企業のコンプライアンス遵守とは?初心者向けに重要性と目的を解説
近年、過重労働やハラスメント、情報漏洩などの企業不祥事が相次いでおり、企業に対する法的規制や倫理的要求が高まっています。
このような状況下において、企業は単なる利益追求だけでなく、コンプライアンスを徹底する経営が求められています。
本記事では、コンプライアンスとは何か、なぜ遵守する必要があるのか、その目的と重要性について詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.コンプライアンス遵守とは
- 2.コンプライアンスの重要性が高まり続ける背景とは?
- 3.コンプライアンス違反がなぜ起こってしまうのか?
- 4.どんな行為がコンプライアンス違反として問題視されるか?
- 5.コンプライアンス違反をするとどうなるのか?
- 6.コンプライアンス推進の注意点
- 7.コンプライアンス違反の予防のためにできること
- 7.1.専門部署の設置
- 7.2.監視体制の整備
- 7.3.内部通報制度
- 7.4.コンプライアンスマニュアルの作成
- 7.5.従業員へのコンプライアンス教育
- 8.まとめ
- 9.関連情報
コンプライアンス遵守とは
コンプライアンス遵守とは、法令や法律に加え、社会的なモラルや倫理規範、企業や業界のルールなどに従い行動することを指します。
これには、社会的ルールとして明文化されている規律だけでなく、各企業が独自に定めたルールやポリシー、明文化されていない規律も含まれます。
コンプライアンスの重要性が高まり続ける背景とは?
時代の移り変わりや社会的な課題の変化により、企業に求められる役割は増えています。
環境保護を意識した生産活動、人材不足による社員の人権保護、デジタル化に伴う情報漏洩対策など、企業に対する期待がますます高まっています。
これにより、コンプライアンスの範囲は広がり、重要性も日々増しています。
「コンプライアンスはなぜ必要?重要性やその目的を解説」でその全体像を確認できますので、ぜひお読みください。
コンプライアンス違反がなぜ起こってしまうのか?
コンプライアンス違反の主な原因は、社員の意識の低さや職場環境の整備不足にあります。社員のルール遵守の意識だけでは、違反を完全に防げません。
まず、会社は具体的で明確なルールを設ける必要があります。例えば、情報漏洩防止のための具体的なガイドラインやSNS利用の規範などが必要です。また、ルールの運用と監視を徹底する管理体制の構築も不可欠です。
さらに、コンプライアンス教育の不足も重大な問題です。教育が不十分だと、社員は無意識のうちに違反を犯す危険性があります。特にSNSの普及により、一度違反が発生するとネット上で瞬時に広まるため、企業の信用は一瞬で失われるリスクが高まっています。
コンプライアンス違反を起こさないためには、社員一人ひとりの意識向上に加え、具体的なルールの策定、厳格な管理体制の構築、十分なコンプライアンス教育の実施が重要です。
具体的な取り組みやSNSリスク管理については、別途解説している「社内コンプライアンス意識を向上させるための効果的な取り組みを解説」と「SNSで拡散されるコンプライアンス違反。従業員の不注意が生むリスクと対策」もぜひご参照ください。
どんな行為がコンプライアンス違反として問題視されるか?
コンプライアンス違反として問題視される行為を大きく3つに分けて紹介します。
情報漏洩
企業が所有する機密情報や個人情報の漏洩は重大なコンプライアンス違反です。
具体的には、顧客や従業員の個人情報の取り扱い不備による流出、セキュリティ管理不足によるハッキング被害、社外秘データの私的持ち出しが含まれます。
情報漏洩が発生すると、企業は謝罪や原因究明、改善策を実施する必要があります。
ハラスメント
職場でのハラスメントもコンプライアンス違反に該当します。
例えば、職権を利用して他人に苦痛を与えるパワハラや、性差別的な言動を含むセクハラです。これらの行為は厳しく取り締まる必要があり、対策が義務化されているものもあります。
不正利用
企業の資産の不正利用もコンプライアンス違反です。
具体例として、財務情報の改ざん、会社支給のPCや社用携帯の無許可持ち出し、消耗品の私的利用などがあります。
これらの行為は企業の信頼を損ね、法的問題を引き起こす可能性もあります。
コンプライアンス違反で問題視される行為は「企業が押さえるべきコンプライアンス問題とその対策とは」で詳しく紹介しています。
コンプライアンス違反をするとどうなるのか?
