事象が多数」で言及している事例にも含まれていますが、1ヶ月後、あるいは数年後に事象が掘り起こしされて、批判が殺到するケースも多く存在します。だからこそ、私たちはスマートフォンで簡単に動画・写真撮影ができ、また、それらを簡単に共有できるという便利さがあると共に、このようなリスクが生じ易くなっているということを肝に命じる必要があります。

いつどこであなたの言動がデジタルデータに保存され、SNSなどのデジタル空間に解き放たれ、その結果ご自身のキャリアや所属組織に悪影響を与えうるリスクが生まれてしまうか、誰も予想は出来ません。


また組織の広報やリスク管理を担う皆様は、経営者や従業員、所属する学生などのプライベートを含む不適切な言動による批判が企業に飛び火し、ブランド毀損に繋がるリスクを正しく理解し、事前に対策を講じることが求められます。SNSを始めとしたデジタル空間の情報量は増加し続け、デジタル空間が私たちの生活と密接に繋がり続けていくとされる中で、今後もこのようなリスクは高まり続けることが予想されます。


エルテスでは、引き続き月次で炎上傾向をまとめた炎上レポートを配信していきます。炎上のトレンドを把握頂き、企業のリスクマネジメントに役立てて頂ければと考えております。また、毎月炎上レポートを配信するとともに、1つ炎上事例を取り上げて、炎上理解を深めるセミナーを開催しておりますので、ぜひご参加ください。

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引き続き、よろしくお願いいたします。


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