コンプライアンス違反をすると、企業は法的な罰則を受ける可能性があります。
例えば、過重労働の場合は労働基準法、情報漏洩の場合は個人情報保護法などに基づき罰金や有罪判決が下されるケースが挙げられます。
また、違反が公になることで企業の社会的信用が失墜し、従業員の退職や新規採用の困難、ブランドイメージの低下による売上減少が生じます。株価の下落や取引停止などの経営活動への影響も深刻です。
詳しくは「変わる企業のコンプライアンス教育の範囲と重要性。研修テーマの例も紹介」で紹介しています。
コンプライアンス推進の注意点
まず、人員や資金のリソースの制約があるため、違反リスクの即時解消は難しい点を理解することが重要です。そのため、主要事業や顧客・取引先が多く関わる事業を優先的に強化するなど、優先順位を決めることが必要です。また、短期的な利益には繋がりませんが、中長期的な成長のために必要なコストをかけることも重要です。
監査法人での経験があるなど、コンプライアンス実務に精通した人材の採用も効果的です。特に個人情報を扱う事業や規制が厳しい業種はリスクが高いため、重点的な対策が求められます。
詳しくは「コンプライアンスを推進する取り組みとは?」をご覧ください。
コンプライアンス違反の予防のためにできること
企業がコンプライアンス体制を構築するための具体的な方法を5つ紹介します。
専門部署の設置
まず始めに、コンプライアンス専門部署を設置して企業のコンプライアンス体制の構築と実践を進めていく担当者の決定が重要です。
コンプライアンス部署の担当者としてCCO(Chief Compliance Officer)を置く企業もあり、その場合は企業の実情を知り尽くしている取締役が務める場合が多いです。
「企業における強固なコンプライアンス体制の重要性と構築方法」も併せて確認すると、全体像がより明確になります。
監視体制の整備
コンプライアンス専門部署を設置したら、次はコンプライアンスの遵守が問題なく実施されているかどうかを監視する必要があります。
エルテスでは、SNSやネット上の投稿を24時間365日モニタリングし、コンプライアンス違反になり得る情報がネット上に出回っていないか確認する「Webリスクモニタリングサービス」を提供しています。
また、「内部脅威検知サービス」という、従業員が機密情報を外部に持ち出す情報漏洩行為や内部不正行為の予兆を検知するサービスもあります。コンプライアンス対策として、ぜひ検討してみてください。
内部通報制度
内部通報制度とは、社員がコンプライアンス違反や不正行為を発見した場合に、上司を通さず社内の窓口に通報できる制度です。この制度を設置すると、問題の発見に役立つだけでなく、社員の違法行為への抑止力として機能することも期待できます。
制度を設置する際には、内部通報した社員が不当な扱いを受けないように保護する体制を整えることが重要です。
「危機管理広報が知っておくべき、SNS空間における内部告発の実態とその影響」では、事例を交えて解説していますので、ぜひお読みください。
コンプライアンスマニュアルの作成
コンプライアンスポリシーを明確に文書化し、従業員が適切な行動を取るためのマニュアルを策定することは重要です。さらに、マニュアルをインターネット上に公開することで、取引先や投資家からの信頼を獲得できます。
従業員へのコンプライアンス教育
近年では、社員が自身のSNSにコンプライアンスに反する投稿をし、炎上につながった事例も発生しています。そのため、企業の経営に携わる役員に限らず、新入社員を含めた全ての従業員にコンプライアンス教育を行うことが重要です。
エルテスでは、「SNSリスク研修」を実施しています。コンプライアンス遵守のためのSNS研修から公式SNS運用担当者向けの炎上対策の研修まで、受講者のニーズに合わせて内容をカスタマイズし、提供しています。
まとめ
コンプライアンスの目的や重要性が理解できると、コンプライアンス対策は、リスクマネジメントにもステークホルダーからの信頼獲得にも効果のある方法だとわかります。健全かつ安定した経営を継続していくためにも、正しい知識と高いコンプライアンス意識を持って業務に取り組むことが大切です。
すでにコンプライアンス教育を日ごろから実施してる企業でも、最新のコンプライアンス問題や事例を取り入れた教育コンテンツやルールにアップデートできているか、毎年確認することが重要です。企業と従業員を守るためにも徹底することが求められます。
エルテスでは、毎月さまざまな炎上テーマを取り扱う無料オンラインセミナーを開催しています。アンケートに回答いただいた参加者には、特典として当セミナーの配布用資料を特別に提供しています。ぜひ、ご興味のあるセミナーにご参加ください。
コンプライアンス対策の相談は、エルテスへ
関連情報
〇関連資料
・SNSで起きるコンプライアンス違反のパターンと対策
・SNSリスク研修 成功のための3つのポイント
・SNSリスクの 予防と具体的対策
〇エルテスのサービス
・SNSリスク研修
・Webリスクモニタリング
・内部脅威検知サービス
〇関連コラム
・企業人事も知っておくべき複雑化する従業員の炎上原因とは?
・危機管理広報が知っておくべき、SNS空間における内部告発の実態とその影響
・SNSによる企業の情報漏洩を防ぐ。具体的ケースから対策を解説